阪神・淡路大震災から30年。あの日から続く“揺れのあと”を描いた村上春樹さんの短編集『神の子どもたちはみな踊る』が、岡田将生さん、鳴海唯さん、渡辺大知さん、佐藤浩市さんなど豪華キャストを迎え映画化。映画『アフター・ザ・クエイク』が、2025年10月3日(金)よりテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほかにて全国公開される。
岡田将生×鳴海唯×渡辺大知×佐藤浩市——実力派俳優陣が紡ぐ4つの物語
本作は、2000年に刊行された村上春樹さんの短編集をベースに、オリジナル設定を交えて映像化したもの。1995年の阪神・淡路大震災以降、それぞれ別の時代・場所で孤独を抱える4人の人生が交錯し、現代へと繋がっていく様を描く。今年4月にNHKで放送されたドラマ『地震のあとで』と物語を共有しながらも、映画版では4人を結ぶ新たなシーンが加わり、映画ならではの編集で再構築。ドラマを観た人も、初めて触れる人も楽しめる作品となっている。
1995年、突然妻に別れを告げられたあと、謎の“箱”を釧路へ運ぶ男・小村を岡田将生さんが演じる。2011年、浜辺で出会った男との交流を通して自分と向き合う家出少女・順子を鳴海唯さん、2020年、「神の子ども」として育ちながら、父親らしき男との出会いで信仰に疑問を抱く青年・善也を渡辺大知さんが熱演する。
そして2025年、佐藤浩市さん演じる元銀行員・片桐の前に現れるのは、巨大なカエルの姿をした「かえるくん」だ。「30年前、あなたと二人でみみずくんから東京を救いました。再び僕を助けてください」というかえるくんの言葉に戸惑いながらも、片桐はみみずくんとの戦いに挑む。
主演の4名に加え、橋本愛さん、唐田えりかさん、吹越満さん、黒崎煌代さん、堤真一さん、黒川想矢さん、井川遥さん、渋川清彦さん、津田寛治さん、錦戸亮さんなど、幅広い世代の実力派俳優陣が集結。物語のキーとなる「かえるくん」の声はのんさんが担当し、唯一無二の村上春樹ワールドへと誘っていく。
佐藤浩市さんは「このうつつな世界観に浸って彷徨うことに喜びを感じてくれる方が数多く生まれることを、期待せざるを得ない自分がいます。正解はありません、何年かあとに観れば器も中身も違うかもしれません」と、それぞれの人生経験を通して変わる作品の魅力を語る。
危うい複雑さを抱える現代人に贈る希望の物語
本作を手がけた井上剛監督は、「原作からおよそ30年。天変地異や災厄、不穏な暴力などの揺れは今に続き、何かのafterは次の何かのbeforeでもあると知った30年でした。その連鎖の中にいる人間の姿を“映画の時間の中に残したい”と考えたのが始まりです」と制作の背景を明かし、「この国の地面の上に生きる人たちが少なからず持つ、震えや祈りのようなものに共感しうる映画であったらうれしいです」と期待を寄せる。
プロデューサーの山本晃久さんは「私たちは『直進的な現実』に生きていますが、心は日々刻々と複雑なものを抱えて変わっていきます。物語とは、時として、危ういその複雑さを理解する手がかりになると思います。この映画が観客にとって、どこかへ進まれていくためのひとつの道標になってくだされば」と、観客への思いを語った。
阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災、コロナ禍など、未曾有の災害や事件の連鎖が今もなお続き、大きく変わってしまった世界。あれから30年という時が経った今、私たちは何を失い、何を取り戻していくのだろうか。『アフター・ザ・クエイク』は、不安定な現代を生きる私たちの未来に、一筋の光をもたらす希望の物語となりそうだ。
映画『アフター・ザ・クエイク』
出演：岡田将生、鳴海唯、渡辺大知／佐藤浩市
橋本愛、唐田えりか、吹越満、黒崎煌代、黒川想矢、津田寛治
井川遥、渋川清彦、のん、錦戸亮／堤真一
監督：井上 剛
脚本：大江崇允
音楽：大友良英
プロデューサー：山本晃久、訓覇圭
アソシエイトプロデューサー：京田光広、中川聡子
原作：村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)より
製作：株式会社キアロスクロ、NHK、株式会社NHKエンタープライズ
制作会社：株式会社キアロスクロ
配給・宣伝：ビターズ・エンド
(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHK エンタープライズ
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。