地元・栃木への思いをまっすぐに語るU字工事のふたり。子どもの頃から親しんだ風景や、今だからこそ伝えたい“栃木のいいところ”を、笑いを交えながらたっぷり紹介してくれた。昨年(2024年)の「モビリティリゾートもてぎ 花火の祭典」でのエピソードや、同施設での出来事も交えつつ、ふたりの目線から見える“栃木のおもしろさ”が浮かび上がってきた。
笑いのなかに栃木への地元愛。U字工事が語る“だっぺ”が刺さるふるさとエンタメ論
ーーまずは、おふたりにとって栃木はどんな場所ですか?
【益子卓郎】生まれた場所ってだけで、もう一番好きですよ。自然も豊かだし、野菜も米もうまい。ほんと、いいところに生まれたなって、しみじみ思いますね。
【福田薫】オレも全く同じ気持ち。栃木のネタを使わせてもらったことで今があるから、年々「ありがとう」って気持ち、恩返ししたいという思いがどんどん強くなってます。
ーー昔から“恩返し”を意識してたんですか?
【福田薫】いや、最初は「栃木ネタってウケる!」って、ラッキーくらいに思ってました(笑)。でも今は、SNSで栃木のことを発信したり、意識するようになりましたね。
【益子卓郎】オレは“恩返し”っていうより、「盛り上がればいいな」って感覚かな。ネタじゃなくても、地元のためになることができたらいいと思ってます。
ーー地元への想いを軸にしたエンタメの魅力は、どのように感じていますか?
【益子卓郎】隣県同士で、悪ふざけしたりジョークを飛ばしながら、「うちの県が一番だ!」みたいな演出や、その県の特産といった情報を扱う番組は、ここ10数年でさらに流行っている気がしますよね。
【福田薫】やっぱ、みんな地元愛って持ってるんだなっていうのは感じますね。オレらも栃木を背負って戦うことが、人よりちょっと多いんで。○○対決とかやると、やっぱみんな地元愛が強いんだなって思いますよ。
【益子卓郎】漫才とかだと、やっぱりお笑いだから地元に対して自虐になってくるんですね。でも、ロケに出てみると、すごくいい魅力も発見できるんですよ。そういうネタ以外のいい部分も見てほしいですね。
ーー地域によってウケ方の違いはありますか?
【益子卓郎】やっぱり地元とか、関東、栃木、茨城あたりでやると、一番ウケやすいですね。ネタやってる途中でも、地元のスーパーの名前とか、ふと出したくなるんですよ。そしたら「知ってる!」って反応してくれて、そこでもうひと笑い取れるんです。こっちも自然とポロッと言いたくなっちゃうんですよね。
【福田薫】栃木はもちろんホームですけど、茨城とか福島も、ちょっとホーム感あるんですよね。なんか、あったかいというか、受け入れてくれてる感じがすごくあって。
ーー福島もそうなんですね。
【福田薫】福島は多いですね。あったかく迎えてくれる会場、けっこうあるんで。たぶん、言葉の感じも近いからかもしれないですね。
【益子卓郎】群馬はちょっと雰囲気が違うというか、「なんだっぺ」の“ぺ”の言葉に馴染みがないのかも。福島や茨城の人たちは“だっぺ”って聞くと「出た出た〜」って喜んでくれるけど、群馬はそこまで響かない感じはあります。でも、群馬も北関東としてちゃんと温かく迎えてくれるんで、やりやすいです。
「知られていないのがもったいない」U字工事が語る、栃木の楽しみ方
ーー地元を紹介するときに気をつけてることってありますか?
【福田薫】「東京から近い」っていうのは、本当に伝えたいポイントなんですよ。新幹線でも特急でも1本で行けるし、交通費もそこまでかからない。若いころって、移動費だけで「今回はやめとくか」ってなったりするじゃないですか。だから、そこがハードルにならないっていうのは、かなり大きい。レンタカーを借りて日帰りでも十分楽しめる距離感だし、「行ってみようかな」って思ってもらいやすいと思います。
【益子卓郎】あとはやっぱり、誰に向けて話すかっていうのも意識してますね。たとえばファミリー層に紹介するなら、那須みたいに家族で遊べるスポットが多いエリアを推します。遊園地もあるし、動物系の施設も充実してるし、いちご狩りとか、華やかでわかりやすいコンテンツがいっぱいあるから。まずそういう「メインどころ」を最初に紹介するんです。
【福田薫】確かに、そういう「とっつきやすい部分」から入ってもらうと、そのあとの情報も入ってきやすいんですよね。
【益子卓郎】で、そこからちょっと踏み込んで、「実はこんな穴場もあるよ」って。たとえば、ソフトクリームがおいしいお店があるとか、雰囲気のいいカフェがあるとか。最初からディープな話をすると置いていってしまうこともあるから、「家族で楽しめる」っていうことも伝えるようにしてますね。
ーーおすすめの穴場スポットを教えてください。
【福田薫】けっこう難しいんですよね、穴場って。オレらの中でベタかと思ったら、相手からすると実は穴場って場合もあるんで。
【益子卓郎】井頭(いがしら)公園!グランピング施設があるんですけど、あれけっこう穴場ですよ。家族連れも多くて、意外と知られてないのがもったいないくらい。あと、地元なので、子どもの頃からよく食べていたんですけど、那珂川の鮎を紹介すると喜ぶ人が多いんですよ。大田原にある“やな”で食べる鮎の串焼きもおいしくて、めちゃくちゃ行ってました。スーパーで見る鮎とは全く違って、炭でじっくり焼かれた身はふっくら、香ばしい香りがたまらない。あと、じいちゃんが鮎釣りしてたから、家でも普通に焼いて食ってたんですよ。皮はパリパリ、中はふわっと。今思うと、あれめちゃくちゃ贅沢だったな。子どもの頃は「鮎なんて毎日食べたくない」って思ってて、「もう、いんねぇ」とか言ってました(笑)。
【福田薫】宇都宮といえば、餃子の陰に隠れてるけど、実は焼きそばもうまいんですよ。
【益子卓郎】あと温泉だったら塩原とか鬼怒川が有名だけど、喜連川とか板室もいい。それと、那珂川町の馬頭温泉。那珂川を眺めながら湯に浸かる時間がほんと贅沢。ひっそり行きたくなるような場所ですね。
ーー今後、さらに栃木を盛り上げるためにやってみたい企画はありますか?
