長きにわたり祀られていた「神像」が逃げた。「神像」は、女・子どもの願いを叶えるという。その結末が毎回恐ろしい。今回は、さかいめがみ(
@shindelmegami
)さんが描く創作漫画「さいの神様がいるシリーズ」を紹介するとともに制作の経緯などを聞く。
コメディ作家の本気ホラーが怖すぎる…ギャグとの落差に思わず引き込まれる!
始まりは、光る火の玉が布団の上を旋回する不気味なシーンだった。その火の玉はすさまじい速さになり、眠っていた子供は焼け焦げてしまう。その後燃え尽きた姿の子供が少女の眠る枕元に現れ、「真実を伝えてほしい」と訴えかけた。彼女は、お祓いができる家系の出身だったが、その「無念」の強さが怖かった。物語の鍵を握るのは、村を守っていた「さいの神様」。神社の境内に転がる少年の頭部、壊れた神像…。そこから物語が展開していく。
本作、「さいの神様がいるシリーズ」を手がけるのは、ふだんはコメディ漫画を得意とする、さかいめがみさん。初めての本格ホラーに「自分の中の綺麗ごとを捨てた」と語ってくれた。理不尽に命が奪われ、人間では抗えない力が入り込む恐ろしさなど、あえて救いのない展開を描き、人間では抗えない力が入り込む恐ろしさを浮かび上がらせた。
「『これまで以上にもっと怖いホラーを描いてみたい!』と思い、第1話の『逃げた』を全力で描いた」と語るさかいめがみさん。思ってた以上に怖い絵が多くなったことから、第2話には「怖いのに見たくなる」読者のための「モザイク版」が登場。これは後のエピソードへと続く伏線になっており、「神様の優しさ」として物語に深みを与えている。
「さいの神様」は、さかいめがみさんが創作を始めるきっかけとなった存在でもあるそうだ。「描いていて楽しい」「読んでいて楽しい」ホラーを届けたいという思いが詰まったシリーズ。気になる方は、ぜひ作品をのぞいてみてほしい。
取材協力:さかいめがみ(佐海暝一)
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