普段は素っ気ない距離感ながら、プライベートでは自分にベタ惚れな幼馴染の少女。それは単なる二面性ではなく、「恋する人格」と「そうでない人格」の差だった……。
たけみつ
(@take_samurai1)
さんの創作漫画「恋心は解離する」は、幼馴染に対して正反対の人格を抱える少女と、それぞれの人格と向き合う少年を描いた恋愛漫画シリーズだ。
多重人格という題材を真摯に捉えながらも、コミカルで甘酸っぱいシチュエーションにSNS上で多くの反響が寄せられた同作。そんな同作のあらすじを紹介するとともに、Amazon Kindle インディーズの電子書籍版にも2000件の評価が集まる人気作が生まれたきっかけを、作者のたけみつさんに取材した。
クールな主人格と甘え上手な副人格。二重人格の行方に目が離せない
ある少女の「二つの心」が描かれている本作、「恋心は解離する」は、幼なじみの少年・フミを巡って生まれた「もうひとりの私」との関係を描いた物語だ。ヒロインの秋月空は、フミに冷たく接してしまう少女。その一方で、フミの前には甘え上手な「もう一人の空」が現れる。彼女の正体は、空の中にある強すぎた恋心が切り離されて生まれた副人格「雨」だった。
「ヒロインのキャラクターを考えるとき、なにかしら個性が必要になってくると思うんですが、そんなときに思いついたのが二重人格のキャラでして」と語るのは、作者のたけみつさん。そこから「恋心が切り離されて副人格になる」というアイデアが広がり、描き始めたそうだ。
序盤では、雨の行き過ぎた甘えと、空の塩対応が強く対比されている。物語が進むにつれて「雨は病み部分を抑えて常識を覚えていき、空は塩対応が薄まり、少しずつデレていくみたいな変化をつけられたら」と、キャラの変化を丁寧に描いたそうだ。また、外見がまったく同じ二人を描き分けるために、表情に差をつけたといい、「雨は大口開けて笑いますし、空は逆に微笑む感じの笑い方をするみたいな」と細かなこだわりを明かしてくれた。
結末は物語の当初から決めていたが、最終話でタイトルを回収するようなシーンについては「最初は全く考えてなくて、最終話の2~3話前ぐらいで、こういう描写にしたらタイトル回収っぽいかもという思い付きで描きました」と、作品を振り返った。「好き」という気持ちが強すぎたからこそ生まれた、もうひとりの彼女。ふたりの心が迎える結末を、ぜひその目で見届けてほしい。
取材協力:たけみつ(@take_samurai1)