現役の郵便局員が実際に経験した不思議な話や怖い話を漫画化した『郵便屋が集めた奇談』。今回はF支店に勤める配達員・Iさんが配達先で出合った奇妙な“シミ”にまつわる恐怖体験『壁貌』を紹介するとともに、作者の送達ねこさん(@jinjanosandou)に話を伺った。
玄関前に迫る「壁の顔」と突然の訃報
Iさんが担当する配達先は入り組んだ路地の先にあり、寝たきりのおばあさんと家族が暮らしていた。ある日、路地の壁にリアルで気持ちの悪い人の顔のようなシミがあることに気づく。
翌日その「壁の顔」は移動しており、さらに翌日には玄関前まで迫っていた。その後、この家の奥さんと郵便局員を巻き込む騒動が起き、玄関には「忌中」の札がかけられることになる。
家族の死を知らせる前兆なのか
一瞬で顔が消えた場面について著者は、「直後にこのお宅でご不幸があった。家族の死を知らせる前兆のような何かだったのか」と振り返る。「壁の顔」の正体については「人の死に関わり魂を導く死神のように、はかり知れない存在なのかもしれないが、正体を言いきるのは難しい」と語る。
事件以降、Iさんには壁を見てしまう癖がついたという。著者は「怪異に恐れをなしたというよりは、大切な郵便を預かっているため周囲に気を配ろうという職業意識の現れかもしれない」と推測する。日本のどこかでひっそり起こる怪異を描いた本作に注目だ。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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