「Amazonで人気の格安ブランド」——かつて多くの海外メーカーがたどった枠組みを突破し、日本の実店舗市場で急速に存在感を増しているのが、スマホアクセサリーなどを展開するTORRAS (トラス)だ。
2026年に日本参入10周年を迎えた同社は「事業戦略発表会」を開催。低価格競争に陥りがちなクロスボーダーEC企業が、いかにして日本のリアル店舗を攻略していったのか、その成長プロセスを追った。
Amazonトップから「実店舗4000店超」で販売へ
2016年にAmazon経由で日本市場へ参入したTORRASは、2023年には同ECのスマホケース市場シェアTOP3を獲得。だが同社の特徴は、ECでの成功にとどまらずリアル店舗へ一気に舵を切った点にある。
2023年に本格化した実店舗展開は、ヨドバシカメラやビックカメラをはじめ、ドコモ、KDDI、ノジマなどへ拡大し、取扱店舗数は全国4000店舗を突破した。
「安売り拒否」と極限の品質追求
海外ECブランドが直面する最大の壁が「安売りイメージ」だが、TORRAS日本法人社長の孔燕(Carrie)さんは「私たちは決して安売り(価格競争)を市場参入の最優先手段にはいたしません」と語る。
同社が取るのは「安さ」ではなく「高品質」で勝負する路線だ。0.01ミリ単位の精密な加工や、1000トンもの力で押す厳しい耐久テストなど、開発・製造コストをしっかりかける。
孔燕(Carrie)さんは「ユーザーが真に価値を実感し、それに見合う対価を支払っていただけるような価値を創造してまいります」と語る。値崩れしない『高くてよいもの』を徹底したことこそが、大手量販店や大手キャリアにも安心して商品を置いてもらえた大きな理由のようだ。
脱・格安ブランド化への試み
同社の成長を支えた主力が、累計販売2000万個を誇る「スタンド付きケース(支点殻)」だ。単なる保護ケースから動画視聴や撮影を支える道具へと見直した点が市場に受け入れられた。
現在は東京オフィスでの現地採用を進め、将来的には日本発の製品企画を目指すなど、ローカライズを進めている。EC発ブランドが「安いネット商品」から「お店で選ばれる上質なブランド」へと立ち位置を変える試みとして、同社の展開は一つのケーススタディと言えそうだ。
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