「月刊アフタヌーン」四季賞佳作を受賞し、商業誌で読切を描く新人漫画家ふみんさん(@huuuminging)。人間が抱える繊細な感情や内面を描く描写を得意とする。今回紹介する『春の行方』は、2023年にpixiv月例賞優秀賞を受賞した作品だ。春の通勤電車を舞台に、さまざまな感情を抱えた人々の揺れ動く様子が描かれる。
「ナイフみたいに鋭い」共感!消えていく時間の記録
電車内で、主人公は新入社員だったころを思い出す。同期が「東京の電車って混んでるよな」とつぶやくと、「春だけだよ、あんなに混むの。新年度だからさ…!GWあたりには減るよ」と答えた。すると同期は「へぇ~。ならさ、みんなどこに消えるんやろ」と遠くを見つめる。当時は「東京七不思議っちゃな!」と笑っていた主人公たちだったが…!
読者からは「すごく共感します」「この解決も悪化もしないで、ただただ続いていく感じリアルよな…」「ナイフみたいに鋭くて読んでてつらいけど、控えめに言って良作」「そういう感覚、すごく覚えがあります」と反響が相次いだ。
「春の行方」を描いたきっかけについて、ふみんさんは「春は電車に乗っている人の面々が変化するように感じる」と語る。「みんなが新年度で変わる日常に、どこか風景として演じ慣れていない、そわそわふわふわしている。あの空気感や乗客の感情が伝わってくるような瞬間は、春という季節にしかないと思っている。気候も暖かくなって新しい生活が始まり、希望にも溢れているのにどこか物悲しい季節…。でもいつの間にか気づいたら、春は消えて初夏になっている。その刹那を記録しておきたくて描いた」と、作品に込めた思いを明かした。
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