錦戸亮「自分にとって代表作と言える作品になった」 映画「羊の木」大阪・舞台挨拶

関西ウォーカー

メガホンを取った吉田大八監督


山上たつひこ(「喜劇新思想体系」「がきデカ」)、いがらしみきお(「ネ暗トピア」「ぼのぼの」)という日本ギャグマンガ界のレジェンド2人がタッグを組み、2014年文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した傑作コミック「羊の木」を「紙の月」「桐島、部活やめるってよ」で知られる吉田大八監督が映画化、2月3日(土)より公開される(配給:アスミック・エース)。その舞台挨拶付試写会が1月26日(金)大阪市北区のTOHOシネマズ梅田にて開催され、上映前に主演の錦戸亮、メガホンを取った吉田大八監督が登壇した。

「キャー!」という悲鳴にも似た歓声で迎えられた2人。まず錦戸が「今日は寒い中お集まりいただき、有難うございます。今日は公開ちょっと前ですけれど、一足先に観てもらえるということで、楽しんでいただけたらいいなと思います」と第一声。続いて吉田監督が「今日は楽しんで下さい。宜しくお願いします」と挨拶した。

大阪出身の錦戸。MCから「ただいま!」という感覚はあるかと尋ねられると、「よく来るので、あまり『ただいま!』という感じではないです。ホームが2つあるような感じなので」と率直な感想を述べた。一方、吉田監督は大阪へは映画関係の仕事で来ることがほとんどだと述べ、「取材する場所とか、仕事の現場から駅とか直行が多いんですけれど、今日こうやって舞台挨拶できるので、短い間ですけれど、大阪のお客さんの感じをつかんで帰りたいと思います」と直接観客と接する機会が持てたことに喜びを感じている様子。

吉田監督作品へは今回が初出演となる錦戸。割にテイクを重ねたという感想を持ったと言い「『監督の中に撮りたいものがあるねんな』と思って、それに近づけるようにやっていった」と撮影時の心境を語った。以前から監督の作品を観ていたと述べ、「あの面白いものを作った人が作る映画やったら、その人に全部ゆだねて、その人の言う通りに全部したら、僕も面白い映画に出てるやろなと思い、そこは信頼しきってましたね」と監督へ全幅の信頼を置き、撮影に臨んだという。

「俳優がみんな素晴らしい」と大絶賛の吉田監督


錦戸はどういう俳優か、と尋ねられると吉田監督は「ちゃんと台本を読んできてくれて、現場でちゃんと間とか相手役との空気とかを上手く反射して、ほぼ正解なんですよ」と大絶賛。「ただ欲が出て、もうちょっと先目指せるかなという感じでやっていることが多かった。何か言うとちょっとずつ、きちんと反射してどんどん演技が良くなっていく、すごくやりがいがあった」とテイクを重ねた理由を明かした。

今回、田中泯や北村一輝など、個性的な俳優陣と対峙し、右往左往する役どころの錦戸。それについて、「難しい部分はあると思うんですけど、テイクを重ねる毎に相手の言い方が変わったり、さっきと違う反応というのは自然だと思う」と述べ、「結局僕が家で考えたところで、僕の想像よりも、もっと遥かに超えてくるお芝居をされる方ばっかりやったんで、そこでの柔軟性というか、相手に対する瞬発力を大事に作品に臨んだ」と役作りについて語った。そんな錦戸について吉田監督は、「変な言い方ですけど…」と前置きした上で、「いろんな共演者をぶつけて、攻めれば攻めるほど、どんどん錦戸君自体の輝きが増していくというか、本当に攻め甲斐がある。攻めれば攻めるほど魅力が出てくる」と再度大絶賛。

問題作とも言われる傑作コミックを原作とした本作。吉田監督は「原作から受け継いだものとしては、他人とどう向き合って、どう生きていくかという、誰にとっても大事な問題について扱っていると思っていたので、それを僕も考えながら撮った。映画を観ている間それをずっと考えている必要はないけれど、そういうことに気付くきっかけになったらいいなと思う」と本作に込めた思いを語った。

「羊の木」は2月3日(土)全国ロードショー©︎2018『羊の木』製作委員会 ©山上たつひこ、いがらしみきお/講談社


最後に吉田監督は、「俳優がみんな素晴らしいです。特に主演の錦戸君、本当に微妙な表情を楽しんで下さい」と述べ、続けて、「1回ではもしかしたら味わいきれないかもしれないですけど、その時はまたお友達と一緒に足を運んでいただけると嬉しいです」とメッセージを送った。そして錦戸は、「久しぶりの映画だったんですけれど、この先自分にとって代表作と言えるような作品になっていますし、大人の方も楽しめる作品だと思います」と仕上がりに大変満足していることを述べ、「本当に目が離せなくなり、2時間くらいハラハラドキドキできると思います。純粋な気持ちで楽しんでいただけると嬉しいです」と締めくくり、舞台挨拶は終了した。

関西ウォーカー編集部/ライター南 華凛

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