広島を舞台に暴力団の抗争を描いた映画「孤狼の血」。「凶悪」の白石和彌監督がメガホンをとり、役所広司、松坂桃李など日本を代表する豪華キャストが集結した本作で、重要な役どころを演じるのが注目女優の阿部純子。本作の魅力や豪華キャストとの共演について、そして今後の目標や、大阪出身である彼女の素顔にも迫った。
映画「孤狼の血」は、広島の架空都市・呉原市を舞台に、警察とヤクザとの世界を描いた柚月裕子の同名小説を映画化した作品。暴力団との癒着を噂される刑事・大上と新人刑事の日岡が、激化する暴力団の抗争に巻き込まれていくというストーリー。大上を役所、日岡を松坂が演じ、江口洋介、真木よう子、中村獅童、ピエール瀧、竹野内豊、石橋蓮司ら豪華キャスト陣が脇を固める。阿部は原作には登場しないチャーミングでミステリアスな女性・桃子を熱演している。
──本作は、作家の柚月裕子さんが手掛けたハードボイルド小説が原作です。撮影前に原作を読んだと伺いましたが、初めて原作を読んだ時の感想を教えてください。
物語が平面ではなく、いくつもの層になった深い作品だと感じました。男たちの争いがテーマに描かれている作品ではありますが、「次はどうなるんだろう」と気になって読み進めていったので、私にとってはミステリーを読んでいるような感覚でした。
──原作者の柚月さんとはお会いされましたか?
記者会見のときに初めてお会いして、ご挨拶させていただきました。そのとき、すごく緊張していて、思わずそのことを口に出してしまったんです。そしたら柚月先生が『阿部さんも緊張することがあるんですね』って励ましてくださって。とても丁寧で素敵な方だったので、惚れ惚れしてしまいました。
──本作で阿部さんは原作には登場しないオリジナルキャラクター・桃子を演じています。松坂桃李さん演じる日岡の心の拠り所で、オアシスのような存在です。どのような役作りをされましたか?
桃子という人物を深く考えて演じたほうがいいなと思っていたんですが、白石監督から「阿部さんが思ったように演じてくれればいい。逆に考えないでください」と言ってくださったので、自然体で演じるように心がけました。撮影前には強くてしなやかな女性の雰囲気を取り入れようと『仁義なき戦い』を観て、参考にしました。
──今回、阿部さんは白石組初参加ですね。白石監督とご一緒してみてどうでしたか?
白石監督のデビュー作「ロストパラダイス・イン・トーキョー」を観てから一方的に大ファンだったので、今回ご一緒できて本当に嬉しかったです。監督から「そのままで演じてほしい」と言われて、ヒントがない中で少しプレッシャーを感じる部分もあったのですが、監督が「すべてを理解できないままでいい」とお声をかけてくださったので、リラックスできました。
──役所広司さん、松坂桃李さんとも初共演ですね。お2人と共演した感想は?
役所さんはテイクを重ねるたびに、どんどんお芝居が変わっていくんです。細かい動きも面白く変わっていくので、それを間近で見ているだけで刺激的でした。松坂さんは現場ではお兄さんみたいな存在で、お芝居でも先導してくださるんです。ハードな撮影が続いているときでも、辛い表情ひとつ見せず、私の呉弁のセリフ合わせをしてくれたりして、とてもありがたかったです。
──本作ではワイルドな男たちがたくさん出てきます。阿部さんが一番格好良いと思うキャラクターは誰ですか?
役所さんが演じている大上ですかね。いざっていうときに助けてくれる大上みたいな人が実在していればいいなって思って観ていました。
──そこは桃子と恋仲になる日岡じゃないんですか?(笑)
あ!私、役所さんの話しばっかりしてましたね(笑)日岡も素敵です!大上と日岡、両方ですね(笑)
──桃子を演じるにあたり、呉弁にとても苦労された伺いました。桃子の可愛らしい呉弁も本作の見どころだと思います。
呉弁は独特な甘さみたいなものがあって、それが桃子のキャラクターの一部でもあります。呉弁は微妙なイントネーションで難しかったですね。
──どうやって呉弁をマスターしたんですか?
撮影の2ヶ月前に呉弁のセリフが入った音源をいただいて、ずっと聴き続けていました。あとは現場で方言指導の方から常にアドバイスをもらっていました。撮影中にはナチュラルな呉弁をマスターしたいと思って、地元のスーパーにも行きました(笑)
──本作はオール広島ロケでしたね。広島での撮影のエピソードはありますか?
撮影でも使われた商店街にあるお店で広島焼きを食べました。ちょうどその時にお店のテレビでカープの試合が放送されていて、サラリーマンの人たちが盛り上がっていました(笑)
──阿部さんはこれまでに清楚な女性から派手な女性まで幅広い役柄をこなされています。今後の目標などはありますか?
映画がすごく好きで、映画のためだったらなんでもやるぞって気持ちになるので、これからも映画はもちろん、ドラマなどでも自分のできるお芝居を一生懸命やっていきたいです。観客の皆さんを納得させる演技ができる魅力的な女優さんを目指していきたいです。
「関西ウォーカー、もちろん読んでいます!」と笑顔で応えてくれた大阪出身の阿部。インタビュー中、ポロッと関西弁が出るキュートな場面も。本作の撮影中も大阪に立ち寄っていたそうで、今でも忙しい合間を縫って定期的に帰省していると明かしてくれた。「大阪に帰ってきた時には、友達と遊びに行ってリフレッシュしています。作品によってさまざまな役柄を演じることがありますが、大阪に戻ってくると気持ちがニュートラルになります」
映画「孤狼の血」は、5月12日(土)全国ロードショー。
山根翼