記憶がないくらい夢中だった! 宮ざきあおいがソラニンで生ライブ!

関西ウォーカー

浅野いにおの人気コミックを映画化した「ソラニン」。バンドマンの恋人が遺した歌を歌うことで過去を乗り越えていくヒロインの物語を軸に、若者の抱える希望や不安を描き出した青春恋愛映画だ。本作でヒロインの芽衣子を演じた宮ざきあおい、彼女の恋人・種田役の高良健吾、2人の友人・ビリー役の桐谷健太。3人が心通じ合えたきっかけは、劇中で披露される“バンド演奏”だった。

─今回、劇中で実際にバンド演奏に挑戦されていますね。

桐谷「実は撮影に入る前の、バンドリハーサルでみんなと会ったんです。一緒にバンドをやるとなれば、仲良くならないといけないと思っていて。でも、みんなで音を鳴らした瞬間に“もう大丈夫だ”ってわかり合えた気がしました」

宮ざき「そうですね。最初は人前で歌うことにも緊張していたんですけど、みんなで音を合わせた瞬間にすごく楽しくて、恥ずかしさとか全部吹っ飛びました。同じバンドメンバー役の近藤(洋一)さんはプロのミュージシャンの方なので、助けていただきながら“大丈夫”って思えましたね」

桐谷「僕は高校生のころにドラムをやっていて、今回10年ぶりくらいに叩いたんですけど、練習がまったく苦にならなくて“音楽っていいなぁ”と思いました」

宮ざき「今回、ギターは初めてだったんですけど、最終的にはギターを弾く自分の手元を見ないで歌えるようにならないといけなかったので、歌とギターを別々に練習しました。スタジオに空きさえあれば、ギターの練習をしていたくらい、ギターに触れている時間が幸せでした」

─高良さんは「フィッシュストーリー」(’09)、「BANDAGE バンデイジ」(’10)でそれぞれボーカリスト、ギタリストの役に挑戦されていますね。

高良「『フィッシュストーリー』の時はボーカルのみで、『BANDAGE バンデイジ』の時はギターが弾けなくて(苦笑)。だから、今回はボーカル・ギターとして演奏しながら歌うのは本当にむずかしかったですね。でも、底辺からのスタートでそれ以上ヘタになることはないし、上達していくだけなので、やっていて本当に楽しかったです」

─物語の重要なカギを握る曲「ソラニン」は人気ロックバンドのASIAN KUNG-FU GENERATIONが手がけていますね。

桐谷「初めは“このドラムを叩けるのかな?”って思うばかりで、なかなか客観的に聴けなかったんですけど、何回も聴くうちに好きになりました。僕はオリジナルバージョンも好きですが、あおいちゃんや健吾が歌っているほうも大好きなんです」

高良「最初に『ソラニン』を歌った自分の声を聴いた時は、相当ヘコみましたけどね」

桐谷「うそ!?(笑) 出来上がりは最高でしたけどね」

宮ざき「私はラストのライブシーンで歌ったのは、すごく気持ちよかったですね。ああいうステージに立つこともなかったですし、歌なんて怖いと思っていたので、あんなに大勢の前で歌えるようになるなんて自分でもびっくりというか。一日中、ずっとあのシーンの撮影をしていましたけど、疲れ知らずで記憶がないくらい夢中でしたね」

桐谷「20回くらい通しで演奏したよね。たとえそのカットが劇中で使われていなくても、最初から演奏していたし。それだけで汗の量も疲れ方も全然違うし、体も心もうそはなかったと思います」

─また、本作は若者が抱える希望や不安も丁寧に描かれていて、誰もが共感できます。

高良「僕が演じる種田は後に死んでしまうけれど、芽衣子に言った“その時はその時だ”っていうセリフにしても、本当にその時思ったことを言っていて、決して“死”に向かっていっているわけじゃないんです。迷いながらも懸命に生きていたことを、僕は伝えたかったんですよ」

─いま、完成した作品をご自身でご覧になっていかがですか?

宮ざき「何か大きなことがたくさん起こるわけでもなく、若者のなにげない日常を描いているので“ゆるすぎるんじゃないかな?”って心配が最初はあったんですよね(笑)。でも、それがこの映画の魅力なんだといまは思います」

桐谷「ゆるやかな日々の中にも“人生ってステキだな”と思えることや悲しいことがあったり…。そんな誰もが経験したことのあるような日常が描かれていて、とても優しい映画に仕上がったなぁと思いますね」

高良「自分のシーンは客観的に観ることができないですけど、マンガで描いていたテーマと映画の『ソラニン』にブレはないですね」

宮ざき「若い時の友情って、一生モノで一緒に成長していける関係だと思うんです。作品を通して、友達は本当に宝物だと感じたり、観た人の背中を押すきっかけの映画になってくれるといいなと思いますね」

【取材・文=リワークス】

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