アパホテルは、仕事体験テーマパーク「カンドゥー幕張」内に、ホテルスタッフの仕事を体験できる「アパホテル〈カンドゥー幕張〉」をオープンした。
企業の体験施設参入自体は珍しくないが、ビジネス利用のイメージが強いアパホテルがなぜ今、ファミリー向け施策に乗り出してきたのか?式典後、アパグループの元谷一志CEOとアパホテルの元谷芙美子社長にインタビューを行い、その狙いを聞いてきた。
「小さなアパホテル」誕生!
オープン当日の式典にはアパグループの元谷一志CEOやアパホテルの元谷芙美子社長らが登壇。
主催するイオンモール キッズドリーム代表職務執行者社長・末松央行さんは、「開業13年目で100万人以上のご家族を迎えてきた。制服姿で真剣に挑む姿が楽しみ」と期待を寄せた。テープカットを経てオープンした会場では、コスチュームを着た子どもたちが楽しそうにおもてなしを体験していた。
【単独インタビュー】「宿泊」の枠を超えたアパの戦略
「コト消費」の意味
記者
:アパホテルといえば「出張や旅行で夜に泊まる場所」というイメージが強いですが、あえて「泊まる」にこだわらず、日中の体験やファミリー向けサービスに力を入れられている一番の狙いを教えていただけますか?
元谷一志CEO
:世の中の宿泊需要というものが、部屋という「モノ」の提供だけでなく、ワクワクする体験や思い出作りといった「コト消費」に大きくシフトしているのを感じています。
また少子高齢化が進むなかで、子どもたちが将来の仕事を自分から選ぶ流れが強まっています。数あるサービス業のなかで「まずアパホテルが選ばれる」存在でなければならない。そのためにも、幼少期から親しんでもらう裾野を広げる意味で、こうした職業体験を行うべきだと考えました。
さらに、2026年11月16日(月)には近隣の「アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉」の48階・49階に体験型の「アパミュージアム」を移転オープンさせます。カンドゥーでの職業体験とアパミュージアムを連動させることで、大きな相乗効果を生み出したいと考えています。
子ども向けの職業体験が、将来の「採用」や「ファン開拓」にどうつながるのか?
記者
:子どもたちが本格的なおもてなしを体験できるプログラムになっていますが、こうした体験を通じて「未来の社員(採用)」や「未来の顧客(ファン)」を育てる狙いについて詳しく教えていただけますか?
元谷一志CEO
:社内での接客研修はもちろんですが、今回カンドゥーにお越しいただくお客様に対しても、アパのおもてなしを深く体感していただけるよう、人事部と共同でプログラムを動かしています。
ここで深くサービスの本質を学んでいただくことで、将来的に「アパで働きたい」と思う人材が増えるでしょうし、お客様として利用していただけるファンも増える。10年後を見据えた顧客と人材の掘り起こしとして、非常に関心のある大切な一手です。
今後の展開
記者
:これからの展開に向けた意気込みをお聞かせください。
元谷芙美子社長
:名前の知らないホテルには、なかなかお客様も来ていただけないので、まず知っていただく努力をしたいと思っております。私自身も広報塔として活動してまいりましたが、今日、小さな子どもたちがアパの制服を着て生き生きと仕事に挑戦している姿を見て、胸がワクワクいたしました。小さいころからアパのホテル事業を体験していただけるのは本当に素晴らしいことです。
元谷一志CEO
:「カンドゥー幕張」が年間20万人規模の来場を目指されるとのことですので、私どものアパミュージアムでも年間来場者数12万人という目標を上方修正し、15万人を目指してエリア全体を盛り上げていきたいですね。
取材の最後には、元谷芙美子社長から記者へ「非売品のオリジナルステッカー」がプレゼントされる一幕も。「パソコンの裏側やスマホに貼っていただくと威力を発揮します(笑)」と茶目っ気たっぷりにアピールする社長の姿に、記者も思わず笑顔に。
本気で「コト消費」に挑むアパホテルの未来
ビジネスホテルのトップを走るアパホテルが、子どもの職業体験施設へ本格的に参入した。
「ビジネス客が夜に寝る場所」という定番のイメージから一歩踏み出し、ファミリー向けの体験施策にも本気で力を注ぐ。その背景には、「昼間のファミリー層の開拓」「将来の採用やファンづくり」「カンドゥーから48階アパミュージアムへの回遊」という、堅実で計算された狙いがあった。
単に「宿泊という部屋(モノ)」を売るだけでなく、「体験(コト消費)」を通じてファンを作っていくアパホテル。本気で「コト消費」に向き合う同社の新たな展開に、今後も注目していきたい。
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