16歳で帰らぬ人となった弟!「バイクは赤信号を無視して直進してきた!?」加害者と食い違う証言!事件に翻弄され、崩壊しゆく家族【著者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

当時、弟の孝は16歳。きむらさんとは1歳違い。思春期で仲が悪かった。決していい姉とは言えなかったという。そんな弟がある日、事故にあって帰らぬ人となった。運転していた加害者は事件当時の出来事に嘘をつき、地域の住人は噂話で両親を苦しめた――きむらかずよ(@kmk11161)さんの実話「16歳で帰らなくなった弟」を紹介するとともにインタビューを行った。
※本作にはセンシティブな表現が含まれます。閲覧にはご注意ください。

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ファミレスに入ろうと右折した車とバイクに乗っていた弟が衝突事故!

第12話「事故の詳細」01画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

第12話「事故の詳細」02画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

深夜11時56分。きむらかずよさんの弟は車との衝突事故で亡くなる。享年16歳だった。道路には長いブレ―キ痕が残り、バイクは数十メートル吹き飛ばされた。同乗していた女の子と弟さんは、救急車に運ばれたものの、数時間後、命を落とすことになる。

第12話「事故の詳細」03画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

第12話「事故の詳細」04画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

事件後、「バイクは赤信号を無視して直進してきた」という証言もあり、両親は「弟の起こした事故では?」という声に翻弄される。閉鎖的な街ではあることないこと噂が飛び交い、きむらさんを含め家族の心は大きく疲弊する。

第12話「事故の詳細」05画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

第12話「事故の詳細」06画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

しかし、弟は多くの仲間に慕われていた。事故の真相を警察に伝えてくれたのも、事故現場の献花を掃除してくれたのも弟の仲間たちだった。本書は事件の真相と壊れた家族が少しづつ再生していくまでを描く、自伝である。

事件の詳細を描くのはつらかった。けれど「描いてくれてありがとう」と言われて救われたのは私の方だった!


第3話「弟の突然の死」07画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

第3話「弟の突然の死」08画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

――まずは、本作を制作することにした経緯をお聞かせください。

最初は、本当に軽い気持ちでアメブロで描き始めました。コロナ禍真っ只中ということもあって、家にいる時間も長くて、ちょっと描いてみようかな、という軽い気持ちで。フォロワーさんも少なかったので、「描くのが嫌になったらやめよう、誰もみていないし...」とも思っていました。

第9話「加害者の青年」04画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

第9話「加害者の青年」05画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

――家族のことを赤裸々に描くことは大変な作業ではなかったですか? 

ブログで趣味で描いていたころは、描きたくない部分は描かなければいいので、あまりつらくはありませんでした。アメブロで急にバズって、思いがけずたくさんの人に読んでいただけるようになったことにただ驚いていました。「つらいな」と思い始めたのは、書籍化していただけることになり、より深く描かなければいけなくなってからです。思い出したくないことも、リアルに描かないといけなくなり、さらに父や母に取材をして思い出させることも心が痛みました。でも、弟に関しての私の知らない事実もあり、結果、話ができてよかったと思いました。事故のリアルな描写を描くのが何よりつらく、夜、眠れなくなることもありました。「このままじゃ、ちょっとやばいな、私」と思うときもありました。

第9話「加害者の青年」06画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

――弟さんのこと、家族のことは描く前とあとで、何か心境の変化はありましたか?

自分の心の整理ができました。閉じ込めていた、自分の気持ちを全部吐き出すことができた気がします。そして、とにかくいろんな方の反響をいただいたことが何よりの励みになりました「16歳で帰らなくなった弟」は私が想像していた以上にいろいろな方に読んでいただいたようで、特に同じ悲しみを背負う、大切な人を亡くした方に「描いてくれてありがとう」と言われて救われたのは私の方でした。弟に、全く想像もしていなかった景色を、たくさん見せてもらったような気持ちです。書籍が出て父が本当にうれしそうで、会う人、会う人に配りまくってました(笑)。描くのはしんどかったけど、ああ、頑張って描いてよかったなあと。

第10話「弟の通夜」05画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

第10話「弟の通夜」06画像提供:「16歳で帰らなくなった弟」(C)きむら かずよ/KADOKAWA

――書籍化にあたり加筆したところはありますか?

たくさんあります。編集の方に助言を受けて、何も知らない方が読んでもわかるように弟が亡くなった夜のこと、事故のリアルな詳細、家族が崩れていくリアルな描写、いっしょに亡くなった女の子のこと、事故のその後の話、とにかくブログでは「描きたくない」と思ってはしょった部分を、全て加筆しました。特に事故のリアルなシーンや女の子のことを描くのは、地獄の苦しみでした。でも、今振り返ると全て必要なシーンだったと確信しています。

「16歳で帰らなくなった弟」※試し読みはここまで。画像提供:(C)きむら かずよ/KADOKAWA

――読者の方にメッセージをお願いします。

私が高校3年生で経験した家族の死を当時の空気感を全部リアルなまま、真空パックにして詰め込んだような作品となっています。大切なひとを亡くした方に少しでも寄り添えるような作品になるように、全力で描きました。ぜひ、読んでいただけたら、うれしいです!

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取材協力:きむらかずよ(@kmk11161)

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