焼肉のタレを作る噂の宮殿! 愛媛の“宮殿工場”に潜入

東京ウォーカー(全国版)

手軽に楽しめる「工場見学」が人気だが、愛媛県今治市には、日本一奇妙(!?)な工場があるという。その名も「宮殿工場」。ヨーロッパに実在する宮殿を忠実に再現した、世界に一つだけの豪華絢爛な工場だ。しかも、中で作っているのは「焼肉のたれ」というアンバランスさ。気になる記者は、さっそく宮殿内に潜入! 日本一“ハイソ”な工場見学をしてみた。

瀬戸内海にそびえるように建つ「KO宮殿工場」は、「焼肉のたれ」で有名な「日本食研」の液体・粉体調味料を作る工場。特徴は何と言っても、オーストリアのウィーンに実在する「ベルヴェデーレ宮殿」を再現した外観だ。形、色合いだけでなく、屋根の細かいモニュメントまで瓜二つで、違うところといえば、所々に置かれた石造が、日本食研のキャラクター「バンコ」というくらいか。内部は5階建てだが、“ベルヴェデーレ”の見た目にならい、外からは3階建てに見えるよう設計したというこだわりようで、言われなければここが工場だとは誰も気付かない造りだ。しかも、建物(工場)の前に広がる、広大な庭園も手入れが行き届いており、敷地内に入っただけで気分はもうヨーロッパ貴族の香りぷんぷん。

…が、一歩中へ入るとその“貴族の香り”はどこへやら。焼肉のたれのかぐわしい香りがプ〜ンと鼻をつく。ああ、やっぱり工場なのね…と再確認しつつも、その内装は外観同様衝撃的。豪華なシャンデリアに品のいい色合いの螺旋階段、そしてフワフワの絨毯…。玄関では中世の鎧が出迎えてくれるという徹底ぶりだ。このたれの匂いさえなければ、もう完璧な王宮だが、でも、どうして工場を宮殿にしようと思ったの?

「中世ヨーロッパでは、宮殿の中で晩餐会が開かれ、宮廷の食文化が生まれました。そのため、この工場が宮殿になったのは、世界の食文化の発信基地にしたいという創業者の思いがあったからなんです」とは、日本食研ホールディングスの赤嶺さん。なんでも、最近では、海外のお客さんも含め、1日200人以上が見学に来るのだとか。

一方、工場スペースは、外観や玄関の豪華さとは一変していたってシンプルかつオープンな作り。「焼肉のタレ」や「から揚げ粉」などの製作過程を、見学者がほぼ全て見ることができるのだ。「日ごろ口にするものがどのように作られていくかを見ていただくために、ほとんどの工程を見られるよう設計しました。宮殿の面白さを目当てに来た方にも、工場の内部を見て、当社の意気込みが伝わればうれしいです」と、赤嶺さん。その笑みからは味に対する自信がうかがえる。

食をもっと楽しんでほしいというメッセージどおり、工場内には世界中の調味料を集めた「宮殿食文化博物館」もあり、食文化の面白さを伝える仕掛けになっている宮殿工場。インパクトのある外観に「お金をかけて作っただけの工場なんじゃ…」と思った記者はちょっと反省。しっかり考えられて、絶妙な“アンバランスさ”が生まれていたんですね…。

今やお出かけの選択肢として定着しつつある「工場見学」だが、ここまでアミューズメント性にこだわった工場はなかなかのもの。料金は大人1000円(小、中、高校生600円)、申込みは0898-47-2281で受付中。残念ながら第一土曜日を除き、平日しか見学を受付けていないが、記者の感想としては、休みを調整してでも行ってみる価値は大アリ! 工場見学だけでなく、社員食堂でご飯が食べられたり、「日本食研」のキャラクター「バンコ」のグッズが買えたりと、1日中遊べてちょっとセレブ気分を味わえるワンダーランドを体感してみて! 【東京ウォーカー】

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