「RA-MEN 与平治」の店主・阿部守さんは地元・最上町出身。阿部さんにとって、子どもの頃からスキー場は庭みたいなものだ。大人になりスノーボードをするようになってもそれは変わらない。店主は、横浜家系、G系、中華そばと、多くのラーメン店が集まる新庄市の人気店で経験を積んだのち、赤倉温泉スキー場のゲレンデ前に自らの店を開いた。
「たまらないよね、目の前がスキー場って」と話す店主は、スノーボードの話をする時、自然と笑顔になる。冬、パウダースノーを見るといてもたってもいられず営業が終わると同時にゲレンデへと繰り出す。そんなスノーボード好きの主人が、もう1つ好きなものが、ラーメンである。
スキー場内にあるということで、通年営業していることが知れ渡るまで少々時間がかかったが、地元メディアの紹介などもあり認知度は高まっている。スキー場にありながら自家製麺の本格ラーメンが味わえるという異色の存在感も、多くのラーメン通からの注目を集めている。
2種類のチャーシューの食感と香り高い全粒粉入り麺を味わう
スノーボード同様に自らの情熱を注いだ一杯は「二九中華」(880円、数量限定)。親鶏と豚バラのチャーシューを丼にのせた野心作だ。
そういえば山形県には、古くから「冷(つ)ったい肉そば」という郷土食がある。親鶏を甘じょっぱく煮た肉がそばの上にのっていて、しっかりとした歯応えがクセになる味わいのご当地グルメで、与平治の親鶏チャーシューもまさにそれだ。
香り高い全粒粉入りの小麦粉を使った自家製麺とも相性がよく、それぞれ個性がありつつも、全体としてとてもバランスがとれている。歯応えある鶏チャーシュー、しんなりとした豚バラ、両方の食感を楽しみつつ、全粒粉入りの自家製麺も味わってほしい。
■ラーメンデータ<麺>中太・角・縮れ/製麺所:自家製麺・200g<スープ>タレ=醤油・仕上げ油=鶏醤油/濃度:こってり○○●○○あっさり/種類:鶏ガラ・豚骨
旨さのポイント
旨味の強い鶏ガラスープに合わせる醤油ダレは、山形県産の3種の醤油をブレンドしている。スープの輪郭がはっきりしていることもあり、醤油には深いコクを求めて選び抜き、この3種類にたどり着いたという。
全粒粉入りの小麦粉を使うことで小麦の香りをより強く前面に押し出し、味の濃い醤油ダレ、チャーシューなどとのバランスをとる。中太の縮れ麺が各メニューのスタンダードだが、細麺への変更も可能だ。
「子どもの頃から、スキー場で遊んでましたから。この立地は私にとっては最高なんです」と笑う阿部さん。「それにラーメンも好き。自家製麺と動物系スープのこだわりの一杯をぜひ味わってみてください」と続けた。
「二九中華」のほかにも、平打ち縮れの中太麺で味わう中華そばや、食べ応えのある油そばやつけ麺など、自慢の自家製麺を前面に押し出したメニューがそろう。今後は限定麺などを出しつつ、新たなメニューにもチャレンジし、客に喜んでもらえる店にしたいと「最高の職場」で働く主人は、どこまでも意欲的だ。【ラーメンウォーカー編集部】
編集部