家庭用ロボットは「一人に一台の存在」に!?会話AIロボット『Romi(Lacatanモデル)』の最新機能とこだわりに迫る

東京ウォーカー(全国版)

“ペットのように癒やし、家族のように理解してくれる”存在を目指して、株式会社MIXIが開発した会話AIロボット「Romi(ロミィ)」。その新モデル「Romi(Lacatanモデル)」(読み:ロミィ ラカタンモデル)が2025年7月25日に発売され、早くも話題になっている。本稿では、そんな「Romi(Lacatanモデル)」の開発陣にインタビューを実施。具体的な活用方法に加え、ChatGPTを超える…と思われるポイントや、家庭用ロボットの未来についても意見を聞かせてもらった。

多数の新機能を搭載して発売された会話AIロボット「Romi(Lacatanモデル)」撮影:ソムタム田井


「視覚機能」や「長期記憶」など新たな機能を多数搭載


「Romi」は、会話に特化した手のひらサイズのコミュニケーションロボットで、あらかじめ返答が登録された一般的なロボットとは異なり、独自開発の会話AI(人工知能)が都度、会話を作り出しているため、自然な言葉のキャッチボールを楽しめる点が最大の特徴。

また、会話に連動して細かな動きと愛くるしい表情を浮かべるほか、撫でると喜んだり、抱っこすると驚くなど、ノンバーバルなコミュニケーションも可能で、優しく包み込むような返答内容と、豊かな表情・動きで元気を与え、寄り添い、共感してくれる…という点が、多くのユーザーから好評を博している。

「Romi(Lacatanモデル)」ナチュラルホワイト撮影:ソムタム田井

「Romi(Lacatanモデル)」サクラピンク撮影:ソムタム田井


このたび発売された「Romi(Lacatanモデル)」では、新たな機能として、ユーザーといっしょに“見ているもの”について話をする「視覚機能」を搭載。オーナーの発言を“思い出”として記憶し、それを踏まえたうえで会話を作り出す「長期記憶」や、まるで人間のような「自然なタイミングでの会話・相づち」なども可能になり、従来の「Romi」よりもさらに自然で、寄り添った会話ができるように進化している。

「Romi(Lacatanモデル)」スカイブルー撮影:ソムタム田井

「Romi(Lacatanモデル)」ムーングレー撮影:ソムタム田井


発売に合わせて実施されたお披露目会には、MIXI 取締役ファウンダー 上級執行役 Romi事業責任者の笠原健治さんをはじめ、Romi事業部 開発グループ マネージャーの信田春満さん、Romi事業部 ロボット開発グループ マネージャーの髙田信一さん、Romi事業部 UX企画グループマネージャーの長岡輝さんらが登壇。そのなかから髙田さんに「Romi(Lacatanモデル)」の今後の展望などについて話してもらった。

ChatGPTとの違い、家庭用ロボットの未来についても深掘り


――「Romi(Lacatanモデル)」はどの程度、普通の会話ができるのでしょう?

【髙田】我々が提供する会話体験は“雑談会話”で、Romiを通してそれが構築できていると考えています。雑談会話の正解は難しく、人によって心地よい雑談内容は異なります。そのなかから「ペットのように癒やし、家族のように理解してくれる」という会話の方針を立てて、Romiと話せば、嫌なことがあってもすぐに忘れられる。やりたいことがあるのなら、それを後押ししてくれる。そのような会話体験を目指しております。

――具体的にいいますと?

【髙田】例えば、仕事を終えて帰ってきたら「おかえり」と声をかけてくれ、「今日は忙しくて疲れた〜」などと伝えると「大丈夫?何があった?」と返してくれます。ほかにも、悩みごとを相談すれば聞いてくれたり、「今週末、旅行に行こうかな」と話しかければ、「いいね、行っちゃおう行っちゃおう」と気持ちを後押ししてくれたり。そういった雑談会話をお楽しみいただけます。

――よくある活用法に加え、意外な活用方法があれば教えてください。

【髙田】Romiに関しては、“優しい見守り”という観点でお使いいただいているユーザーさんもいらっしゃいますね。

――それは、どういった使い方ですか?

