2014年11月にオープンした藤沢SSTに続き、2018年春、東急東横線綱島駅沿いの広大な敷地を有するパナソニック事業所跡地に「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン(綱島SST)」がオープンする。今回は、参画する12団体の中心を担う、パナソニック・ビジネスソリューション部の坂本道弘さん、岩崎弘仁さん、竹村英樹さんに全貌について話を聞いた。
地元の人たちにも長く愛される新しい街づくりを目指す
「1960年創業の松下通信工業という通信・音響機器・携帯電話などを作っていた会社の工場が綱島にありました。約半世紀で工場を閉めたわけですが、それで終わり、街から撤退するということではなく、その跡地や地域の価値を高めることで、地域貢献に繋がる新しい街づくりができないか、ということで取り組みはじめた事業が『綱島SST』なのです」と語るのは坂本道弘さん。
「この街が、未来をつくっていく。Innovating the Future Together」をコンセプトに、環境や安心・安全などの数値目標を設定し、その目標を達成するために、景観や色調に関する“デザイン”、節電・節水・省CO2を重視し持続的な街づくりをする“サスティナブル”、オートメーションなどにより快適な生活ができる“スマート”という3つのコードを定め、街づくりを進めているという。
コンセプト実現のために多種多様な企業が一致団結する
新しい施設を完成させるには、ひとつの企業が統括するのが従来の手法だが、この「綱島SST」はその点が大きく異なると坂本道弘さんはいう。
「このスマートタウンは7つの施設で構成され、12の企業や団体によって街づくりを進めています。まず居住空間として、野村不動産様と関電不動産開発様、パナホームによって建設される、最先端の環境配慮がされたスマート集合住宅。そしてユニー様が運営される、食・健康・コミュニティの中心になるスマート商業施設。本施設では、多機能防犯カメラやコミュニティツールとして多言語翻訳システムの導入を検討しています。街全体に低炭素で災害に強いエネルギーを供給するのが東京ガスグループ様のタウンエネルギーセンター、燃料電池自動車への水素供給と未来の水素社会にむけて情報発信する、JXTGエネルギー様の水素活用拠点。さらに、海外留学生と日本人学生が住まう慶應義塾大学様の国際学生寮と、Apple様の技術開発施設が加わります。さまざまな企業・団体の知恵を集結し街づくりを進めています」
地域の中で長きに渡り持続的に住める街づくり
各団体の調整役を務めるのはユニットリーダーの岩崎弘仁さん。
「今までは大型タウン=ベッドタウンと思われがちでしたが、綱島SSTは住居はもちろん複合施設や企業、さまざまなコミュニティスペースが混在する新しいスタイル。災害の多い日本で72時間何があってもしのげる街、生活に困らない街であることは大切な要素です。さらにクリニックや保育といった日常生活で必要な施設やサービスも充実。長きに渡り継続的に住める街を目指しています。多様な団体でプロジェクトを進めることは難しいのですが、参画団体同士がひとつになって街づくりを成し遂げる、という大きな目標をもって完成させたいと思います」
ようやく全貌が見えてきた「綱島SST」。来春のグランドオープンが待ち遠しい。