プロ野球球団、横浜DeNAベイスターズの本拠地、横浜スタジアム(通称:ハマスタ)。試合がある日は、スタジアムの中も外もわくわくするイベントでいっぱいだ。試合前の観戦ムードが高まるなか、ふと立ち止まってゲートをくぐると、目の前に広がるのは鮮やかなグリーンのグラウンド。練習中の選手の掛け声、バットにボールが当たる乾いた音。スタジアム特有の高揚感が、全身をじわじわと包み込んでいく。
本来なら、そこでシートに座って観戦モードになるところだけど…ちょっと待って!今回は、ナイターゲームの試合開始前からゲームセットまで、試合観戦と一緒に楽しめるハマスタの魅力をレポートしていこう。
驚きの瞬間が空から!「ドリトス presents パラシュートタイム」
試合は1対1の緊張感ある展開。そんななか、3回裏終了と同時にざわめいていたスタンドの視線が一斉に空へ向かう。
「え? ドリトスが…降ってきた!?」
軽快な音楽とともに、パラシュートを背負ったドリトスがふわり、ふわりと舞い降りてくる。キャッチできた人からは思わず歓声があがり、友達と顔を見合わせて「嘘でしょ!?」と驚く人も。観客の笑顔が連鎖し、スタジアム全体がエンタメ空間に早変わり。この「ドリトス presents パラシュートタイム」は、2024年のMLBオールスターでホットドッグをパラシュートで降らせる演出に着想を得たという。
横浜DeNAベイスターズのイベント担当者が「ハマスタでもやれないかと思いついた」と語るように、その発想のユニークさが話題を呼んだ。実際には、落下場所を分けて1試合50個のドリトスをスタンドに投下(グラウンドには落とされない)。「SNSでも大きな反響があり、今後もブラッシュアップを検討したい」とイベント担当者。ファンを驚かせ、喜ばせる演出は、今後ますます進化しそうだ。こんな驚きが待っているのも、ハマスタならでは。
試合の合間もノンストップ!グラウンドがステージに変わる瞬間
プロ野球観戦の楽しさは、イニングのあいだも止まらない。横浜DeNAベイスターズのホームゲームでは、試合の合間ごとに登場するイベントが、観戦中のテンションをさらに引き上げてくれる。4回裏終了後に行われた「Hisense ハマスタバトル」は、オフィシャルパフォーマンスチーム「diana(ディアーナ)」の3名と、オフィシャルファンクラブ「BlueMates」会員3名によるリレー対決。舞台はなんと、試合中のグラウンド。外野フェンスぎわを駆け抜ける、ガチンコ勝負だ。BlueMates会員が勝利した場合、応援でタオルを回していた観客にもプレゼントがあるという仕掛けもうれしい。
このイベントが始まった背景について、秦さんは「過去のイベントでdianaの脚力に魅力を感じ、それを活かした企画をやりたかった」と話してくれた。実際に開催されてからは、テレビやSNSで興味を持つ人の声も多く、「Hisense ハマスタバトル」をきっかけにdianaを知るファンも増えているそう。
第1走者は互角の展開。応援の声もまだ探るような雰囲気だったが、第2走者で一気に差が開く。dianaチームが遅れを取り、勝負は苦しいかと思われたが…アンカーがコーナーで一気に加速、ゴール手前で相手を抜き返すという劇的な逆転劇。会場中が「おおっ」とどよめき、最後は拍手と笑顔に包まれていた。
そして、7回表終了後に訪れるのが、おなじみ「ラッキー7」。スタンド全体が一斉に立ち上がり、チーム応援歌がスタジアムに響きわたる。グッズショップで販売されている「スタージェット」を手にしたファンが、専用ポンプで勢いよく膨らませると、ピュ〜っと軽やかな音を響かせながら、空へと舞い上がる。青い風船が空を彩るその瞬間、ファンの声援がスタジアム中に広がり、選手たちを後押しするような一体感が生まれていた。
グラウンドで朝キャッチボール!?早朝限定のDREAM GATEイベント
試合の賑わいが始まるずっと前の朝7時。まだ静けさの残るスタジアムに入るのは、なんだかちょっと不思議な感覚だった。外野グラウンドに足を踏み入れると、思ったよりも多くの人が、すでにキャッチボールを始めていた。この「DREAM GATE CATCHBALL」は、ホームゲームがある日の朝7時から8時30分まで限定で行われている体験。プロの試合が行われるあのグラウンドに立てるなんて、それだけで少し背筋が伸びる。
事前予約は不要で、当日ふらっと立ち寄れば誰でも参加OK。グローブとボールを持参すれば、小さな子どもから大人まで、年齢問わず自由にキャッチボールを楽しめる。参加しているのは、近所の親子や夫婦、友人同士などさまざま。朝の涼しさの中、軽く身体を動かしている姿はなんとも気持ちよさそうだった。響き渡るボールの音、笑顔で交わされる挨拶。スタジアムのいつもの喧騒とはまるで違う、穏やかで清々しい空気が流れていた。
このキャッチボール体験が始まったのは2016年。横浜スタジアムをより地域に開き、街のみなさんに野球をもっと身近に感じてもらいたいという思いからスタートした。誰でも無料で入場でき、気軽にボールを投げ合える場として、多くの人に親しまれている。
野球だけじゃない、“ハマスタ観戦”という楽しみ方
グラウンドの熱戦だけじゃなく、イベント、朝のキャッチボール、フォトスポット、グルメやグッズまで。ここにはプロ野球観戦をもっと楽しむヒントがたくさんある。スタジアムに入った瞬間から始まる特別な時間。プレーに声を上げ、イベントにわくわくし、グルメやグッズ選びにも夢中になる。気づけば、初めて隣り合ったファンと声を合わせて応援している。そんな一体感もらしさのひとつ。
試合だけ観て帰るなんてもったいない。次は、いつもよりちょっと自由に。プレーもイベントも空も、ぜんぶ楽しむ。それが、ハマスタ観戦。スタジアムで過ごす一日を、まるごと楽しんでみよう。
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取材・文・撮影 = 北村康行