広島県の架空都市・呉原市を舞台に、暴力団の抗争を描いた映画「孤狼の血」。2017年12月27日(水)舞台となった広島市内で完成報告会見が行われ、主演の役所広司、キャストの阿部純子、メガホンをとった白石監督、原作者の作家・柚月裕子が出席。2018年の注目作品ということもあり、記者会見には多くのマスコミ陣が詰めかけた。
ドラマ「陸王」での熱演が大きな話題となった役所。本作では「陸王」の熱血社長とは真逆の極悪刑事を演じている。「カーッと痰を吐くシーンがあって、ゲッと思いました(笑)。(役柄上)車もシートベルトをしなくてもいいから、なんか男らしいなって」と自身が演じたキャラクターを解説。役所との初共演となった阿部は「たくさん支えてもらったので、現場でもリラックスできて演じることができた」と撮影を振り返った。
白石監督は本作のオファーを受けた際に「勢いとか力強さを東映に取り戻したいなと。大丈夫かなと思ったけど、声をかけてもらったことが監督冥利に尽きるので、だったら思い切ってやろう」と覚悟を決めた挑戦であったことを明かした。往年の名作「仁義なき戦い」を思わせるようなシーンが散りばめられているが「現代の日本でバイオレンスな作品があまりないので、韓国映画を参考にしました。韓国はここ10年ぐらい、日本が本当はやらないといけない映画を撮っている。そこに対抗する映画を作ろうと思った」と着想の原点を明かした。
原作者の柚月も太鼓判を押す。「最初に作品を観たとき、いい意味で驚きました。小説だと活字でなければ成り立たないミステリーの部分があるので、そこがどのように映像なるのか興味ありましたが、そこに謎をもってくるのかと感動しました」と原作者目線でのコメントを寄せる。またキャスト陣については「スクリーンの中では別の人間になりきるということが、いかに凄いかということを目の当たりにしました」と賞賛した。
オール広島・呉市で撮影されたこともあり、話題は呉市での撮影の思い出話に。役所は「呉には海があるし、街には川が流れていて港もある。とても魅力的な場所だなと思いました」と話し、撮影がないときにはスーパーで惣菜を買っていたことを告白。記者たちを驚かせた。阿部は「とっても親しみやすい街だなと思いました。広島焼きがとっても美味しかったのが印象に残っています」とチャーミングに明かした。
役所は「この作品の登場人物たちを見ていると、どこか必死で生きている感じがして、暑苦しく生きているところが映画全体の熱になっているじゃないかって気がします。ギトギトした脂っぽいのも映画の魅力のひとつじゃないでしょうか」とユーモアに富んだコメントで作品をPR。最後に印象に残っている呉弁を聞かれた役所が「ビショビショじゃ〜」と本作さながらのネイティブな発音で披露し、会場の笑いを誘った。
映画「孤狼の血」は、2018年5月12日(土)全国ロードショー。
【関西ウォーカー編集部/ライター山根 翼】
山根翼