毎日の食卓の相棒がビールへ!サントリー武蔵野ビール工場で新・金麦のおいしさを五感で楽しむ秋の限定ツアー

東京ウォーカー(全国版)

仕事を終えた夕暮れどき、冷えた金麦といつものおかずで晩酌を楽しむ人も多いだろう。2007年の誕生以来、家庭の食卓で親しまれてきたサントリーの「金麦」が、本格的な「ビール」へと生まれ変わった。

金麦の製造の舞台裏や、開発ストーリーを体験できる特別ツアーが開催中


飲みやすさはそのままに、麦のうまみが豊かに進化した新しい金麦。今回はその製造の舞台裏や開発ストーリーを体験できる特別ツアーが開催されると聞き、東京都府中市にある「サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野」を訪れた。

普段はプレモルを製造する武蔵野ビール工場で開催される、金麦の特別見学ツアー

スーパーの棚でも家庭の冷蔵庫でも定番の金麦。実はここ武蔵野ビール工場は、普段の見学ツアーでは「ザ・プレミアム・モルツ」のこだわりや製造工程を紹介している工場として知られている。それだけに、「金麦」を主役に据えたツアーが組まれること自体が珍しく、ビールつくりの裏側に関心がある人にとって貴重な機会となっている。

10月からビールとなった金麦シリーズ


約90分にわたる今回の限定ツアーは、大きく3つのパートで構成されている。まず第1部では金麦ブランドの歩みや酒税法改正に伴うビール化の背景を学び、第2部では天然水の実験から仕込、発酵、貯酒、ろ過、缶詰にいたる製造現場を巡る。そして第3部では最初の部屋へと戻り、サントリー流の乾杯とともに注ぎたての金麦を味わいながら醸造家の解説に耳を傾けるという流れだ。

通常の工場見学ルートを巡るだけでなく、実際に味を生み出している醸造家から直接話を聞ける点も、このツアーの大きな魅力となっている。

第1部:酒税改正を機に決断した、金麦のビール化の背景

ツアーの冒頭となる第1部では、金麦が歩んできた歴史と、今回のビール化にいたる背景が案内係から丁寧に説明された。

金麦が誕生したのは2007年。「日々、家で飲むのに一番ふさわしいビール類」を目指して開発され、新ジャンルという枠組みの中で日常の食卓を支えてきた。

サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野

そもそも私たちが口にするビール系飲料は、「ビール」「発泡酒」「新ジャンル」の3つに分かれている。原材料や製法などによって区分され、それぞれ異なる酒税率が適用されてきたためだ。かつては350ミリリットル缶あたり、ビールが77円、新ジャンルが28円と大きな差があった。その後、2020年、2023年と段階的に税率が見直され、2026年10月1日にはビール系飲料の酒税がすべて54.25円に一本化された。

この税制の転換期を、サントリーの開発陣は単なる制度への適応ではなく、最大の好機と捉えたという。ビールの製法が解禁されるなら、これまで以上に金麦をおいしくできるのではないか、さらに上のレベルのおいしさに挑戦できるはずだという攻めの姿勢が現場の原動力となったそうだ。

愛飲者にとっては親しみやすい味わいが変わってしまうのではないかという懸念もあるかもしれない。しかし案内係からは、長年親しまれてきた「麦のうまみ」と「澄んだあと味」という骨格は維持したまま、日々の食卓での時間をより豊かにするための進化であると力強い説明があった。培ってきた技術を活かした前向きな挑戦を知ることで、続く現場見学への関心も自然と高まっていく。

第2部:天然水の実験から仕込、発酵・貯酒・ろ過、缶詰までを巡る現場見学

背景を学んだあとは、案内係について製造現場の見学へと向かい、まずはビールの主原料についての解説からスタートした。

ビールは天然水、麦芽、ホップというシンプルな素材からつくられる。なかでも案内係が詳しく説明するのが、製品の約90%を占める「水」へのこだわりだ。

ビールつくりの約90%を「水」が占めている


フロアには山の断面と地層を模した大がかりな模型が用意されており、雨水がどのように磨かれていくのかを視覚的に確かめることができる。模型の上から降らされた色つきの水が、地表近くの落ち葉などの層に蓄えられ、砂利などの層を通りながらろ過されていく。そして地下深くの地層を長い年月をかけて浸透するうちに、不純物がろ過され、適度なミネラルが溶け込んだ良質な天然水へと育まれる様子がモニター越しにも確認できる。

