「孤独がいちばん体に悪い」というOLたちの何気ない会話をきっかけに、自分が誰からも愛されていないことを実感してしまった40歳独身サラリーマン。そんな主人公が、誰かとのつながりを求めて一歩を踏み出す物語が描かれている。コミカルな展開の中に、人との関係ややさしさについて考えさせられる作品だ。作者は漫画家の
國里
さん。今回は、全40ページの本作に込めた思いや、タイトルにもなっている「孤独の予防」、そして主人公の人生を動かした出会いについて話を聞いた。
40歳独身男、孤独に気づいてしまう!?
物語は、OLたちが「人間関係のストレスが健康寿命に関係する」という話題で盛り上がる場面から始まる。「結局、孤独がいちばん体に悪いのねー」という言葉を耳にしたのが、主人公の岩倉だった。
40歳独身で、彼女も親友と呼べる友人もいない岩倉。これまで目を向けないようにしていた現実に気づき、「誰からも愛されていないんだよなぁ~」と実感する。そして「俺も誰かに愛されたい」と、出会いを求めて動き始めることに。結婚相談所やマッチングサイトを検索してみるものの、それだけで「怖いなぁ」と尻込みしてしまう岩倉。「怖いのは女の子だけじゃないんだよ、おっさんだって怖いんだよ」と自分に言い聞かせるようにこぼす。
そんな中、翌日には会社の若い後輩から合コンに誘われる。女性側から「どうしても40歳以上の人をひとり入れてほしい」と頼まれたというのだ。「なんかおじさん好きの子がいるらしいッスよー」と聞き、怪しみながらも参加を決意する岩倉。そこで、思い描いていたものとはまったく違う、意外な出会いを経験することになる。
「やさしくないほうが生きるのは簡単」?
本作で國里さんが描きたかったのは、人にやさしくすることと孤独の関係だという。漫画の後半に登場する「やさしくないほうが生きるのは簡単だ」という台詞について、「それを描きたかった作品です」と明かす。人は誰かに愛されたいし、やさしくされたい。だからこそ、人にやさしくすることにも、どこかで見返りを求める面があるのではないかと考えたそうだ。「人に愛されることもやさしくされることも一切求めないなら、きっと人は他人にやさしくしないし、思いやりや配慮もせずに自分勝手に生きていくのはラクだと思います。でも孤立はしますよね」
だからこそ、「孤独しないためにもやさしく生きることは大事だな」と考えたという。主人公が物語の中で誰かとの関係を築いていく過程には、そんな思いが込められている。
自分から伝えた「心配」がきっかけに
タイトルにもなっている「孤独の予防」について、國里さんは主人公の変化を通して説明する。「この主人公は受け身すぎてやさしさを自分からは出せませんでした。それが合コンで出会った女の子に対しては“心配”というやさしさを相手に伝えることで、新しい関係性を築けました」性別や年齢に関係なく、そうした相手を作ることが孤独の予防になるのではないかと考えているそうだ。
一方、岩倉の思考を表現した図説も、本作の見どころの一つ。「おっさん好きの女子」について、岩倉が独自の理屈で結論を導き出す場面には、思わず笑ってしまうような極端さがある。
國里さんは「大変失礼な図説になってしまいましたが、おもしろく受け取っていただけてうれしいです」と笑う。図説も主人公の思考も、「私の手が勝手に描きました」としつつ、岩倉が自分を安心させるための結論として、テンポよくギャグに仕上げたという。「そうでも思わないと理解できない、という岩倉の気持ちを誇張した感じです」
「読んで下さる人がいることに感謝」
現在、新作の予定はなく、不定期で作品をSNSに投稿しているという國里さん。更新が不定期であることについて「フォローして下さっている方々には不定期すぎて申し訳ない」としながらも、「読んで下さる人がいることにいつも感謝でいっぱいです」と読者への思いを語っている。
過去作品はpixivでも公開されている。人とのつながりや、やさしさについて考えさせられながらも、主人公のコミカルな思考にクスッとできる本作を、ぜひ楽しんでほしい。
■取材協力:國里
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