サントリーは2025年7月8日、ノンアルコール飲料を作る際のベースとして、飲食店向け新商品“ベースのノンアル”「ZEROPPA(ゼロッパ)」を発表。9月16日(火)より全国の飲料店向けに発売する。それに先立ち、一部商業施設やコンセプトショップにて店舗での先行提供を7月8日より順次スタートしている。
サントリーの“ベースのノンアル”体験会で発表されたZEROPPAのポイントやサントリーノンアル部の取り組み、ひと足先に試飲した記者の感想、先行体験できるスポットについて紹介する。
ウイスキーや焼酎を脱アルコール化したエキスを用いた「ZEROPPA」
サワーやカクテルは一般的に、焼酎やウイスキー、リキュールなど、ベースとなる酒を炭酸水やジュースといった割り材で割って作る。“ベースのノンアル”ZEROPPAは、割り材ではなくノンアルコールサワーやカクテルのベース、いわゆる“中味”として位置づけられた商品だ。ネーミングにはアルコール“ゼロ”で“パッ”とノンアルコールサワーが作れるという意味が込められている。
サントリーのスピリッツ・ワイン開発生産本部 スピリッツ・ワイン商品開発研究部の宮嶋麻由さんによると、「さまざまな清涼飲料との相性のよさ」「プレーンの炭酸水で割ってもおいしいこと」「お酒のような余韻や後味を付与できること」の3つを目指し開発したというZEROPPA。サントリーが厳選したウイスキー・焼酎から極力熱をかけずアルコール分を取り除き、お酒のような香味のエキスを抽出。本商品では焼酎エキスとウイスキーエキスをブレンドして使用し、お酒のような複雑な味わいや余韻を表現したと話す。
今回、筆者は「ZEROPPA+炭酸水」「ZEROPPA+ペプシ・コーラ」の2種を試飲。ソーダ割りでは酸味のある甘味とほのかな苦味、ソフトドリンクとは異なるドライな後味がはっきりと感じられた。一方でコーラ割りでは、両者の味がぶつかることなく、重層的になった味わいが一口の飲みごたえと余韻を強めているように感じた。どの割り材にも合いながら、ほかのノンアルコール飲料にはない一癖が強みの一つに思える。
ノンアルを「スマートな飲み物からファンな飲み物に」
サントリーは2025年に各部門のノンアルコール飲料担当を集約した「ノンアル部」を新設。ビール・RTD本部 ノンアル部長の福本匡志さんは「“アルコール0.00%のお酒”という唯一無二の価値」とノンアルコール飲料の魅力を掲げる。そのうえで、「ノンアルをスマートな飲み物からファンな飲み物に変える」「我慢のときの選択とするのではなく、ポジティブに選択していただけるような飲み物にしていきたい」と、代替品としてではなく、お酒の持つ価値をノンアルコールで実現したいという目標を強調した。
ZEROPPAは、2025年下期にサントリーが取り組む飲食店でのノンアルコール体験拡大に連なる新商品。飲食店側の保管スペースやオペレーションといった課題からノンアルコールメニューの拡充が難しいなか、炭酸水やソフトドリンクとの組み合わせで飲食店でのノンアルメニュー拡大につなげたい狙いで、今後は「ZEROPPAを使って、お酒とノンアルコールを交互に飲んだりするような“ゼブラ飲み”を提案してまいりたい」と、海外でも節度ある飲み方「ゼブラ・ストライピング」として注目されつつあるスタイルにも切り込んでいく構えだ。
東京タワーに常設のノンアルコンセプトショップをオープン
ZEROPPAの9月16日(火)からの展開に先駆け、サントリーは7月18日(金)から東京タワーのフットタウンビルにて、ノンアルコンセプトショップ「ノンアル∞STAND by ZEROPPA(ノンアル ムゲンダイ スタンド バイ ゼロッパ)」をオープンする。サントリーのノンアルコール飲料としては初の常設コンセプトショップとなる。
同店では「ゼロよい 東京タワーサワー」や「ゼロよい 東京タワーサワー」(各680円)、「ゼロよい サワー」各種(プレーン/レモン/梅干しなど。各500円)といった、ZEROPPAを用いた「ゼロよいサワー」を中心にオリジナルメニューを提供。「北海道ザンギ」(500円)や「クリスピーポテト」(500円)、「黒毛和牛メンチカツ」(550円)と、相性のよいフードメニューも取りそろえる。福本さんは「東京タワーを見上げながらノンアルコール飲料を楽しんでいただく、記憶に残る体験ができる場を目指してまいりたい」と話す。
また、体験会と同日の7月8日からは東京・二子玉川ライズ プレミアムビアテラスにて、7月13日(日)からは同日グランドオープンするIGアリーナ(愛知国際アリーナ、愛知県名古屋市)にて、ZEROPPAを使ったカクテルが体験できる場を設けるという。
今後は年内で1000店舗の取り扱い、中長期的にはサントリーのノンアルコール飲料取扱店の10%ほどにあたる5000店舗以上を目標に展開していくというZEROPPA。飲食店側も独自のレシピでオリジナリティを打ち出せる可能性のある商品だけに、今後の広がりに期待が高まる。
取材・文=国分洋平
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