中洲川端駅から徒歩2分、櫛田神社向かいの「博多あかちょこべ」。博多うどんの常識を破るオリジナルメニューが続々登場し話題を集めている。
人気No.1は「元祖キーマカレーうどん」(720円)だ。本当のカレーライスのように、うどん半面にキーマカレーがかけられたスタイルで登場。そこにエビの粉末に粗挽きコショーをまぜた揚げ玉とダシ汁が添えられる。このスタイルの秘密は、3段階でうどんの味を楽しめることにある。1.まずはそのまま。2.揚げ玉をのせて。3.最後はダシをかけてひつまぶしのように。キーマカレーとうどんのマリアージュを3通りの食べ方で楽しめるという渾身の一杯に、ハマる人続出中のアイデアメニューだ。
居酒屋ということもあって、サブメニューも豊富なのだが、こちらにも「博多あかちょこべ」らしいアレンジが。黒オリーブを隠し味に、オリーブオイルの香りが後を引く大人にぴったりの「ひと味違うポテサラ」(600円)のほか、うどんの生麺をスティック状に揚げたおつまみ「ボリボリ」(550円)や、枝豆を茹でて焼いた「焼き枝豆」(550円)などなど、ユニークでおいしいメニューがそろう。また「がめ煮」(550円)や「博多一口ギョーザ」(580円)、「もつ鍋」(1人前980円)、「炙り明太」(820円)など、博多らしい名物料理もひと通り勢ぞろいする。
「博多あかちょこべ」のうどんをよく見ると、茶色い粒々が入っているのがわかる。その粒々の正体は「胚芽」。一説には、うどんの発祥の地は博多だといわれており、博多区にある「承天寺」の創建時に、うどんの技術が持ち込まれたといわれている。胚芽の入った特徴あるうどん麺は、その頃の「古の博多うどん」をイメージして、試行錯誤の上誕生したのもの。ほどよいコシと独特の食感を味わえる。ダシにもこだわり、和ダシの本場・京都から取り寄せた材料を祇園の料亭などと同じ手法で作られた一番ダシを使用し、奥深い味を醸している。
広告代理店出身のオーナーが生み出すメニューはどれも、客をあっと驚かせるものばかり。定番人気の「ずぼらうどん」(660円)はだらしないことを「ずぼら」と表現するのにちなんで、器に盛りつけないことから名づけられている。かわいい見た目に、これを目的に来店する客も多い、納豆が入った釜揚げうどんはSNS映えも抜群だ。
店名の「あかちょこべ」は、博多でいう「あっかんべー」。櫛田神社の神殿の上にある、博多を守ってくれた風神のあっかんべーに由来するのだとか。
たしかな味に遊び心が加わった独創性あふれるメニューが自慢の「博多あかちょこべ」。一度行けば忘れられなくなる店だ。【撮影=鍋田広一(パンフィールド)】
安藤エリカ