2025年8月22日より全国公開された『バレリーナ:The World of John Wick』。キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋を演じて大ヒットした『ジョン・ウィック』シリーズの最新作で、アナ・デ・アルマス演じる新たな主人公イヴの物語を、シリーズ3作目の『ジョン・ウィック:パラベラム』とクロスオーバーした時系列で描く。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。
【ストーリー】
孤児を集めて暗殺者とバレリーナを養成するロシア系犯罪組織ルスカ・ロマ。
伝説の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)を生み出したルスカ・ロマで殺しのテクニックを磨いたイヴ(アナ・デ・アルマス)は、幼いころに殺された父親の復讐に立ち上がる。
組織に背き、1000年の長きにわたって続く暗殺教団の存在を知ったイヴ。教団の拠点にたどり着いた彼女の前に、突然ジョン・ウィックが現れて…。
手榴弾や火炎放射器など驚きの武器が満載!敵と死闘を繰り広げるイヴの姿に注目
キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋ジョン・ウィックを演じ、超絶アクションが観客を魅了し続ける『ジョン・ウィック』シリーズ。シリーズ3作目の『ジョン・ウィック:パラベラム』で、復讐の果てに裏社会の掟を破り、粛清の包囲網からの逃亡を図るジョン・ウィックが頼みにした古巣の組織ルスカ・ロマ。厳格な掟を尊び、暗殺者とバレリーナを厳しく養成するこの組織を中心に、本作は『ジョン・ウィック:パラベラム』とクロスオーバーした時系列で描かれる。
これまでのシリーズ4作を手掛けたのはチャド・スタエルスキ監督だったが、今回チャド監督は製作として参加し、『ダイ・ハード 4.0』(2007年)、『トータル・リコール』(2012年)、『アンダーワールド』シリーズ(2003年、2006年、2009年、2012年、2016年)などで知られるレン・ワイズマンが監督を務めた。
今回、シリーズの新たな主演に抜擢されたのは、『ブレードランナー 2049』(2017年)、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019年)、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)などで注目されたアナ・デ・アルマス。
実は本作よりもずっと前にキアヌとの共演を果たしていたアナ。彼女のハリウッドデビュー作となった『ノック・ノック』(2016年)では、キアヌ演じる主人公の男の家に入り込み、男に拷問をする恐ろしい美女の一人を、同年に公開された『エクスポーズ 暗闇の迷宮』では、キアヌ演じる刑事が捜査をしている事件の鍵となる人物を演じている。
『ノック・ノック』は公開当時観ていたが、キアヌのかわいそうな姿だけが印象に残り、アナの存在をすっかり忘れていた。ところがその翌年、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務め、ライアン・ゴズリングが主演を務めた『ブレードランナー 2049』を鑑賞してびっくり。ライアン演じる主人公KのホログラムAIの恋人という大役にアナが抜擢されていたのだ。とっても美しく魅力的なキャラクターを好演した彼女は、この役で一気に知名度を上げた。
そのあと彼女はダニエル・クレイグが主演を務めた『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役を演じる007シリーズ最後の作品となった『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』に出演して大きな注目を集めた。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でのアナの出演時間は10分もなかったと思うが、それでも圧倒的な存在感とチャーミングなキャラクターで観客を魅了していた。ちなみに役どころはCIAの新人エージェントで、しっかりとアクションもこなしていたのが印象的だった。
そして、最新主演作となる本作では、ジョン・ウィックを生み出した組織で殺しのテクニックを磨き、父親の復讐に立ち上がるイヴを演じたアナ。殺し屋として経験を積むために命懸けの訓練を受け、組織に背いてからはあちらこちらから現れる敵と死闘を繰り広げる。その戦いでアナが使う武器は銃やナイフに加えて刀、手りゅう弾、鍋やフライパンなどとってもバラエティに富んでいる。
中でも興奮したのが、アナがアイススケートの靴をヌンチャクのように振り回したり、火炎放射器をぶっ放したりして大柄な男どもと互角に闘うシーンだ。これにはジョン・ウィックシリーズファンも大満足すること間違いなし!
本作のプロモーションで来日したレン・ワイズマン監督にアナのアクションシーンについて尋ねたところ、「アクションを完璧にこなしながら演技をするのは、簡単そうに見えて実はものすごく高いスキルが必要なんです。そのためにアナは何カ月も前からトレーニングをしていました」と答えていた。しなやかで強く美しいイヴのアクションシーンは必見である。
想像以上に多いジョン・ウィック登場シーン&ノーマン・リーダスの殺し屋役にテンションは上がりっぱなし!
正直、キアヌ演じるジョン・ウィックが本作に出演すると知ったときは“どうせ数分のカメオ出演みたいな感じでしょ?”と思っていた。ところが鑑賞してみると、めっちゃ出ている…ウソではない…めっちゃ出ているのだ。どんなシーンかはネタバレになるので詳細は書かないが、とにかく出演シーンが多いので、ジョン・ウィックがどんな形でイヴと絡むのかを楽しみにしていてほしい。
イヴに教団の手がかりを教えるダニエル・パインを演じるのは、カルト的人気を誇る『処刑人』(1999年)で注目を集め、TV シリーズ『ウォーキング・デッド』では強くて優しくてカッコいいダリル・ディクソン役でワールドスターの仲間入りを果たしたノーマン・リーダス。
彼は世界的ヒットとなったゲーム『DEATH STRANDING』(2019年)の主人公サムとしても知られているが、やはりダリルで彼を知った人が圧倒的に多いだろう。
『ウォーキング・デッド』は終末世界を描いたゾンビドラマのため、ダリルの服装はタンクトップにデニム、冬は革ジャンやライダースジャケットのスタイルが定番だったが、本作ではジャケットとパンツという小綺麗な姿が見られるのもノーマンファンにとってはうれしいポイント。出演時間は短いが、クールなアクションシーンもあるので期待してほしい。
暗殺教団の指導者・主宰を演じるのは、サスペンス映画『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)からホラー映画『ゴーストシップ』(2002年)まで幅広く出演し、近年は『マイ・プレシャス・リスト』(2016年)、『ヘレディタリー/継承』(2018年)などにも出演している名優ガブリエル・バーン。
ガブリエルの渋い見た目と深みのある芝居が、主宰の怪しさとカリスマ性を際立たせていてとにかく怖い。そんな主宰とイヴが対峙するシーンは、観ているだけで胃がキリキリとしてしまうほどの緊張感が漂っていた。
主宰が率いる暗殺教団の信者たちが暮らす村は、おもにオーストリアの世界遺産であるハルシュタットで撮影したらしいが、とても美しくて“いつか行ってみたい”と思わせるような場所だった。ただ、一歩足を踏み入れたら周りは殺し屋だらけ……無理……怖すぎる(笑)。
殺し屋といえば、恋人はいても家族を持つことは許されない一匹狼のイメージがあるが、この教団は結婚も子どもを持つこともOKだ。ただし“自分の子どもを殺し屋として育てること”というルールがある。普通ならばイヴの父親のように村から子どもを連れ出すと思うが、この村で暮らしている教団の人間たちはそれを受け入れているから怖い。この村に辿り着いたイヴと、次から次へとイヴに襲いかかる住人たちとの激しいバトルシーンは圧巻である。
息つく暇もない怒涛の展開と、見応えのあるアクションシーンが楽しめる『バレリーナ:The World of John Wick』をぜひ劇場の大きなスクリーンで鑑賞してもらいたい。
文=奥村百恵
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