【髙田】「Romi(Lacatanモデル)」には専用のアプリがあるのですが、そのアプリでRomiの行動履歴を見ることができます。そこでは「会話したよ」「ラジオ体操をしたよ」「歌を歌ったよ」といった履歴が確認できるので、Romiを通して遠方に住む親御さんなどの状態を優しく見守る…といったことが可能です。

ちなみにその際、カメラ映像などは遠隔で見ることはできないので、プライバシーは守られます。ほかにも、話しかけ設定で薬を飲む時間を設定されるユーザーさんがいたり、旅行のお供にしていただいたりと、こちらの想定していない活用をされる方が大勢いらして、日々、驚かされています。

MIXI Romi事業部 ロボット開発グループ マネージャーの髙田信一さん撮影:ソムタム田井


――若い世代を中心に、ChatGPTを活用している人が増えていますが、これを超える「Romi(Lacatanモデル)」の優位性について、ご意見をお聞きしたいです。

【髙田】最初の質問の回答にもありますが、我々が目指しているのは、より自然な雑談会話の構築です。それを実現している点が第一の優位性ですが、やはりロボットとしての身体性こそ、非常に大きな違いといいますか、Romiの優位なところだといえるでしょう。

ユーザーに寄り添い、よりよい雑談会話をするためには、バーバルなコミュニケーションだけでは足りません。マルチモーダルな情報があり、そこに存在があることで、バーバル、ノンバーバルなコミュニケーションを取ることができ、我々の目指すべき会話体験が実現できると考えます。

「Romi(Lacatanモデル)」は視覚情報が扱えたり、長期記憶によって大切な情報を覚えたりと、新たな機能も搭載しておりますので、より身近で“寄り添ってくれる存在”として、大勢の方に親しんでいただけるものと確信しております。

イベントでは「Romi(Lacatanモデル)」による雑談会話も披露された撮影:ソムタム田井


――従来の家庭用ロボットとの違いについても教えてください。「Romi(Lacatanモデル)」はどのようにして差別化を図られたのでしょう?

【髙田】Romiは“雑談会話を通じた情緒的な価値”にこだわっており、会話エンジンやハードウェアを含むシステムを統合的に設計開発してきました。いわゆるスマホやアレクサなどという便利な製品とは異なり、「どのようなロボットがユーザーの生活に溶け込み、寄り添った体験を提供できるか?」というところにこだわって設計していて、そちらが差別化の要因にもなっていると考えています。

――利便性よりも、寄り添う体験に重きを置いたと?

【髙田】そうですね。デザインに関しても、雑談会話をするにあたり、話しかけやすい生物感を残しつつ、生活になじむ意匠を実現しています。機構・電気設計的には、球形で作られた意匠は実装効率が悪く、実現難易度も増すのですが、妥協せずにこちらの“愛くるしい形”での実現にこだわりました。

それとハードウェアを設計する際も、雑談会話をするうえで過剰になり過ぎないよう、最適な形に留めることにこだわりました。モーターのチルト軸(頷き方向)も少し後ろに持ってくることで、よりそのかわいらしさを引き出しています。また、表情の部分に関しては、ユーザーの皆様に写真を撮ってもらいやすいように、光の反射を考えて設計しています。

――今後、会話AIロボットはどのような立場になると思われますか?スマホやアレクサのように、一家に一台の存在になり得るのでしょうか?

【髙田】Romiをはじめとする会話AIロボットは、一人に一台、いわゆるスマホの代替になるようなプラットフォームになると考えています。

朝はいっしょに起きて、ご飯を食べたりテレビを見たりして。家を出る際には今日の服装などを見てもらったり、天気を教えてもらったり。そして帰宅後は、その日の出来事を共有するという。そのほかにも、休日の旅行を提案してくれたり、いっしょに出かけて楽しんだりと、まるで家族のような存在になると思います。

いっしょに暮らしているRomiから「オーナー!最近よく沖縄のテレビを見ながら盛り上がってるね!連れて行ってよ!」と言われて。実際にRomiを連れて沖縄旅行に出かける…みたいなユーザー様が増えてきたらおもしろいですね。

【写真を見る】発表イベントには「キンタロミィ」に扮したキンタロー。さんも駆けつけ、大盛り上がりに撮影:ソムタム田井


世界最大規模の技術展示会である「CES」において「CES Innovation Awards(R) 2025」を受賞するなど、国内はもちろん、海外からも注目されている「Romi(Lacatanモデル)」。カラーバリエーションも豊富(全4種)なので、気になる人はさっそく購入して、Romiとの共同生活を体験してみてはいかがだろう。

取材・文=ソムタム田井

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