【福田薫】毎年やると大変なんで、10年に一回ぐらいで、オール栃木芸人のライブやりたいですね。10年に一回くらいならみんな無理せずスケジュールも合わせやすいと思うんです。阿佐ヶ谷姉妹さんとかザ・たっちさんとか、そういう地元つながりの芸人が一堂に介したら、なんかおもしろそうじゃないですか。
【益子卓郎】それ毎年やる話じゃん(笑)。10年に一回って逆に忘れられるよ。でもまあ、やること自体は全然アリだと思う。ただ、そこまで華のあるメンバーでもないし、小ホールでやって終わりそうな気が(笑)。
【福田薫】そうそう、なんかフェスっていうより“定例ライブ”って感じかもね(笑)。
【益子卓郎】昔、佐野で「佐藤vs鈴木」の野球大会ってのがあって、あれはおもしろかったんですよ。「佐藤」という名字が佐野発祥ってことで、佐藤チームと鈴木チームで対戦したんですけど、そういう企画モノはアリだなって思います。
【福田薫】じゃあ、オール栃木vs全国で「餃子大食い大会」とかどう?あるいは、いちご早食い選手権とか。
【益子卓郎】栃木は強いっすよ。ジャイアント白田さんの出身地ですからね。大食い界のレジェンドがいますから。
【福田薫】でも白田さん、今めっちゃ痩せてますけど?全然食べそうな雰囲気ないし(笑)。
【益子卓郎】それでもレジェンドだっぺ。YouTubeでも大食い流行ってるし、栃木の名産使って他県から出場者集めてトーナメントやったら、かなり盛り上がると思う。栃木が誇る名産を使った「大食い対決」、これは熱いよ。
U字工事が“前座”で笑いを提供!栃木愛たっぷりトークとサーキット上空に広がる大きな花火
ーー去年の「モビリティリゾートもてぎ 花火の祭典」での大会前のトークショー、どうでした?
【福田薫】楽しかったけど、サーキットの中って異様な雰囲気なんですよ。
【益子卓郎】(客席の)横幅がすごくて、宇都宮市文化会館の40倍くらいあるんじゃないかって(笑)。本当は、もてぎの道の駅くらいが楽なんですよね(笑)。
ーー緊張されました?
【福田薫】基本、花火の打ち上げを待っている人たちなんで、オレらはあくまでサブ。だから「受け入れてもらえるかな?」って、正直思いましたね。
【益子卓郎】本当に光栄ですね。“花火さんの前座”をやらせてもらいました。“小花火”になった気持ちで頑張りました(笑)。
ーーそのあと花火は見られましたか?
【益子卓郎】楽屋に戻って、少し遠くからですが、ちゃんと見えましたよ。
【福田薫】売店のほうで見ました。
【益子卓郎】サーキット会場を使った花火って、暗闇の中から上がるから迫力がすごくて。やっぱり一発打ち上がるごとに「おぉ〜!」って声が出ちゃいますね。
【福田薫】あそこの出店で売ってた真っ赤な煮いかのインパクトが強すぎて…すごいビジュアルでした。
【益子卓郎】あれ、スゴかったな。お酒がすごく進む(笑)。
ーー以前、冬の花火も見られたんでよね?
【福田薫】あのときは、打ち上げる前に、募集した願いをアナウンスしていたんですよ。そしたら「U字工事と飲みに行きたい!」っていう願いのあとに、ドカーンって(笑)。すごく印象に残ってます。
【益子卓郎】冬の花火って空気が澄んでて、音が乾いて響くんですよ。「パーン!」って。それがまたいい。
ーー花火の観覧環境としての快適さはどうでしたか?
