相思相愛の“祝賀パレード”に密着、羽生結弦「胸に刻んで生きていく」

東京ウォーカー(全国版)

平昌五輪で金メダルを獲得した羽生結弦選手のオリンピック2連覇を祝う凱旋パレードが、2018年4月22日に仙台市の東二番町通で開催された。この日は午前中から夏日になり、最高気温は29.9度を記録。真夏のような暑さのなか、10万8000人がつめかけた。なかには、前日の夜から場所取りをするファンも。台湾や香港、ヨーロッパから訪れたファンもおり、市内はお祝いムードに包まれた。

10万8000人がつめかけた祝賀パレード。「この喜びやこの風景、みなさんの気持ちや声を、ずっと胸に刻んで、これからも生きていきたい」と羽生結弦選手


スタート地点では、パレード開始に先立ち出発式が行われ、宮城県知事から県民栄誉賞が、仙台市長から賛辞の楯が送られた。また、羽生結弦選手から、宮城県と仙台市に「復興のために使ってほしい」と寄付の贈呈があった。羽生選手からは「ありがとうを言える場を作っていただき、本当にありがとうございます。金メダルを持って仙台にただいまを言えて、うれしいと思っています。この喜びやこの風景、みなさんの気持ちや声を、ずっと胸に刻んで、これからも生きていきたいと思います」と挨拶があった。

【写真を見る】「金メダルを持って仙台にただいまを言えて、うれしい」と語る羽生結弦選手


パレードは1.1キロの道のりを40分ほどかけて行われた。羽生選手は沿道の人々に向けて、手をふったり、頭を下げたり。平昌五輪のフリーで演じた「SEIMEI」のポーズを見せる一幕もあった。パレードが通ると、沿道からは歓声が。羽生選手の写真をあしらったうちわや横断幕を用意してきたファンも多く、羽生選手も満面の笑顔で応えていた。

街のあちこちに「羽生くんありがとう」「2連覇おめでとう」の文字が見られ、沿道では大勢のボランティアが誘導にあたった。大学に掲示されていたチラシを見て応募したという学生ボランティアは「自分ができることで応援したいと思い、応募しました。羽生くんの演技には、いつも勇気づけられています」とコメント。

埼玉県羽生(はにゅう)市のご当地キャラクター「ムジナもん」も応援に駆け付け、同行した羽生市の職員は「おめでとうの気持ちを伝えたくて来ました。羽生くんが登場してから、みんな市の名前を『はにゅう』と呼んでくれるようになり、感謝しています」と笑顔を見せた。

さらに、パン屋やスイーツ店、中華料理店など、羽生結弦選手を祝う限定メニューを展開する店舗も。保育園のママ友と訪れたという富谷市在住の女性は「もう、神ですね」と興奮気味に話し、「2連覇という偉業を達成したのだから、ぜひ来ようと思って。10時から並びました。間近で見られて感動しました。顔が小さくて、スタイルがいい!東北高校に通っていたころから見ていますが、本当に性格がいい人なんだろうな、と思います。恵まれない子どもたちに寄付したりしますし、挨拶もしっかりするでしょう。本当にいい人だから、こんなにみんなが魅了されるんだと思います」とコメント。パレードを見守る子どもたちも「羽生くん大好き!」と笑顔で手を振り続けていた。

集まったファンに手を振る羽生結弦選手


パレード後には記者会見が開かれ、羽生選手は「宮城、仙台に住む子どもたちがオリンピックを目指せる環境が整ったらいいと思う。自分がこれまでしてもらったように、ちょっとでもスポーツが発展するきっかけになれたらと思っています」「あらためて、金メダルの重みを感じています。復興などの課題があるなかでこのようなパレードを開いてくれて、本当に感謝していますし、これからも復興の手助けとなる行動をしていきたいと思います。この瞬間にありがとうを伝えたいと思います」と語った。

会見の最後には、地元宮城の高校、古川学園高校の新聞部から「夢をかなえるために一番必要なことをアドバイスしてほしい」と質問が。羽生選手は「夢をかなえるまでには辛いこともたくさんあると思っています。ただだからこそ、夢を叶えたときの達成感はものすごいものになると思うので、ぜひ恐れずに“懸ける”ことをしてほしいと思います。頑張ってください」と顔をほころばせた。(取材・文=沼田佐和子[株式会社月刊カフェラテ])

浅野祐介/ウォーカープラス編集長

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