陽射しはジリジリ、湿気はムンムン。気づけば、ビールが主役になる季節がやってきた。そんな夏にぴったりのメディア向け試飲会が、品川駅すぐの「大衆酒場 ニューコーナン 品川店」で開催された。「サントリー生ビール」瓶を、氷でキンキンに冷やして提供する夏にぴったりの仕掛け。見た目からして涼しげで、思わずゴクッといきたくなる一杯。氷と演出で届ける、“夏のビールのおいしさ”とはどんなものか。現地で体感してきた。
氷で魅せる“映えるビール”。仕掛け人の狙いは?
瓶ビールをタライいっぱいの氷水にじゃぶじゃぶ。視覚に訴える涼感が、2025年から始動。登場したのは、サントリー(株)営業推進本部 業務用統括部の小林大亮さん。「見た瞬間に“冷たい”と感じてもらえるように企画しました。飲食店の雰囲気にもぴったりです」と語る。サントリー生ビールは、2024年に飛躍を遂げた。販売数量は約630万ケースに到達、前年比157パーセントの成長。導入店舗は1万店から2万1000店へ。2025年5月には2万5000店を達成した。
注目は“瓶”。大きな生の文字と赤字になった「サントリー生ビール」の印象的なロゴ、缶や樽とは違うレトロな趣だ。若年層からは「マイペースで飲める」「SNS映えする」「なんか新しい」とじわじわ人気が拡大中。この瓶を氷でキンキンに冷やす。タライやバケツに浮かぶ姿は、まさに夏の風物詩。カランと響く氷、つるんと光る瓶、手に取ればひんやりとした感触。見て、触れて、飲みたくなる要素がぎゅっと詰まっている。冷蔵庫のスペースを使わず、客席のそばで冷やせる利点も見逃せない。小林さんも「見える場所に置けることで、“うまそう”が自然と伝わる。店舗にとっても効率的です」と話す。
大阪・梅田、東京・三田などで先行導入した店舗では、販売数が週で1.5倍、月ではなんと3倍に跳ね上がった。冷蔵庫で冷やした他社ビールとの比較調査でも、“キン冷サン生”は味の評価で72〜74パーセントの支持を獲得。他社は26〜28パーセントにとどまった。ずらりと並んだ瓶を見て「飲みたい」と答えた人は89パーセント。「冷たそう」「暑い日にぴったり」との声が続出。視覚が味覚を刺激している。実際の飲食店からも「見た目で惹きつけ、味で納得させる。これは売れる」と手応えの声が上がっているそう。
夏を演出する小道具たち。SNS映えも抜群
“キン冷サン生”の強みは、演出力にもある。特大サイズのタライには中瓶20本、大瓶なら16本がぎっしり。氷に包まれたビジュアルだけで涼しさ満点。中サイズや3本入りのバケツタイプもあり、提供スタイルに合わせて選べる。クーラーボックスで冷やしながら見せるスタイルも便利。実用性と涼感を兼ね備え、見た目の演出にも最適。手ぬぐいやステッカーなどの販促アイテムも夏気分を盛り上げる。
瓶が並ぶ姿、カランと鳴る氷、漂うひんやりした空気感。すべてが「一杯やりたい」と思わせる。視覚と聴覚から、おいしさのスイッチを入れてくれる体験が、いま広がっている。
ペアリングで冴える。料理とキン冷の名コンビ
テーブルに並んだ2本の瓶。冷蔵庫で冷やしたビールと、氷でキンキンに冷やした“キン冷サン生”。見た目は同じでも、飲み比べるとその違いは歴然だった。
「冷蔵庫では4~6度、氷水ならさらに数度下がります」と小林さん。タライで冷やした“キン冷サン生”は、キリッとさっぱりした喉越しが際立ち、炭酸の立ち上がりも勢いよく感じられた。ひと口飲めば、口の中から喉にかけて、涼しさがすっと抜けていくのが感じられた。
さらにこの冷たさ、料理との相性も抜群だった。まずは鶏皮たれ串。赤はピリ辛だれが食欲をそそり、白はコショウのキレがあとを引く。ぷるっとした鶏皮にかぶりつくと、ジュワッと熱々の脂が広がる。そこへキン冷を流し込めば、スパイスの余韻がすっと引いていく。ひんやりとした余白が生まれ、次のひと口が恋しくなった。まさに“冷やしビール”の真骨頂。続いてマグロの赤身。しっとりとした舌ざわりに、クリアなキン冷がそっと寄り添う。スッキリとした味わいが、赤身のコクをほどよく引き立てる。最後は枝豆。プリっと弾ける甘みと塩気に、キン冷の苦味がぴたりとはまる。飲んで、つまんで、また飲んで。自然と笑いがこぼれ、気づけばグラスが空っぽに。つい、「もう一杯!」と声をかけたくなる。
冷たいだけじゃない。見た目、音、温度、味。すべてが食欲をくすぐる。“キン冷サン生”は、夏のビール体験をまるごと変えてくれる。タライに浮かぶ瓶を眺めれば、喉がゴクリと鳴る。カランと響く氷の音が、気持ちをさらに後押ししてくる。ひと口飲めば、スッと気分が軽くなる。「ここで飲みたい」と思わせる。その理由が、この一杯には詰まっていた。
取材・文 = 北村康行 撮影 = 樋口涼
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