ライブドアブログ「ゆっぺのゆる漫画ブログ」やInstagramでエッセイ漫画を発信している漫画家のゆっぺさん(
@yuppe2
)。なかでも2021年12月から連載してきた「
親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話
」は、完結後に電子書籍化され、大きな反響を呼んだ作品だ。読者からは「多くの人に読んでほしい」「大変な生涯だった」「人生で大切なことが描かれている」といった声が寄せられている。
養女として迎えられた家で始まった過酷な日々
本作で描かれるのは、ゆっぺさんの祖母・キヨさんの実話だ。父の突然の死をきっかけに、幼いキヨさんは叔父の家へ養女として引き取られることになる。しかし、そこで待っていたのは安らぎの生活ではなかった。養母からの厳しい仕打ちが続き、食事をろくに与えられない日々の中で、いじめは次第に激しくなっていく。
学校へ向かう朝、「もう帰ってくるなよ!」と浴びせられる言葉。幼い子どもにはあまりにも重い現実が、キヨさんの日常となっていた。
孫の目線で感じた祖母の壮絶な過去
そんな過去を描いた本作について、作者のゆっぺさんに印象的な場面を聞くと、「たくさんありすぎて…」と語りつつ、あるエピソードを挙げた。「あかぎれのシーンなどは、今のように薬もないので大変だっただろうな…と。私は子どもがいるので、重ねて見てしまうところもあります」。祖母の体験を知るほど、胸に迫るものがあったという。また、作品に描ききれなかったエピソードも多い。「おばあちゃんは話し始めると止まらなくなっちゃうので(笑)。特に戦時中のエピソードなど、泣く泣く削った内容もたくさんあります」。
そのうえで、ゆっぺさんは将来の構想も明かす。「いつかキヨさんの『おばあちゃん語録』を本にできたらいいなと思っています。経験に基づいた言葉なので上から目線ではなく、今の人にも響く言葉をたくさん言ってくれるんです」。
過酷な人生の先に見つけた“自分らしい幸せ”
92歳のキヨさんは今——。手まり作りを趣味にしながら穏やかな日々を過ごしている。「もう30年くらいですかね。以前入院したときに作り始めたのがきっかけです」。かつては地域の人と民謡を楽しんでいたが、年齢を重ねて身体を動かすのが大変になり、新しい楽しみとして手まり作りを始めたという。「昔から興味があったので、『これはやりたい!』と思って。それ以来ずっと続けています」。
さらに現在も畑や果樹園の作業を行うなど、日々を自分のペースで楽しんでいる。「畑では馬鈴薯など家で食べる野菜を、果樹園ではリンゴを作っています。消毒は息子がしてくれるけれど、受粉作業などは自分でやっているんです」。
ゆっぺさんが「危ないんですよ。はしごを使って木で作業するから」と心配すると、キヨさんは笑いながらこんなエピソードも明かした。「3年ほど前、作業中にはしごが倒れて木にぶら下がってしまって。そのまま下に着地したら骨折しちゃったんです。でも今は治って、またリンゴ作りをしています」。
苦難を乗り越えてきた現在の心境は?
壮絶な幼少期を生き抜いてきたキヨさんだが、現在の暮らしについては穏やかな笑顔でこう語る。「食べたいものは自分で作って、休みたいときに休んで、仕事したいときに外へ行って…好きに過ごせる今が、一番気楽で幸せ」。その言葉には、長い人生を歩んできた人ならではの実感が込められていた。
過酷な環境の中で育ちながらも、前を向いて生き続けてきたキヨさん。そんな彼女の人生は、「幸せとは何か」を静かに教えてくれる物語でもある。
取材協力・画像提供:ゆっぺ(@yuppe2)、キヨ
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