2021年に「少年ジャンプ+」で連載がスタートするや否や、SNSで話題を呼んだタイザン5さんのマンガ『タコピーの原罪』。わずか2巻という短い物語ながら、発行部数は驚異の145万部を突破。そんな異例のヒット作が、満を持してアニメ化され、2025年6月28日から配信がスタートした。
ハッピー道具が引き起こす、予想外の展開とは?
「このマンガがすごい!2023」オトコ編で堂々の3位にランクインした本作。一見するとほのぼのとした作品に見えるが、実際に読んでみると、そのギャップに驚かされる。かわいらしいキャラクターデザインの裏側に、誰もが目を背けたくなるような重いテーマが隠されているのだ。
配信前に公開されたメインビジュアルには、物語の舞台となる公園を背景に、主人公のタコピー、しずか、まりな、東の4人が描かれている。注目すべきは、このイラストを取り囲む赤い“リボン”。一見装飾に見えるこの“リボン”が、実は作中で重要な意味を持つ。
ストーリーの導入部はいたってシンプル。「ハッピーを広めるため」地球にやってきたハッピー星人のタコピーは、空腹で倒れていたところを小学4年生の少女・久世しずかに助けられる。恩返しとばかりに、タコピーは不思議な「ハッピー道具」を使って、しずかを笑顔にしようと奮闘する。
まるでドラえもんのような設定——そう思った視聴者は、第1話のラストで度肝を抜かれることになる。ハッピー道具の一つ“仲直りリボン”が、まったく予想外の使われ方をするのだ。
ここから先の展開は、実際に観てもらうしかない。ただ一つ言えるのは、タコピーの純粋さが、時として最も残酷な結果を招くということ。彼は悪意など微塵も持たない。ただ「しずかちゃんを笑顔にしたい」という一心で行動する。しかし、人間社会の複雑さを理解できないタコピーの善意は、事態をどんどん悪化させていく。
すでに第3話まで視聴した人たちからは、「だんだんタコピーが事の重大さに気づいていっているのがつらい」という声や、「絶望の沼に飲み込まれる」といった重い感想も。さらには「見てはいけないものを見てしまった気分になりながらも、この先の物語への好奇心が抑えきれなくなる」という、まさに本作の魅力を端的に表現したコメントも見受けられた。
作品世界を彩る、ano×Teleの楽曲にも注目
アニメを彩る主題歌にも注目したい。オープニングテーマ「ハッピーラッキーチャッピー」を担当するanoさんは、自身も原作のファンだったそう。
「作品が抱える重く苦しい部分に共感するところがあったからこそ、今回お話を頂いて、どんなふうに曲にしたらいいのかすごく悩みました。自分の中学生時代、周りに色がない感覚だった時のこと、そしてそれは今でも陥ること、それをありのまま書きました」
一聴すると明るいポップソングに聞こえる「ハッピーラッキーチャッピー」だが、歌詞をよく聴くと、孤独や疎外感が滲んでいることに気づく。
一方、エンディングテーマを手がけたTeleさんは、「タコピーという存在に自分を重ねてしまう。ある一面では音楽だってハッピー道具みたいなものだから」と前置きしたうえで、「この作品に出てくる人物は、誰もが酸欠の魚みたいに喘いで生きている。僕が彼らにできるのはこの曲を書くことだけだった。まるで旧知己へ手紙を送るように音を重ねていった」と創作への思いを吐露している。
監督は飯野慎也さんが務め、タコピー役に間宮くるみさん、しずか役に上田麗奈さん、まりな役に小原好美さん、東役に永瀬アンナさんという実力派声優陣が集結。原作者のタイザン5さんも、連載当時から支えてくれたファンや制作陣への感謝を述べつつ、「一視聴者として とても楽しみです…」と、自身もアニメを心待ちにしている様子を見せている。
『タコピーの原罪』は、Netflix、Amazon Prime Video、ABEMAをはじめ、U-NEXT、Disney+、DMM TV、dアニメストア、Hulu、J:COM STREAM、Lemino、milplus、TELASA、WOWOWオンデマンド、アニメタイムズ、アニメ放題、ニコニコチャンネル、バンダイチャンネル、ふらっと動画など、多数のプラットフォームで配信中。毎週土曜日の0時から最新話が公開。7月15日現在で第3話まで配信済みで、今から見始めても十分に追いつくことができる。この夏、あなたも『タコピーの原罪』の世界に飛び込んでみては?ただし、心の準備はお忘れなく。
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