【福田薫】トイレが仮設じゃないって、かなり大きいポイント。特に家族連れやカップルにはありがたいと思います。川沿いの花火大会って、トイレが少なかったり仮設で混んだりすることが多いけど、ここは常設で清潔。小さな子ども連れのファミリーや、“まだそこまで気を許し合えていないカップル同士”にとってはうれしいですよね。もう付き合いが長くて「オレ、行ってくるわ」って言えるくらいならいいんですけど。そこはほんといいと思いました。
【益子卓郎】足元もドロドロにならないし、席も決まってるし、屋台も並びやすいし、ほんとに快適でしたね。川沿いや河原のイベントって、足元がぬかるんでぐちゃぐちゃになることが多いですけど、ここは舗装されていて安心感がある。あと、屋台の数もちょうどよくて、食べ物にすぐ手が届く。特に子ども連れのファミリーにとっては並ぶ時間が短いってすごく助かるんですよ。
ーーおふたりのトークショーがスムーズな観客の入りにも影響があったと聞いています。
【福田薫】18時30分からのトークショーで、だいぶお客さんが早めに着席してくれて、運営もスムーズだったらしいです。花火大会って、どうしても開演直前にドッと人が集まってくると思うんですけど、ステージイベントがあることで来場時間が分散されたみたいなんですよね。
【益子卓郎】入場分散に貢献したと聞いて、なんかうれしかったですね。そんな貢献の仕方あるんだって。芸人が入場の流れをよくするって聞いたことないですから(笑)。
サーキットだけじゃない!乗って遊べて走れる“モビリティリゾートもてぎ”をU字工事が全力紹介
ーー花火大会以外についても質問させてください。おふたりが思うモビリティリゾートもてぎの魅力は?
【福田薫】「森感覚アスレチック DOKIDOKI」とか、巨大な迷路「迷宮森殿 ITADAKI」とか、作り込みがしっかりしててめっちゃ楽しいですよ。迷路は大人でもけっこうムズい(笑)。
【益子卓郎】「メガジップライン つばさ」も最高!実は、最初に挑戦したのがオレらだったんですよ。
ーー えっ、本当ですか?
【福田薫】発表会のときに、最初に乗せてもらったんだよな。
【益子卓郎】そう。スギちゃんさんと。あのメガジップライン、ほんと気持ちいい。でも、乗る直前に「やっぱやめます」ってなる人もたまにいて(笑)。
ーー高いところが苦手な人は、ちょっとビビるかもしれませんね。
【益子卓郎】まあ、でも安全だし、やってみたらめちゃくちゃ気持ちいいです。
ーー小さなお子さんでも楽しめる場所は?
【福田薫】子どもでも「モトレーサー」などでバイクにも乗れるし、普通に遊べる施設が多いんですよ。
【益子卓郎】揺れる乗り物があって、水の中や岩場の斜面を巨大オフロードマシンで進むアトラクションもおすすめ!2歳からOKってすごくないですか?しっかり安全に作られてるし、小さい子も大喜びしますよ。
ーーちなみにモビリティリゾートもてぎの担当者から伺ったのですが、益子さんはいつも、その“揺れる乗り物”の名前を間違えるそうですね?今、さらっと言えますか?
【益子卓郎】えっ、出た…これ毎回間違えるんですよ。ガタゴト?ガタガタ?あれ? 今、完全に試されてるな…怖い(笑)。
【福田薫】あ〜、あの乗り物のことだよね?名前、なんだっけ…。ガッタンカー?
【益子卓郎】いや、それは違う!それはガッタンゴーっつって飛騨高山のやつ…。あ〜もう、出てこない…。…あっ、デコボコだ!
ーー正解です!
【益子卓郎】よっしゃ!「オフロードアドベンチャー DEKOBOKO(デコボコ)」っていうんですよ。ほんと、いつもごっちゃになっちゃう。でも、あれも子どもでも運転できるんですよね。これから花火もそうですし、ファミリーで遊びに行く場所としてすごくいいです。そういうイメージを持ってますね。
【福田薫】クルマとかに興味あるちびっ子も楽しめるし、ほんとに幅広く遊べる場所だと思います。サーキットっていうと走るだけの場所って思うかもしれないですけど、「モビリティリゾート」って名前の通り、いろいろなことが体験できる場所なんですよ。
ーーでは最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
【益子卓郎】茨城か群馬かで迷ったら、もうまっすぐ栃木へ来てください!来てくれたら、あとはオレらと地元の人たちでなんとかします(笑)。
【福田薫】テレビじゃ伝わらない“生の花火”を、最高の環境で観てほしいですね。トイレも快適、屋台も買いやすい、ほんとにいいイベントですよ!
ーーありがとうございました。当日のステージも楽しみですね。
自然の中でのびのび遊べて、花火もゆったり楽しめて、ご飯もおいしい。U字工事のふたりが語るように、栃木には家族や友人と気軽に出かけたくなるスポットがたくさんそろっている。東京からのアクセスもよく、日帰りでも泊まりでも楽しめるのがうれしいところ。間もなく迎える今年の夏、バカンスの目的地に栃木を、そしてモビリティリゾートもてぎを選んでみてはどう?
取材・インタビュー=浅野祐介、取材・文=北村康行、撮影=藤巻祐介
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