仕事中、上司から「適当にやって」と言われ動画視聴…認識のズレに悩む発達障害の当事者

東京ウォーカー(全国版)

「はかりの上に物を置かないでね」と優しく注意されただけなのに、「攻撃された」「責められた」と感じて涙が溢れ出てしまう……。

そんな周囲との“伝わり方のズレ”やコミュニケーションの生きづらさを描いた漫画が、SNSやネット上で大きな関心を集めている。著者は、発達障害当事者としての経験や葛藤を発信している春野あめ( @AmeHaruno )さん。

今回は、話題のコミックエッセイ『発達障害が理解されにくいワケを自分で考えてみた』のあらすじとともに、自身の特性と向き合いながら描いた制作の裏側について、春野さんにお話を伺った。

※本作は著者の闘病体験を描いたコミックエッセイです。紹介している病状や治療の経過には個人差があり、医学的な見解を代弁するものではありません。気がかりな症状がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

【漫画】本編を読む

「適当にやって」がわからない……曖昧な指示と脳内変換の落とし穴

【漫画】本編を読む画像提供:(C)春野あめ/竹書房

発達障害が理解されにくいワケを自分で考えてみた はじめに(2)画像提供:(C)春野あめ/竹書房

発達障害が理解されにくいワケを自分で考えてみた はじめに(3)画像提供:(C)春野あめ/竹書房

幼い頃から人間関係や仕事でトラブルが絶えず、「なんでできないの?」と責められても理由がわからず苦しんできたという春野さん。

作中では、発達障害特有の“認識のズレ”が具体的なエピソードとともに描かれている。

例えば「case.01」では、仕事の手が空いた際に先輩から「適当にほかのことやってて」と言われ、“適当にできる仕事”が思い浮かばず動画を見てしまい、周りを呆れさせてしまうシーンが登場。指示の曖昧さから相手の意図を汲み取ることが難しく、職場でのすれ違いにつながっていた。

さらに「case.04」では、片付け中に「はかりの上に置かないで!」と注意された際、相手に悪気はなく精密機械を守るためのアドバイスだと頭ではわかっていても、脳内で「責められた」「攻撃された」と過剰に変換され、連鎖的に過去の失敗体験まで思い出して涙が止まらなくなってしまう様子が描かれる。

当事者自身も深く傷つき落ち込むものの、周囲からは「なぜ同じ失敗を繰り返すの?」「わざとやっているの?」と誤解されやすい実態が浮き彫りになる。

8年かけて見つめ直した自分……「診断の有無より自分を知ることが大切」


発達障害と診断されてから、自身の特性や二次障害と向き合えるようになるまで8年の歳月を要したという春野さん。

本書の発刊は、編集者から「トラブルが起きた際、当事者がなぜそのような行動をとったのかという思考回路を知りたい」と提案を受けたことがきっかけだった。臨床心理士の中島美鈴さんによる監修のもと、専門書や論文を読み込みながら当事者の視点をわかりやすく整理した。

「もしかして自分も……」と悩む人に対し、春野さんは「悩んだら心療内科や発達検査を検討してみてほしい」と語る一方で、「診断の有無そのものよりも、自分にどんな特性やトラウマがあるのかを知ることが何より大切です」と強調する。

「人との距離感がおかしい」「融通がきかない」「自覚なく人を不快にさせてしまう」など、ASDやADHD傾向にまつわる13のケースを収録した本作。“生きづらさ”の根本にある思考のプロセスを解き明かす一冊を、ぜひ手にとってみてほしい。

【漫画】本編を読む


取材協力:春野あめ(@AmeHaruno)
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