DV被害に遭う依頼者たちの"夜逃げ"を描いた実録漫画「夜逃げ屋日記」。作者の宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さんは、夜逃げ屋の現場で見聞きした出来事をもとに、逃げる人々の葛藤や再出発を描いている。今回は、第9~10話に登場する母子のエピソードを紹介する。父親のDVから逃げた少年・トモキ君が、なぜ母親について行こうと決意したのか、その背景に迫る。
夜逃げ先で見せた少年の固い表情と打ち解けた瞬間
夜逃げを終え、新しいマンションへたどり着いたものの、トモキ君の表情は晴れなかった。そんな様子を気にかけた宮野が好きなものについて話を振ると、トモキ君は「ドイツ戦車…特にティガーが好きです」とぽつり。宮野が戦車の本やグッズを段ボールに詰めておいたことを伝えると、少年の表情は少しずつ柔らかくなっていった。
「今度は一緒に逃げよう」母の言葉に救われた過去と抱える不安
共通の話題で盛り上がるうちに、トモキ君は次第に本音を話し始める。欲しかったプラモデルを手にしたあと、公園で自身の過去を語り出した。そこで明かされたのは、幼いころから続いていた父親のDVと、それでも母親を信じ続けていた理由だった。
5歳のころに一度母親が家を出たことがあったが、トモキ君が高熱を出した際、母親は戻ってきて看病してくれた。その出来事が強く心に残っていたという。そしてDVが続く中、母親に「今度は一緒に逃げよう」と言われたことが何よりもうれしかったと打ち明ける。一方で、容姿や声が父親に似ている自分を母親はどう思っているのかという大きな不安も抱えており、暴力だけでなく"似ていること"そのものが苦しみになっていた。
互いを思い合う母子が見せた決意と成長
宮野さんは「お母さんが母子家庭になることをかなり気にしていたので、トモキ君側の気持ちを聞いてみたかった」と振り返る。母親だけでなく、子ども自身もまた大きな決断を抱えていたことが、このエピソードから強く伝わってくる。
取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)
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