なごやめしの一つといえば、味噌おでん。八丁味噌のイメージから黒色や赤褐色に染まった一品を想像する人は多いだろう。しかし名古屋には、長年守り続けられてきた老舗の味からモダンな進化系おでんまで、実に多種多様な味や色合いがそろう。好みの一皿を探しに、出かけてみよう。
なめらかな赤褐色が見事!「島正」
都心なのに静かで、"住める都会"でもある伏見エリアにある。1949年に屋台「きむらや」として創業して以来、変わらず愛されてきたどて焼き。いわゆる味噌おでんだが、おでんダネの定番である練り物は使わず、大根、豆腐、こんにゃく、牛スジ、玉子など具材はシンプルな6種類のみだ。八丁味噌とザラメを秘伝のダシで溶いてから煮込むため、辛さよりもダシの味わいが際立つ。
大根とこんにゃくは水分を入れ替えるようにアクを取り除いてから八丁味噌のダシを染み込ませるなど、時間をかけた調理がシンプルな具材を唯一無二の味に昇華させる。最も手間のかかる大根の仕込み期間は約10日間。角をきれいに残したままの仕上がりは見事だ!
■住所:愛知県名古屋市中区栄2−1−19 ■電話:052-231-5977 ■営業時間:17:00〜22:00(LO21:30) ■定休日:土曜・日曜・祝日 ■席数:40席(喫煙可) ■駐車場:なし ■アクセス:地下鉄東山線・鶴舞線伏見駅5番出口より徒歩3分
深みのあるダシが魅力「ODEN 味茂座(みもざ)」
おでんの種類は約40種類。その日に入荷した旬の野菜や魚介類、練り物をおでんダネに仕立てていく。味のベースはカツオダシだが、おでんダネから染み出る旨味が合わさり、複雑で奥深い味わいに。季節や具材によって、ダシの配合も細かく調整している。
女将をはじめ女性スタッフが多いためか、華やかな盛り付けが印象的。住宅地が広がる瑞穂区にあり、隣り合った人とも自然に会話が弾むアットホームな雰囲気が魅力だ。
■住所:愛知県名古屋市瑞穂区弥富通1-22 ■電話:052-831-5312 ■営業時間:17:00〜23:00(LO22:30) ■定休日:日曜、月1〜2回不定休(詳細は公式Facebookで確認) ■席数:26席(喫煙可) ■駐車場:なし ■アクセス:地下鉄名城線・桜通線新瑞橋駅5番出口より徒歩8分
繊細な味わい「那古野サルーン」
名古屋駅にほど近く、ビルが立ち並ぶ国際センター駅が最寄り。あっさりとした京風おでんと落ち着いた空間が魅力の人気店。透き通った黄金色のダシは、利尻昆布と荒削りのカツオのほか、数種類から抽出したもの。大根にはとろろ昆布をのせるなど、仕上げにもひと工夫している。
ほぼ月替わりで、旬のおでんも3〜4種類登場。オススメのネタを盛り合わせにしてもらうこともできる。
■住所:愛知県名古屋市中村区名駅3-8-3 ■電話:052-564-5770 ■営業時間:17:00〜翌1:00(LO24:00) ■定休日:なし ■席数:26席(禁煙) ■駐車場:なし ■アクセス:地下鉄桜通線国際センター駅1番出口より徒歩5分
ワインと相性抜群の進化系「おでん&ワイン カモシヤ」
ダシに工夫をこらし、味噌おでんとワインのマリアージュを実現。赤ワインを煮詰めたもので名古屋味噌を溶いてから、シジミと牛スジのダシを加えて煮込む。デミソースに赤味噌を加えた名古屋ハヤシ(780円)など、味噌の洋風アレンジは店の得意技だ。
ニンジンなどあまりおでんに使わない具材も、意外なおいしさを発揮!名古屋の繁華街である栄駅を出てすぐなので、ワインと相性がいい進化系味噌を味わいに足を運んでみよう。
■住所:愛知県名古屋市中区錦3-16-8 森万ビル1F ■電話:052-963-6730 ■営業時間:16:00〜24:00(LOフード23:00、ドリンク23:30) ■定休日:日曜(翌月曜が祝日の場合翌日) ■席数:24席(喫煙可) ■駐車場:なし ■アクセス:各線栄駅3番出口より徒歩1分
山田瑠美