木村カエラが待望の絵本を出版!「築地本マルシェ」で語った絵本への思いとは?

東京ウォーカー(全国版)

2018年2月17日(土)と18日(日)の2日間にわたり、朝日新聞社主宰のブックフェア「築地本マルシェ」がベルサール汐留(東京都中央区)で開催された。

各出版社が一堂に会する同フェアでは、特別価格での書籍販売のほか、絵本を愛するゲストを迎え読書の楽しみを伝えるプログラムを実施。

そして18日には、今年4月に絵本を出版する予定の歌手・木村カエラさんが登場。自身の大好きな作品を手に、株式会社絵本ナビ代表取締役社長の金柿秀幸氏と対談を行った。

絵本の出版に際し「絵本ナビ」で制作ピソードなどを連載中の木村カエラさん。この日は「絵本ナビ」を運営する株式会社絵本ナビの代表取締役社長、金柿秀幸氏と対談撮影/コザイ リサ


テーマは「子どもたちにすてきな絵本の出会いを」。それぞれ持ち寄った絵本を紹介するとともに、作品にまつわるエピソードを語り合った。

冒頭に金柿氏から「カエラさんと絵本の関係性って?」と問われると、「絵本はおばあちゃんや父親と、読んでくれた人との思い出が宿っているものですね。少ないページの中に素敵な言葉が凝縮されていて、心に訴えかけてくる。そんなところが大好きなんです」とカエラさん。

歌詞を書く際も絵本からインスピレーションを受けることもあるそうで、「絵本は小さなお子さんから大人まで、読む人の心を動かすもの。でも言っていることはすごくシンプルじゃないですか。そんな風に自分の歌詞も書けたらいいなと思います」。

「絵本を書くことが夢でもあったので、『この歌詞は絵本になったらいいなぁ』と考えながら書いた曲もいくつかありますね」撮影/コザイ リサ


金柿さんは好きな絵本として、『はらぺこあおむし』や巨大なあんまんに立ち向かうアリたちをコミカルに描いた『でんせつのきょだいあんまんをはこべ』の一節を交えて紹介撮影/コザイ リサ


まずはカエラさんがお気に入りの『どろんこハリー』やしかけ絵本『プータンいまなんじ?』を紹介。歌詞のヒントになったと話す『ぼくを探しに』については、物語に共感し「かけらを探して」(『ファミレド』より)と歌詞を作ったこともあるという。

お気に入りの絵本を持ち寄り、それぞれにまつわるエピソードを披露した撮影/コザイ リサ


「子供と読む時にとてもいいなと思う本」として、『にじいろのさかな うみのそこのぼうけん』をピックアップ撮影/コザイ リサ


子供と読むものは、「実在するものとつながっていく物語が好き」とカエラさん。「魚や動物など、いろんなものへの興味につながるのがいい。勉強ではなくて、楽しく知ることができるんですよね」(カエラさん)。

会場には抽選で選ばれた300人のゲストが。時折、会場のゲストとコミュニケーションを取る場面も撮影/コザイ リサ


中盤では、絵本製作の話も。「手がけた絵本は、16年にリリースした配信シングル『BOX』の歌詞を反映しました。BOXは“心”。心は宝箱で、素敵な思い出を詰め込めばどんどん輝いていく。でも、嫌なことがあったりがまんすることが多いほど自分らしさがなくなって、心がゴミ箱のようになってしまう、という内容なんですよ。自分の心はゴミ箱じゃなくて宝箱なんだよ、だからキラキラするものを入れていかないと、という気持ちを込めました」。

「私は描きながらではなく、頭の中でインスピレーションがまとまってから表に出すタイプ。出すまで毎日考え続ける」と、クリエイターとしての側面も語ってくれた撮影/コザイ リサ


対談後、カエラさんに絵本作りについて話を聞いた。

「いつもライブに来てくれるファンの方も来てくれていて、出版を楽しみにしてくれてるのかなとうれしかったですね。読んでみて、どんな反応が返ってくるか楽しみ。お子さんは楽しく、大人の方は何か心に響くものがあればいいなと思います。幅広い人に届けば嬉しいですね」とカエラさん。

物語にかける思いについては、「生活の中で、つまずいたり元気がなくなってしまうことってたびたび起こるじゃないですか。そんな時、絶対的に読める本にしたいと思って描いています。悩んだ時に自分自身でも『どうしたらいいかな?』と再確認できるような、答えを見つけ出せる作品にしたいです。自分の子供が悩んでるなって時にも読んであげる、そんな本になればいいなと」。

『BOX』の歌詞を絵本にするにあたり、悩んだこともあったという。「もともと『BOX』の歌詞は、海賊が旅をして宝を探しに行くというテーマで作っていったんですよ。でも絵本となると、ちょっと男の子っぽいし固いかなと。小学生の男の子とあるキャラクターが出てくるんですが、歌詞をどんな風にキャラクターに反映するかは悩みました」とカエラさん。

「何をどうキャラクターにしようかなと。“心”は宝石で表現すべきなのか、岩にしようとか。『心が固くなる』とか言うじゃないですか。そういう感覚でキャラクターに変換していく作業は、無限に表現の方法がある分、大変でしたね」。

最後に、「普段絵本を手に取る機会がない人も、これがきっかけになればすごく嬉しい。早くみなさんに届けたい!」と話してくれた。作品は4月下旬に発売予定。木村カエラさんが届ける物語については、絵本ナビの連載でも登場予定だ。【取材・文=金城和子/撮影=コザイ リサ】

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