地層の模型を使って、良質な天然水が育まれる様子を紹介


サントリーが全国に持つ4つのビール工場では、金麦はもちろんプレモルやサントリー生ビールにいたるまで、すべてのビール類をこの天然水だけで仕込んでいるという。これは国内の大手ビールメーカーでも唯一の取り組みとのことだ。天然水の特徴を学んだあとは、麦汁を作る仕込エリアへと進んでいく。

ツアーの見どころのひとつ「仕込み工程」のタンク


案内係の声に導かれて重い扉をくぐると、まずは仕込設備全体を見下ろす開放的なフロアへ到着した。下のフロアには巨大なタンクが並び、半日ほどかけて時計回りに一周しながら麦汁が出来上がっていくそうだ。

麦芽の殻を取り除く濾過槽


階段を下りて間近まで近づくと、設備の迫力を間近で実感できる。安全のためタンク内部の写真撮影は控えるルールになっているが、中を直接のぞき込むことは可能だ。天然水と麦芽を混ぜ合わせる仕込槽と仕込釜のタンクから、隣にある濾過槽へと移動して中の様子をのぞくと、底面に残った麦芽の殻がはっきりと確認できる。

テレビCMでもおなじみの「アロマリッチホッピング製法」で、引き締まった苦みを抽出し、上質で華やかな香りを実現する煮沸釜


さらに反対側には、麦汁にホップを加えて約30分間煮込む煮沸釜があり、周辺には麦汁を煮詰める熱気と甘く香ばしい香りが漂っている。ガラス越しに麦汁が作られていく工程を間近に体感でき、次の工程へと向かう。

酵母という生き物が入っている酵母タンク


仕込釜で煮沸された麦汁は、急速に冷却されて次の「発酵」工程へと送られる。ここでは麦汁にビール酵母が加えられ、酵母が糖分を分解してアルコールと炭酸ガスを生成し、ビールの原型である若ビールがつくられていく様子が解説される。

作り手たちは官能検査と呼ばれる品質の検査を行いながら、貯酒の期間を見極めて、熟成のピークをじっと待つそう

この貯酒タンクには、3万3923リットルのビールが入っていた

工場が建てられた1963年(昭和38年)に、実際に使われていた貯酒タンク。この中を通って、次の展示へ


続いて案内されるのは、若ビールを寝かせる「貯酒」のエリアだ。ひんやりとした冷気に包まれた空間には貯酒タンクが並んでおり、低温で熟成させることで、味の角が取れて香りと味わいが調和していくという。

以前は熱殺菌することで、酵母を取り除いていたが、現在ではフィルターが進化し、熱を通さずとも酵母を取り除けるようになったという。そのおかげで、非加熱の生ビールが主流となった

熟成を終えたビールは、最終的に「ろ過」の工程を通る。ここで役目を終えた酵母や余分なオリを取り除くことで、透明感のある黄金色のビールへと仕上げられる。

【写真】タイミングがよければ、缶がレールの上を滑りながら箱詰め場へと流れていく様子を見ることができる

ビールが仕上がったあとは、缶に詰める「パッケージング」の現場へ向かう。ここではスクリーンの映像も交えながら、家庭に届くまでのおいしさを維持する品質管理の仕組みが紹介される。

缶詰機が置かれた部屋は清潔に保たれており、入室時にはエアシャワーを浴びて専用の作業着に着替える。容器メーカーでの検査をクリアした缶も、工場であらためて検査と洗浄を行ってからビールが注がれるそうだ。

とりわけ特徴的なのが、高速充填と酸化を防ぐ工夫だ。缶の中に酸素が残っていると風味が損なわれてしまうため、ビールを注ぐ直前に炭酸ガスを吹き込んで中の酸素を追い出し、注いだ瞬間に缶の蓋を巻き締めているという。

スクリーンには工場ならではの「缶の目線」の映像が映し出され、レールの上を滑りながら箱詰め場へと流れていく様子を疑似体験できる。機械による検査だけでなく、人の目でも傷や凹みがないか丁寧に確認し、箱詰めされたあとまで高い品質が保たれているのだとか。

サントリーグループ全体で使用する水の、2倍以上の量を育むことを目標にした活動、「天然水の森」をパネルで紹介

最後のエリアでは環境への取り組みなども紹介。サントリーでは天然水を使ってビールつくりを行っているので、天然水を育むことができる森作り、山作りというところから、力を入れているそう。現在はサントリーグループで使う2倍以上の水を育むことを目標に、天然水の森という活動も行っているのだ。

