焼き芋ファン垂涎のイベント「やきいもテラス2018」。初開催の昨年は約3万人が来場し、今年も品川駅港南口から徒歩約6分の品川シーズンテラス イベント広場にて2月5日(月)まで開催中だ。そこには普通の焼き芋の他にも、焼き芋をさらにバターで香ばしく焼き上げたものからココナッツオイルをコーティングしたもの、3カ月熟成させたさつまいもを焼いたものなど進化系の焼き芋が並ぶ。今回はその中から4つをセレクトしてみた。
前年売り上げトップ!芋の甘さとバターの塩味がベストマッチ
東京都北区に店を構える1921(大正10)年創業の老舗「倉田屋」が今年も参戦。前回開催時にトップの売り上げを達成した名店では、以前高校教師として科学を教えていたという“ザ・理系”の三代目店主・見附豊和さんが作る焼き芋を食べることができる。かつてTV番組に協力した際、バターと焼き芋の相性の良さに気付き、開発したという「元祖 焼き芋のバター焼き」(250円)がウリ。焼き芋にバターの風味とコクが加わり、芋の甘さにほんのりとバターの塩味が口いっぱいに広がる。ひと口食べたら止まらない、やみつきになる味だ。プレオープン当日も長蛇の列が発生するなど、注目度は今年も高い。
秘技・ココナッツオイルがけでしっとり&ねっとり食感に
アパレル業界からの転身という異色の経歴を持つ店主・三浦宗平さんが3年前に創業した「HAPPY GATE」。山形県鶴岡市に店を構え、今年の参加店舗の中では最北端となる。芋の生産から携わることをコンセプトに焼き芋づくりを行っており、蚕(シルク)のサナギを土に返して土壌を整えるところからスタートする。収穫されたシルクスイートにはなんとココナッツオイルをコーティング。そしてさらには、おがくずをリサイクルした炭のみを使い90度に調整しながらおよそ90分間ホイル焼きし、余熱で30分ほど蒸らす。こうすることで、しっとり&ねっとりとした食感に仕上がるという「シルクスイート」(500円~)。実食してみると、“糖度推し”の店が多い中、甘過ぎない口当たりで、かつ身が締まっているため、しっかりとした“芋感”が感じられた。他にも、絹糸からコラーゲンとタンパク質だけを取り出したシルクゲルを使った「シルクプリン」(400円)なども販売する。
3カ月熟成のさつまいもは焼くことでトロッとした舌触り!
宮崎県出身の店主・菅生健二さんがJR阿佐ヶ谷駅近くの路地で出張販売している「熟成やきいも専門店SAZANKA(サザンカ)」。地元宮崎の農家と共同で土作りから二人三脚で育て上げた自社ブランド「熟成日向(ひなた)蜜いも」を使った焼き芋を販売している。蜜の含有量が高く、加えて収穫後に3カ月もの間熟成させることもあり、その糖度は実に50%以上。また、農薬や化学肥料など化学物質に頼らない、自然界の力で生産された食品を示す有機JAS認証を受けている。焼き上がった「熟成日向蜜いも」はトロッとした舌触りが印象的だ。また、同店では「宮崎県産100%さつまいもジュース」(400円)も販売。こちらはポリフェノールたっぷりで、ぶどうジュースに近いような独特な味わい。ホットでの提供なので、焼き芋と一緒に冷えた体を温めてはいかがだろうか。
【番外編】菜々緒も絶賛の芋けんぴ
文京区の団子坂にある「あめんどろや」は、鹿児島・南薩摩半島の自社農場で栽培したさつまいもと無添加さつまいも蜜「あめんどろ」を使った焼き芋&芋蜜スイーツを販売する。「いも蜜けんぴ」(550円)はオープン時より手掛ける同店の看板商品だ。細切りにした芋を油でカリカリになるまで揚げ、蜜をかけて仕上げる逸品は女優・菜々緒も絶賛する。極細でパリパリとした食感が楽しく、おやつにピッタリという印象。「いも蜜けんぴ」にはホクホク系の芋が向いているそうで、紅さつまなどの品種を時期によって使い分けているとのこと。
全国から芋自慢の店が集結したイベント「やきいもテラス2018」。シンプルな焼き芋の食べ比べもいいが、せっかくならこの機会に普段あまり口にすることのできない変わり種の焼き芋にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
安藤康之