漫画『ゴリせん ~パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師』(講談社)で知られる酒井大輔さんがX(旧Twitter)で公開した漫画『もう少しで定年を迎える寿命数千年のエルフ』
が注目を集めた。
本作は、悠久のときを生きるエルフでありながら「定年間近」というシュールな設定や、型破りな行動が笑いを誘う短編漫画だ。酒井さん自身が「続きはない。あるわけない。」とコメントしているものの、オチで明かされるパロディ全開の仕掛けに、読者からは「続きが気になる」「完璧すぎる」といった声が上がっている。今回は作者の酒井大輔さんに、商業作品と個人制作の違いや制作秘話を聞いた。
商業と個人の違いは「自由度」
本作は、連載作『ゴリせん』完結後に描かれた個人制作の作品だという。酒井さんは、商業作品と個人制作の違いについて、「制約の多い商業作品とは作り方が全然違い、この漫画は自由に作りたかったのでそういう意味では反映されているかもしれないです」と振り返る。プロの漫画家として、制約から解き放たれた自由な発想が本作の魅力につながっているようだ。
読者からの反響については、「タイトルの意味に気づいてもらえたのがうれしいですね」と語る。さらに、「あと本当の組合関係の方から褒められたのもうれしかったです」と、まさかの業界関係者からの反応があったことも明かした。ファンタジー設定の中に潜むリアルな描写が、専門家の心にも響いたのかもしれない。
続きを描くと「エルフである意味」が消える?
SNSで「続きはない」と断言していた酒井さんだが、もし続きを描くとしたらどのような構想があったのだろうか。この問いに対し、酒井さんは「話が続く場合は完全に組合の漫画になってしまい、主人公がエルフである意味が希薄になるので、ほかのネタは何も考えませんでした」と回答。あくまで一発ネタとしての完成度を優先し、エルフという設定が生きる範囲で完結させた潔さがうかがえる。
完結した『ゴリせん』はアクションありコメディありの作品だったが、今後の展望については「自分の作品はギャグが多いので、シリアスな漫画も描いてみたいです」と意欲を見せた。ギャグ漫画家として定評のある酒井さんが描くシリアス作品にも期待が高まる。
取材協力:酒井大輔(@sakai0129)
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