揺れ動く繊細な恋愛模様と音楽がマッチ 映画「覆面系ノイズ」中条あやみ・志尊淳インタビュー

関西ウォーカー

発行部数200万部を超える人気コミックを実写化した映画「覆面系ノイズ」(11月25日公開)は、揺れ動く感情を音楽と絡めながら繊細に描いた作品。中条あやみが演じる主人公・ニノと、志尊淳が演じるユズは覆面バンド「in No hurry to shout;」として、エモーショナルな演奏を披露。演じたキャラクターへの想い、初挑戦となったバンド演奏についてなど、中条あやみと志尊淳にインタビューを行った。

映画「覆面系ノイズ」は、福山リョウコの原作コミックを「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」の三木康一郎監督のメガホンにより実写化した作品。人を惹きつける歌声をもつ主人公・ニノ(中条あやみ)は、幼い頃に離ればなれになった初恋の相手・モモ(小関裕太)に自分の歌を届けるために、ユズ(志尊淳)のバンド「in No hurry to shout;」(通称:イノハリ)に加入。それぞれが切ない想いを抱えながら、音楽を通じて成長していく姿を丁寧に描いた青春物語となった。

主人公・ニノは、「地球の人に自分の歌声を届けたい」と自分の感情をさらけ出す女の子。これまで演じてきたタイプとは違うニノを、中条は分析する。「ニノは台風のようにみんなの感情を掻き乱して突き進んでいく強力なパワーの持つ主。だからこそポジティブ。私はちょっとネガティブなところがあるかな。純粋で真っ直ぐな女の子を演じることができて、新鮮な気持ちになりました」

中条の起用は、原作のニノを彷彿とさせるルックスに惚れ込んだ制作陣の希望により実現。原作を知っていた中条は、プレッシャーはあったものの、人間らしいニノを意識して演じることができれば大丈夫だと思った。「漫画やアニメと違って、自分にできるのは人間らしいニノを演じること。自分にオファーが来たってことは、自分らしいニノを演じればいいのかなって。人間性を大事に考えながら、自然に演じるようにしていました」

志尊が演じるユズは、ニノを真っ直ぐに想う。そのためセリフも少女漫画的なストレートな言葉が多いが、志尊が演じるとナチュラルに聞こえる。志尊は実写にしか出せない世界観が必ずあると話す。「僕は原作を大事にキャラ作りするので、原作をとにかく研究します。ユズは言葉が少ない。その分、相手のセリフを受けたときの顔など、原作では描かれていない表情にもこだわりました。その世界が実際にあるように見せるのが、実写化の強みだと思います」

バンド・イノハリのメンバーをはじめ、同年代のキャスト陣が揃った。撮影中の様子が公式SNSなどで頻繁にアップされており、仲の良さが伺える。紅一点の中条に対して志尊は、誰よりも男子だったと笑いながら振り返り、キャストとの関係性について話してくれた。「普段共演する人たちよりも距離が近かった。お互いに干渉せずに察し合う関係性ができていて、自然とフォローし合っていました。誰か一人でも欠けると関係性も変わってたと思います。それがバンドっぽいなって」

本作の大きな見どころなのが音楽。特に中条の歌声は、ニノのキャラクターがもつ芯の強さを表現するようなエモーショナルな感情で溢れている。ニノの感情をうまく織り交ぜながら力強く響かせる中条の歌声は、観客の胸にもきっと届くはず。「歌に感情を込めるっていうやり方が、最初は全然わからなくて。歌詞を細かいところを理解していくようになって、撮影の風景を思い出しながら歌っていると、自然に感情が入るようになりました」

撮影が始める前に中条の歌声を聞いていた志尊は、彼女の成長にとにかく驚かされたと目を大きくして明かす。最初の練習のときに聞いた歌声と撮影時での歌声は全くの別人だったそう。中条が照れ笑いするなか、志尊は彼女のパフォーマンス能力を絶賛。「最初の頃と比べると、佇まいが全然違う。先日もライブでお客さんの前でパフォーマンスしたとき、彼女だけ風格があるんです。頼りになるなって。『みんな、中条あやみを見てくれ!』って心の中で思っていました(笑)」

学生時代にはL'Arc〜en〜CielやGLAY、B'zなどの邦楽ロックを聞いていた志尊。今回、ギターとピアノに初挑戦した。劇中ではバンドマンさながらのギターパフォーマンスを披露している。「ギターは触ったこともなかったので、最初はヤバイなって。でも挑戦してみたら、できるようになるもんですね(笑)表現の一部と思って、弾き方にはこだわっています。参考にしたのはMIYAVIさん。サビに入った瞬間とか、スタイリッシュな弾き方は意識しましたね」

グリーン・デイやアヴリル・ラヴィーンなど洋楽ロック系を好む一方、カラオケでは山口百恵など昭和ソングも歌うと話す中条。今回、MAN WITH A MISSIONが手掛けた劇中曲を聞いたとき、どんな印象だったのか。「人間臭いところが溢れてて、ストーリーにマッチしていると思いました。この作品のためだけにある曲だと思って歌いました。最初に聴いたときは、自分が歌うことになるのを考えず『売れそうだな』と思いました(笑)」

志尊は、恋愛モノだからと敬遠せずに、ぜひ男性にも観てほしいと話す。「前を向いて生きようとするところを感じてもらえれば。諦めずに想い続けていれば叶うかもしれない、そんな背中を押してくれるような作品です。男性はきっとユズに感情移入すると思うので、ニノに振り回されてほしいです(笑)」

友達とか恋人、家族で一緒に観てもホッとする作品だと話す中条。「この作品は、それぞれの思いを届けたいけれど、届かない片思いの甘酸っぱい切なさと音楽が非常にマッチした作品です。映画館だとライブ感覚で観れるので、いい環境で観てほしいですね」

映画「覆面系ノイズ」は、11月25日(土)より全国ロードショー。

【関西ウォーカー編集部/ライター山根 翼】

山根翼

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