別所温泉の「かしわや本店」は、創業から100年を超える歴史を誇り、多くの文人墨客や皇族も滞在したという由緒正しい温泉旅館だ。信州の古刹のひとつ、天台宗常楽寺の一部である北向観音に隣接しており、朝夕7回鳴る鐘の音が間近に聞こえるほどの距離にある。常連客だった作家・川口松太郎は、滞在の折に北向観音にあるかつらの巨木を見て、代表作『愛染かつら』の題名を決めたという。小学生以下入館禁止ということもあり、静かで心安らげる大人のための宿となっている。
趣の異なる6つのお風呂で優雅な時間を
弱アルカリ性の泉質で、肌がなめらかになる美肌の湯として知られる別所温泉。「かしわや本店」には3つの湯にそれぞれ2つの風呂がある。まずは館で一番大きい岩の内風呂と檜の露天風呂がある“岩の湯”でゆったりと体を伸ばしたら、2つの総檜の内風呂がある“悠々自適の湯”で、優しい樹の香りに包まれよう。家族でゆっくりと温泉を楽しみたい場合は、露天風呂と檜のお風呂がセットになった貸切風呂「常楽の湯」がおススメだ。なお、岩の湯と悠々自適の湯は時間帯による男女入れ替え制となっているので、入浴前に確認しておこう。
職人が丹精込めて作った和食懐石に舌鼓
建物は、本館である「柏和亭」と離館の「四季亭」の2つからなり、客室は全部で15部屋。食事は一つ一つ職人の手による和食会席料理で、リンゴを食べて育った信州和牛や、肉厚で程よく乗った脂が特徴の信州サーモンなど、地元産の旬の素材をふんだんに使ったメニューを個室の食事処でゆっくりと味わうことができる。料理の種類は月替わりで、季節ごとに変わる信州の味覚を楽しめるのも嬉しい。
歴史を感じる宿で天然温泉と旬の料理を満喫できる「かしわや本店」。日々の生活に疲れを感じたら、ここで優雅な時間を過ごしてみてはいかがだろうか。
東京ウォーカー編集部