「店員が偉そうなことを言うな」寿司店でブチギレる父、周囲の冷たい視線が痛い…娘が直面した「老害」

東京ウォーカー(全国版)

父が突然、店内で怒鳴り声をあげた。画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

シルバーウィークはお家でのんびり漫画三昧?本稿では2026年上半期にバズった漫画を紹介。

混雑する寿司店で20分待ち、イライラを募らせる父。店員が人数の少ない客を先にカウンター席へ案内すると、「俺たちよりあとに来ただろ。順番を抜かすな、非常識だぞ!」と怒鳴りつける。ようやく順番が来ても「俺たちのほうが早く並んだのに」「お金を払うお客様に対して失礼だろ!」「店員が偉そうなことを言うな」と不機嫌なまま。周囲から冷たい視線を向けられていたのは、自分の父親だった。今回は、西野みやこ (@miyakokko61) さんの「わたしの親が老害なんて」を紹介するとともに、作品について話を聞いた。

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古い価値観を押し付ける両親とのズレ

【漫画】外に出ればクレーマー!!自分の親が老害?画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

『わたしの親が老害なんて』02画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

『わたしの親が老害なんて』03画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

80代になる両親は、主人公・栄子の近所に暮らしていた。娘が小さいころは面倒を見てもらったり、アドバイスをもらったりと、ありがたい存在だったという。しかし、娘が巣立ち、夫婦2人の時間が当たり前になると、定期的に電話がかかってくるようになる。こだわりの買い物をさせられたり、一緒に外出すれば店でクレームを言ったり。世間とのズレに気づかない両親に代わり、栄子が謝罪することもあった。

西野さんは「『老害』は誰にでも潜む可能性があることを伝えたかったので、話を聞いてくれない祖父母や心配性で世話焼きな母親など、あえてどこにでもいるような登場人物にしました」と話す。元教員の父と、父には逆らわないものの昔の価値観を押し付けてくる母。夫と2人暮らしの栄子と、結婚してスーパーでパートをしている娘の美咲。どこにでもありそうな家族を通して、世代間の価値観の違いを描いている。

「老害」は身近なところにも潜んでいる

両親から栄子へ、そして栄子から美咲へ。作品では、古い価値観が無意識のうちに受け継がれていく様子も描かれる。栄子が美咲を妊娠したときには、父から「最低2人産むのが母親の務めだろ」と言われ、母からは「仕事はいつ辞めるの?男の人は外で稼いできてくれるんだから」と家庭に入ることを求められた。

さらに、妊娠して帰省した美咲が「つわりでほとんど食べられない」「生ものは控えてる」と伝えても、両親は寿司の出前を取り、「お祝いだから」「ちょっとくらいいいんじゃないか」と押し通す。「染めた髪は、赤ちゃんに悪い影響があるんじゃない?」とまで言われ、美咲の生き方にも口を出していく。

こうした描写に、読者からは「自分の親も当てはまるところがある」「こういう老人を見かけたことがある」「主人公に関してもどこか自分と重なることがある」といった声が寄せられている。

西野さん自身も、これまで「女性の生き方」や「子育ての仕方」にまつわる古い価値観に直面してきたという。妊娠中につわりがひどく、少量しか食べられなかった際に「2人分食べないと」と言われることがプレッシャーになったほか、無痛分娩を考えていた際には「出産の痛みはみんなが通った道だから」と女性陣から反対された経験もある。漫画家として活動を始めてからも、「旦那さんは仕事があるから母親が家事育児をしないと」と言われたことがあったそうだ。

自分自身も同じ道を歩まないために

こうした体験は作中にも反映されている。祖父母から美咲へ向けられる「つわりへの対応」や「母親はキャリアよりも育児を優先すべき」という考え。栄子自身は美咲の味方だと思っているものの、長年両親から言われてきたことが無意識に染み付いていることが描かれている。

「描きながらあらためて感じたのは、『老害』とは特別な誰かを指すものではなく、私たちのすぐそばにあるものだということです」と西野さん。年齢に関係なく、自分の価値観や経験を他人に押し付けたり、異なる文化や考え方を受け入れようとしなかったりする態度が、摩擦につながるのではないかと考えている。

「『老害』という言葉はインパクトが強く、軽々しく使うべきではないと私も思います。でも、その実態は特別なことではなく、私たちの身近な人、そして自分自身にも起こりうるものです」。作品を通して「老害」とされる人たちの背景や、なぜそうなってしまったのかを知ることが、自分自身も同じ道を歩まないための自省につながればという思いが込められている。

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■取材協力:西野みや子(@miyakokko61)

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