2000円のザルとボウルのセットを前に、「安いものと何が違うの?」と聞かれた瞬間、店員の頭の中では説明用スイッチと本音スイッチが同時に入る。外国製の包丁やケトルがずらりと並ぶ、おしゃれなキッチン雑貨店。元店長のオムニウッチーさん(
@omni_uttii821
)は、そんな現場で日々“わかりやすくて正しい説明”と“自分は使ってないけど”という気持ちの間で揺れていた。
「いいものです」は本当。でも使っているかどうかは別の話
「耐久性に優れたステンレスを使っているので丈夫です」「ザルはパンチング加工で目詰まりしにくいんですよ」。ザルとボウルのセットについてそう説明しながら、内心では別の光景がよぎる。実際に自宅で使っているのは、ザルとセットになった100円ショップのプラスチックボウルだからだ。
包丁売り場で「種類が多くて迷っちゃう」と相談されれば、「万能なのは三徳包丁ですが、手が小さい方には刃渡り16センチがおすすめです」と丁寧に案内するものの、家ではダ◯ソーで買ったペティナイフが一軍だ。
理想のキッチン、そして現実の食生活
サラダスピナーの良さも、理論上は理解している。しかし実際はカット野菜を買って終わり。高価な道具を揃えるほど、料理をしていないのだから仕方がない。「お客さんは料理が好きで、得意で、キッチングッズにも詳しくて、ちゃんとこだわりがある方が多かったですね」。扱っていたのは『柳宗理』などの日本ブランドのキッチン用品で、品質は折り紙付きだが、価格もそれなり。「高額なんですよね…。とてもじゃないけど、私は買えません(笑)」という本音が、このエピソードのオチを軽やかにする。
“いいもの”を真面目に説明しながら、“自分は庶民派”というズレ。そのギャップこそが、この漫画の一番おいしいところだ。キッチン雑貨店の接客あるあると、声に出せない心の声が、絶妙な温度で描かれている。
オムニウッチーさんは、
ブログ「独女日誌」
にてエッセイ漫画を掲載中。学生時代の話や過去の恋愛エピソード、「10キロ痩せたら女になりました」「初めて付き合った人は〇〇でした」など、肩の力を抜いて読める作品がそろっている。
取材協力:オムニウッチー
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