そして案内係の声に導かれ、一般の見学者が利用する部屋の脇を通り抜けると、第1部で説明を受けた部屋へと戻ってきた。

第3部:スコール!の乾杯と、醸造家による解説・3種のテイスティング

見学を終えて部屋に戻ると、カウンターで注ぎたての金麦を受け取り、テーブル席へと着く。会場には、金麦の味の設計を担当している醸造家の水口伊玖磨(みずぐち・いくま)さんが登壇し、サントリー流の乾杯の作法が紹介された。

工場ライン見学が終わると試飲タイムが待っている


サントリーがビール事業に参入した1963年当時、当時の佐治敬三社長がビール造りの手本を求めて世界へ旅立ち、出合ったのがデンマークタイプのビールだったという。デンマーク語で「乾杯」を意味する「スコール(Skål)」は、サントリーでも乾杯の掛け声として親しまれ、現在まで受け継がれている。

水口さんの「スコール!」という掛け声で乾杯!


水口さんの合図に合わせ、参加者全員で「スコール!」と3回グラスを掲げて、乾杯を行った。グラスを傾けると、きめ細やかな泡とともに麦の旨味が広がり、後口はすっきりと切れる。工場直送ならではの鮮度と、麦の味わいがしっかりと引き立っている。

喉を潤したところで、水口さんから今回のビール化に込めた想いと製法のこだわりが語られた。ビール化にあたって最も重視したのは、毎日金麦を飲んでいるコアファンであるという。金麦らしさを損なわないことを最優先とし、特徴である「麦のうまみ」と「澄んだあと味」という2つの要素を両立させることに力を注いだそうだ。

「贅沢麦芽」を使い、「麦のうまみ」と「澄んだ後味」を両立させた金麦


ビール化に伴って麦芽比率を50%以上に高めると、麦のうまみが増す一方で、余韻に甘味が残りすぎたりあと味が重くなったりするという技術的な課題に直面したという。日常の食卓で飲み飽きない「澄んだあと味」を崩さずに麦のうまみを引き出すため、原料の配合を細かく見直し、「旨味麦芽」と「国産麦芽」をブレンドした「贅沢麦芽」を採用。さらに「うまみ三段製法」や「デコクション製法」を導入したとのことだ。

「贅沢麦芽」の素となる2種類の麦も味見できる


話の合間には、テーブルに用意されていた麦芽を試食する時間も設けられた。「フライパンで軽く炒ると、そのまま香ばしいおつまみになる」といった醸造家ならではの豆知識も披露された。

金麦シリーズの3種類を飲み比べ。それぞれの特徴や味わいの違いを知ることができる


続いてテーブルには、缶の「金麦〈糖質75%オフ〉」と、深いコクを特徴とする「金麦〈豊潤〉」も用意され、3種類の比較テイスティングが行われた。

「金麦〈豊潤〉」は、チェコ産ダイヤモンド麦芽を用い、「ザ・プレミアム・モルツ」のダブルデコクション製法と「マスターズドリーム」の銅炊き仕込を組み合わせた仕込みを行っているという。コクがありながらも重たく残らない味わいとなっている。

「CRATZ〈枝豆味〉」が、金麦と相性バツグン


用意されたサントリーオリジナルパッケージの「CRATZ〈枝豆味〉」をつまみながら試飲を進めると、麦の風味とスナックの塩気、アーモンドの香ばしさがバランスよく調和する。定番の金麦には串カツや枝豆などの日常のおかず、〈糖質75%オフ〉にはマグロなどのお刺身、コクのある〈豊潤〉には牛肉のステーキやカレーがよく合うといった相性のよい料理も紹介され、日常の食事との合わせ方について具体的なイメージが湧く時間となった。

製造の舞台裏を知り、日常の食卓をより楽しむ

今回のツアーは、素材や醸造工程へのこだわり、そしてビール化へ向けた醸造家の工夫を直接知ることができる機会となった。製造の裏側を五感で知ることで、日常の食卓で楽しむ金麦の味わいにも新たな発見が生まれそうだ。

ブルワリーショップでは、期間限定ビールや、ここでしか買えないグッズも購入できる


武蔵野ビール工場で金麦をテーマにしたツアーが開催されるのは10月の週末限定。ビールの製造工程や開発ストーリーに興味がある方は、足を運んでみてはいかが?

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※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。

取材・文・撮影 = 北村康行

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