神保町よしもと漫才劇場に所属し、「M-1グランプリ2023」では準決勝進出&敗者復活戦3位という結果で注目を浴びたお笑いコンビ・ナイチンゲールダンスのヤスさん。“尖り芸人”と呼ばれた過去もあるが、その素顔は「真っすぐで熱い男」だ。そんな彼が日々感じたことを書き綴る連載「ヤスのコラム」。第18回では、攻めるために休む“オフェンシブブレイク”のススメを語る。
第18回「休みたい時に使える『オフェンシブブレイク』のマインド」
ヤスです、皆さん今日も攻勢に出てますか?
僕は基本攻勢に出ているのですが攻勢にばかり出ているとたまに心は動きたいのに身体は疲れている状態になって体調を崩したり、前のめりになりすぎて足元を掬われたりなんてありますよね、もしくはそもそも攻勢に出ていなくて休みたいのに休めない、そんな時に僕がやっているおすすめなマインド設定があります。
心に軍師ヤスを宿しましょう。
もう話を終わってもいいのですが一応説明します。
最近僕は1週間に1、2回休みを確保しています。その日はネタを書いてもいいし一日だらだらゲームして脳みそわたがしにしてもいい日としています。
2~3年前までの僕は、毎日仕事入っているのが芸人として何よりも至福だと思い100連勤したら1日しぶしぶ休み、はあ忙しい忙しいアピールをして気持ちのいい思いをしていました。
まあ別にこれも悪くなかったしどうせ心臓に鉄の杭を打たれたら人間すぐ死ぬし本人が満足なら良いと思うんですけど、今から話すのは何かを生み出す時の生産性やコスパの話として、休日はとった方が良かったということです。
僕が休日を取ってみた結果を発表します。
まずは精神病みづらい。毎日四六時中ネタ考えて賞レースのこと考え続けてたら病みました。
例えばなんか物を落としただけで、今落ちたってことはなにか賞レースで落ちることの前触れなんじゃないかとかこんなアホみたいなトリガーが日常に何十個もある感じになります。別になるのは構わないんですがそう思ったことに対して「まあそんなわけねえか」と思えばいいところを、病み気味だと「ま、まあそんなわけねえか」くらいになって遅効性の毒のように蝕んでくる感じです。
あとは体調病みづらい。休んでるんで当たり前のことなんですけどよくよく考えたらしゃかりきスケジュール入れてたころ、普通に体調崩して休むことも多くこれ復帰してから身体戻るまでのコスパ考えたら普通に休暇取ってたほうが良かったなと思っていたので休みを確保して良かったです。
やっぱり体調不良初期は気づかないことが多いので、だったら最初から崩し始める前に定期的に休みを入れて予防しようよという話です。
そして僕はこの精神と体調の病みを、休みをとってゲームで家に引きこもって筋トレでジムに引きこもる事で克服しました。でも“克服する”は120点で、“普通に生活できるように上手く付き合っていく”くらいで100点だと思います。人間歩いてるのが奇跡なんだから何個かエラーくらい出ます。そこはゆるくやっていきましょう。
でもそんな簡単に休み確保するって言うけど無理無理、って思うじゃないですか。もちろん休み確保できたら最高なんですけど、僕もどうしても丸一日休めない時やここ休みにしてくださいって言いづらい時あります。
そんな時に最初に話した軍師ヤスを宿すのです。
休む時の「すみません、休みいただきます…」みたいな気持ちを
「ふむ!今は攻め時ではない、退けい!」
という軍師ヤスを宿して休暇明け果敢に攻めるための「オフェンシブブレイク」とするのです。
これは休む期間に関わらず行ってください。例えば会社や学校の昼休憩の時間でも良いです、中途半端に休むのではなく「昼休み終わりに敵将の首を取るために今は果敢に引きこもる」。この気持ちで誰も寄せ付けず人気のない暗いとこで視覚と聴覚を遮断しながら引きこもりましょう。
私はあなたを笑いません、あなたは次攻めるために引きこもっているのです。
僕も一日だらだらゲームをしながら「休暇明け敵将の首を取るため今は何も考えずにコントローラーを握らなければならぬ!退けい!」と目をギラギラさせながら引きこもっています。
このオフェンシブブレイクの良いところは攻めの気持ちで休暇を適切に取れるところと、休暇明け攻めの気持ちで入るためそのまま仕事に取りかかりやすいです。
「あー、休みか、なにしよ。あー、もう夕方か、てか一日終わるじゃん、え!明日もう仕事?しんど」となっていては休んだ感じがあまりしません。
退く時は退く。全員疲れているこの社会では休みを取ることこそが攻めなのです。そして休みをいざ取ったら軍師ヤスを宿して絶対に休み切って見せるのです。
引きこもることは何も恥ずかしい事ではありません。現代兵法です。
オフェンシブブレイクのマインドを忘れずにあなたも大義な「退き篭り」を見せてください。