川から流れてきたのは、かわいい女の子の赤ちゃんだった。「ペッシュ」と名付けられ、心優しい夫婦に大切に育てられた…はずだったが、少々おてんばに成長し、思春期ということも相まって、山で暴れまくっていた。この物語はそんなペッシュの冒険譚である。
ペッシュの服装は少し奇抜で、高校の制服とルーズソックスを着崩したようなスタイルだ。手に持って食べているのは“生ドーナツ”。現代の女子高生を彷彿させる絵に少し戸惑いながらも読み進めると、ペッシュは無事(!?)、サルと出合った。「なんか食いモンねーか?」と要求され、ちょうど持っていた“チュロス”をあげる。喜んだサルはもっと欲しがるが、すでに手持ちがなかったペッシュは、「待って。家にいけばあるかも」と自宅へ連れていき、サルはここでやっと、お決まり通りのきびだんごをゲットする。
本作『モモゼロ』はお気づきの通り、日本のおとぎ話『桃太郎』をモチーフとした物語である。描いたのは、これまで単行本『ぼくのキャノン』(著:池上永一)の装丁画などを手がけてきた経歴を持ち、おもにイラスト業の活動をしているKYAN-DOGさんだ。「これまでも気の迷いで衝動的に漫画を描くこともあるにはありましたが…」と彼は語る。本格的に漫画を描きはじめたのはここ1、2年の話だという。それにも関わらず、漫画を描きはじめてすぐの2025年3月に『会話』という作品で「pixivマンガ月例賞」の優秀賞を受賞。
KYAN-DOGさんに『モモゼロ』について話を聞いてみた。
――「ペッシュ」「サンジュ」という登場人物の名前が独特ですね。つい気になって調べてみると、フランス語なんですね!
ありがとうございます。キャラの見た目がそのまんまなので、ほかの言語でいい名前がないか探してみました。わりかし音の響きで選びました!
――作中でペッシュは両親に対して「父親ヅラして」「生んだこともないクセにッ」と暴言を吐き、反抗期真っ盛りのようです。桃太郎モチーフの物語に、これらのセリフに取り入れた理由を教えてください。
主人公を「10代反抗期女子」というイメージで作ろうと思い立ったのがきっかけです。家族とうまくいってない孤独を感じる主人公像なんですね。桃太郎も拾われた子なので、もし反抗期ならそういうセリフも出るだろうと想像して描きました。
――現在、ペッシュはサルと出合いましたが、今後の展開はどうなっていくのでしょうか?今後の見どころについて教えてください。
今後はご想像通り、イヌとキジが出てくる予定です。ストーリーはほぼ決まっているのですが、ちょうどそのころ、ほかの作品づくりもあったので中断している状態です。そのうち機会があったら描くかもしれませんので、気長にお待ちください。
今回紹介した第1話では、すでに“鬼らしきもの”も登場。今後、ペッシュはサル以外の仲間たちと無事に出合っていけるのか?どんな奮闘を見せるのか?展開が楽しみである。
KYAN-DOGさんが「ジャンプTOON NEXT!」(集英社)で連載中の『のろわれ上手のやおよろず』は「第3回ジャンプTOON AWARD タテマンガ新人大賞」にて佳作を受賞。『のろわれ上手のやおよろず』は、「コックリさん」や「呪いのミイラ」などの都市伝説を題材に扱ったストーリー展開に引き込まれていく作品である。気になる人はこちらもぜひ読んでみて。
取材協力:KYAN-DOG
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