いつの時代もまことしやかにささやかれる怪談や都市伝説。信じる・信じないは人それぞれだが、それらの現象を“科学的に”考えたらどうなるのか?『こわ~い空想科学読本』(漫画:フルカワマモる)は、ベストセラー『空想科学読本』シリーズの著者・柳田理科雄さんが原作・監修を担当するユニークなコンセプトの学習マンガだ。
怖いものが苦手な小学生のハチローと、“何か”が視えるというクラスメイトのナナミの学校に、幽霊を信じない理科の先生・至仁神(しにがみ)がやってくる。3人は「自分の首でサッカーをする少年」や「膝の皿の裏側にくっついたフジツボ」といった怖い話を見聞きするが、至仁神先生が「実際にそれがいたら・起きたら科学的にはどうなるか?」を分かりやすく分析するという内容だ。
科学的にはありえないと分析しつつも、実際には怪奇現象が目の前で起きてしまったり……。そんな一筋縄ではいかないストーリーにも引き込まれる本作。新感覚の学習マンガが生まれたきっかけを担当編集者に聞いた。
「怖い話も見方を変えると面白い」子どもから大人まで楽しめる科学マンガ
――「怖い話」と「科学」という意外な組み合わせで学習マンガを作った狙いを教えてください。
「『こわ~い空想科学読本』は、都市伝説や学校の怪談など、子どもたちに人気の“怖い話”をテーマにした学習まんがです。主人公のハチローやナナミが通う古和杉(こわすぎ)小学校に赴任してきた至仁神(通称:死神)先生は、幽霊や怪奇現象をまったく信じない理科の先生で、目の前で起きる謎に対しても、あくまで科学的な視点で分析します。
たとえば、“自分の首でサッカーをする少年”を見て驚きつつも、生首が回転すると何度もぶつける鼻やおでこが痛いだろうことを指摘したり、生首の重さから少年の脚力を割り出したりと、まじめだけどどこかズレた姿が笑いを誘います。『怖い話も見方を変えるとこんなに面白い!』という体験を通して、ひとつの出来事をいろんな角度から考えることの面白さや大切さも、楽しく伝えられたらと思っています」
――子どもがちょっと怖がりでも楽しめますか?想定している読者の年齢層を教えてください。
「主に小学校中学年から高学年くらいを想定していますが、怖いだけで終わらないコミカルな展開になっているので、怖がりなお子さんでも楽しんでいただけると思います。ゾクッとする描写もありますが、テンポのよいギャグや『なんでそうなるの!?』という科学的な分析が入ることで、ちょっと怖くて、でも思わず笑ってしまうような“こわおもしろい”読書体験になります。保護者の方からも『子どものころから知っている怖い話を科学しているので、大人が読んでも面白く読める』といった声をいただいています」
――大人が読んでも面白いということですが、どんな題材を取り上げているのでしょうか?
「『ダッシュばばあ』『テケテケ』『八尺さま』『トンカラトン』『口裂け女』など、誰もが一度は耳にしたことのある都市伝説や学校の怪談が題材になっているので、まずは子ども時代を思い出しながら、懐かしく楽しめます。さらに、それらの怪異を科学的に分析するだけでなく、死神先生がごく自然に話しかけたり、共感したりと、先入観なく接する姿勢によって、『怖い存在=ただの恐怖』ではない、新たな一面が見えてきます。かつて怖がっていたものを、大人の目線で“再発見”できるのも、このシリーズの面白さのひとつです」
――ちなみに、編集部内でも話題になったエピソードはありますか?
「『ひざの皿のフジツボ』は、『これだけは無理……!』と顔をそむける人が社内で続出したエピソードです。ひざの皿の裏にフジツボがびっしり!という展開は、想像しただけでゾワゾワしてしまいますよね。コミックムービーとして動画も作成したのですが、ゲラや動画チェックを頼んだ人たちからは本気で嫌がられ、公式サイトにサムネイルが表示された瞬間に怒られることもありました(笑)。それでも、Xでためし読みや動画を投稿したところ、非常に高いインプレッションが得られた人気エピソードでもあります」
――本シリーズを子どもたちにどのように読んでほしいですか?
「怖い話が好きな子はもちろんですが、ちょっと変わったことにワクワクしたり、『なんで?』と考えるのが好きな子にも届いてほしいシリーズです。都市伝説や学校の怪談をまじめに分析していく展開の中で、「そんな見方があるのか!」と感じてもらえたらうれしいです。自分とはちがう視点で物事を見ることの面白さに気づく、そんなきっかけになればと思っています」
まんがを試し読み
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