75歳のおばあちゃんが夜逃げ!50年間一度も見られなかった思い出の海に「ただいま」【作者インタビュー】

東京ウォーカー(全国版)

自分を見失ったミツコさん画像提供:宮野シンイチさん

子どものころから漫画が好きで、ユーモア溢れる漫画を描いている宮野シンイチ (@Chameleon_0219) さん。X(旧Twitter)にて公開された「夜逃げ屋日記」は、DV被害などに遭う依頼者を夜逃げさせた実話を基に描かれた人気漫画だ。今回は、過去にウォーカープラスで紹介した「夜逃げ屋日記」の49~50話をお届けするとともに、著者に依頼者が夜逃げを選択したことについても話を聞いた。

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「おい、お前」名前を呼ばれない日々と自分を取り戻した最期の1カ月半

「夜逃げ屋日記」49-1画像提供:宮野シンイチさん

「夜逃げ屋日記」49-2画像提供:宮野シンイチさん

49-3画像提供:宮野シンイチさん

本作「夜逃げ屋日記」は、夜逃げ屋に就職した作者、宮野シンイチさんの実話を元に描かれており、今回の49~50話は75歳で夜逃げを決めた朝倉ミツコさんの話だ。

夫も義母も実家への帰省を嫌っていたため、50年前に嫁いでから一度も海を見ていないというミツコさん。唯一の実家との関わりは、そんなミツコさんを心配してときどき様子を見に来てくれていた妹さんの存在だけで、ミツコさんが大好きな母を亡くしたつらい日々のなかで何時間も眺めていたという海の思い出も遠い記憶の中…。今までの人生を振り返ると、夫や義母から長い間名前を呼ばれなかったせいで、ミツコさんは自分が誰なのかハッキリしなくなって名前と姿が一致しなくなっていた。鏡に映った自分自身の姿をよく見て「ミツコ、ミツコ」と繰り返し名前を呼び自分を取り戻していく。一度は夜逃げの中断を申し出たミツコさんだったが、夜逃げを決行し海の近くに引っ越すと、ずっと見たかった海を眺めて若いころに戻ったような気持ちになり、「ただいま」とつぶやいた。医者から余命を告げられていたミツコさんは、残念ながらこの日から1カ月半後に病状が急激に悪化し息を引き取ってしまう。妹さん曰く、ミツコさんは病床で長年の結婚生活にはほとんど触れることなく、幼いころの思い出を楽しそうに話していたようだ。

宮野さんはミツコさんが余命3カ月で夜逃げを決意したことについて「もう本人はこの世にはいませんから、自分の想像になりますが妹さんの話を聞く限りやってよかったと思っています」と語ってくれた。

夜逃げ屋とはどんな仕事なのか、興味や関心があればこの機会に一度読んでみて欲しい。

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取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)

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