働く毎日のなかで起こるちょっとした理不尽や、笑うしかない瞬間を淡い哀愁とユーモアで描き続けているのが青木ぼんろさん
(@aobonro)
だ。Twitterでは「ある、こういうことある…!」と共感が相次ぎ、サラリーマンの心に沁みる作品として支持を集めている。ウォーカープラスでは青木さんの実体験をもとにした連載「恐らく誰の人生にも影響を及ぼすことはない僕のサラリーマン生活」を公開中。今回はその中から、誰もが一度は味わったことのある“上司との食事”でのモヤモヤを描いたエピソードをご紹介。
上司との食事で感じる違和感は、なぜこうも的確に心を削るのか
数年前、青木さんは部長から食事に誘われた。飲み会ではほとんど話したことがなかったため、よい機会だと前向きに考えて店へ向かったという。しかし席に着くや否や、部長は青木さんの「日頃の行動」について延々と説教を始めた。コミュニケーションを深めるはずの食事が、気づけば“有料の反省会”と化してしまう。青木さんは「お金払って説教聞くの、偉いお坊さんくらいですよ」と心の声をこぼしながら、その理不尽な時間を耐え抜いた。
8400円の会計はまさかの“割り勘”。そして笑顔で2軒目へと連行される夜
ようやく食事が終わり、伝票を見ると会計は8400円。部長は爽やかな笑顔で「4000円でいいよ」と言い放つ。その瞬間、心の中に“ありがたさ”よりも“モヤッ”が広がる青木さんだった。。本来は上司が奢るという文化が強い世代で育っただけに、この半端な割り勘が妙に彼の心に突き刺さる。さらに追い打ちをかけるように、部長は「じゃあ次行こうか!」と当然のように2軒目へ誘導。青木さんは「罰ゲームってこんな感じなんだろうな…」と思いながら、夜の街へと吸い込まれていった——。
自分が“ご馳走する側”になったらどうするかという問い
一方で青木さん自身は、後輩を誘うことはほとんどないという。誘って断られるのが精神的にきついという率直な理由に加え、今の若い世代は断る勇気を持っているので「無理に誘うべきでない」という感覚もあるそうだ。どの世代も、自分なりの気遣いと不器用さを抱えて働いている。そのズレがモヤモヤの正体なのだろう。こうしたサラリーマンの“どこかで見た景色”をひとつずつ切り取り、淡々と、しかしどこか温度を感じる筆致で描き続ける青木さんの作品は、これからも働く人々の心をそっと癒やすに違いない。
取材協力:青木ぼんろ(@aobonro)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。