冷え性はタイプによってお風呂の入り方が違う?「おふろ王子」に学ぶ家庭の入浴事情

東京ウォーカー(全国版)

11月26日といえば、“いい風呂”の日 (1126=イイフロ)。今年で15周年を迎える日本記念日協会により認定された正式な記念日だ。日本人にとってお風呂といえば疲労回復やリラックスできる場所として、温泉や銭湯など昔から慣れ親しんでいるもの。今回は、湯まわり設備メーカーのノーリツが調査した一般家庭のお風呂事情について、同メーカー研究員「おふろ王子」こと野中隆氏に学ぶ。

湯まわり設備メーカーのノーリツ研究員「おふろ王子」こと野中隆氏


―――お風呂は人を幸福にする!?

ノーリツは独自に制作している今年度の「おふろ白書」で、お風呂と幸福度について調査。その結果、50~70代で「お風呂好き」と回答した人の90.1%が幸せと回答、20~40代でもお風呂が好きな人の幸福度は同様に高い結果になったそうだ。さらに毎日入浴する人も幸福度が高く、また、50代以上の約95%の人がお風呂はリラックスできる場所として回答しており、お風呂と精神面での結び付きが明らかになった。つまり、お風呂が好きな人はもちろん、お風呂に毎日浸かる人は幸福度が高く、逆を言えばお風呂に入れば幸福度が上がるといえそうだ。

【写真を見る】タイプ別の冷え性の方のお風呂の入り方を力説する野中氏


―――冷え性のタイプによって効果的なお風呂の入り方が違う?

年代を問わず幸福度が高いお風呂。そのお風呂の重要な効果といえば、体を温めることはもちろん血管などを拡張させて人をリラックスさせる温熱効果。重力の影響を受けて体を支えるために緊張状態の筋肉を解放してくれる浮力効果。足元に下がりがちな血液を体の外から圧力をかけて心臓に戻し、血行改善やむくみの予防にもつながる水圧効果の3つだ。だがこの他にも、「おふろ王子」こと野中氏は、お風呂は冷え性の人の強い味方だという。そして、冷え性には2つのパターンがあるそうだ。

1つ目は、体はぽかぽかしているのに手足だけが冷たいタイプ。このタイプは、もともと体に熱を持っているため外から熱を取り込む必要がなく、半身浴がおすすめだそうだ。原因になっている手足の血管を広げて血行の巡りをよくすれば、体の体温調節を普通に戻すことができる。

2つ目は、手足だけでなく寒気を感じるなど体全体が冷えているタイプ。このタイプは、体の中にそもそも熱が足りないので、体全体を一度に温める全身浴がおすすめ。半身浴をしても体が全然温まらないような人がまさに当てはまる。ちなみに、このタイプは普段から(手首や足首を含め)「首」という漢字が付く部分に注意したい。首には動脈が皮膚の近くを通っているので、保温すれば体の中の方から温めることができる。

入浴事故を防ぐ方法を紹介する野中氏


―――高齢者を襲うヒートショックとは?

体を温めるために全身浴をする人は、実は注意が必要。現在、日本で起きている入浴死亡事故は年間約19000人にものぼり、中でも家庭の浴槽内での溺死者数はこの10年間で約7割増加し、その9割が65歳以上の高齢者となっている。入浴事故の原因として代表的なものは、体が温度変化を感じ急激に血圧が上下することで心臓や脳の血管にダメージを与える「ヒートショック」と呼ばれるものだ。そこで、ヒートショックを予防するために気を付けるべきポイントを3つ紹介する。

1つ目は、室内、浴室、脱衣場の寒暖差を極力減らそう。浴室は事前にシャワーによる湯張りで温め、脱衣所はヒーターの使用や浴室マットで床部分が直接体に触れないように工夫するのが効果的だ。

2つ目は、入浴の際に長風呂をしないこと。浴室や脱衣場が寒いことを気にして、必要以上に温まろうとすることでのぼせてしまう人が多い。基本は41度以下で10分以内を目安に入浴するのがおすすめ。

3つ目は、お風呂に入る前に家族にひと声かけよう。なぜなら、浴室で突然の不幸に襲われても、家族に気付いてもらえやすくなるからだ。たとえ家族が遠くにいる場合でも、メールで知らせておく習慣を付けておくと安心だ。

ただし、これらの予防法を行動に移すのが難しいという人は、この3点を取り入れた浴室暖房換気乾燥機や給湯器も販売されているので、思い切って購入するのもいいかもしれない。

リラックスできる場所として幸福度が高いお風呂。事故に気を付けながら自分の体に合った入浴方法で、お風呂ライフを満喫しよう。

永田 正雄

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