長澤まさみと高橋一生が共演する話題のラブストーリー「嘘を愛する女」が本日公開を迎える。実在する新聞記事に着想を得た嘘のようなホントの話のエピソードを、名古屋に訪れたふたりに語ってもらった。
本作で長澤まさみが演じる由加利は、業界の第一線で活躍するキャリアウーマン。中江監督からのオーダーは「すごく嫌な女性で」だったのだとか。「『嫌な』って言葉の裏には傲慢さや自分本位ということがあったり。協調性のないひとに当てはめられやすい言葉だけど、仕事や生きていく上では悪いことではない。でもそこにおごりもあって、由加利にはそういうところがあると思って演じていました」
そんな彼女が直面する事態は相当ヘビー。5年も同棲し、そろそろ結婚も…と考えていた矢先に、彼がくも膜下出血で倒れ意識は不明。しかもその素性は名前も、職業も全て嘘だったのだから。そんなミステリアスな男、桔平を演じたのが高橋一生。あえて「事前のプランニングはせず、現場で感じた雰囲気を大切にした」と明かし、撮影を「役者の芝居を尊重してくれる贅沢な現場でした」と振り返る。
彼の嘘が判明し、吉田鋼太郎扮する探偵も巻き込みながら桔平が過ごしたと思われる瀬戸内へと舞台を移す。「穏やかな海や広い空も魅力的ですけど、夕焼けの海にたたずむ灯台はとても綺麗でした。劇中にはいろんな灯台が登場するんですけど、海街ならではの印になっていて、その光景が心に残ってます」と長澤は言う。
相手の素性が実は全て嘘だったという本作。ふたりは、相手のことを深く知りたいと思うのだろうか?その答えをふたりは口をそろえて「知らなくてもいい」と即答した。長澤が「それまでの人生を経て出会った時の相手が自分にとって大切であればいい」と言えば、高橋は「僕はやんないですけど、メールを見ちゃったカップルとかの話を聞いているとどう考えても白が黒になっちゃうんですよ」と笑いを誘いながら、こう続ける。「詮索する時、人は自分の想像力の中で相手を見る、それが信じられなくなると今度は誰かの真実に依存する。それってよくないなぁと思うんです。由加利と桔平は、ふたりの間にあるものだけで、話をしたり仲良くできている。相手の今を見て信じられるかが大切なんだと思います」
長澤は本作で描かれる恋愛について「男女の関係性って年齢を重ねるほど『あいまいなものだなぁ』と思うんです。きっちゃん(桔平)は由加利のどこを好きなんだろう?って最後までよくわからなかった。きっと私の中にはない感覚がふたりの中にはあって、理屈ではわかるけど、自分の中では、いまいちわからなくて、きっとそれってあいまいなものなんだろうなと思ったりはしました」と率直な言葉で語ってくれた。
最後に「同世代の女性や頑張ってるひとにこそ見てほしい」とアピールした長澤。ふたりの間にあった「愛」は果たして本物なのか偽物(いつわり)なのか、ぜひ映画館で確かめて欲しい。
にしおあおい