メンズエステを舞台に、人の心の奥底に寄り添うセラピスト・加恋の活躍を描く創作漫画「メンエス嬢加恋・職業は恋愛です」。
蒼乃シュウ
さんによる本作は、さまざまな悩みを抱えた客との交流を通して人間模様を描く人気シリーズだ。今回登場するのは、女性に夢を見せることを生業とするホストの渋沢イーロン。母親との複雑な過去を抱える彼の物語に込めた思いについて、作者に話を聞いた。
擬似恋愛を提供する職業が抱える「心の闇」
今回の客をホストに設定した理由について、蒼乃さんは「メンズエステ嬢とホストはよく似ていて、どちらも異性の客にサービスし、擬似恋愛を通じてお金をいただく世界だから」と説明する。共通の悩みや素性があるのではないかという着想から、物語が生まれた。
ホストという職業には「女性にお金を貢がせる悪い男」というイメージがつきまとう一方で、実際には健全な接客で楽しい時間を提供している人も多い。蒼乃さんは「人気のあるホストのように魅力的な男性ほど、心の闇を抱えているのではないか。闇があるからこそ、女性が抱える満たされない気持ちにも共感できるはず」と分析する。
毒親のトラウマと「愛を与える」ために選んだ道
施術を受けながら幼少期を思い出すイーロン。母親の恋人が来る日は500円を渡されて外で時間を過ごし、関係が破綻すると母親から「あんたなんて産むんじゃなかった」と罵倒されて育った。
こうした描写について蒼乃さんは、「実際にも存在する親の姿だからこそ描いた」と明かす。単にひどい親として切り捨てるのではなく、母親自身も誰にも理解されない悲しみや葛藤を抱えていたのではないかと考察。「『母親なんだから』という世間の視線が彼女を追い詰めていた側面もある。決めつけるのではなく理解しようとすることが大切だ」と語る。
イーロンは母親を恨むのではなく、笑顔にできなかった自分を情けないと感じている。だからこそ「女性は恋愛しているときが一番幸せ」という考えのもと、夢を見せるホストの道を天職として選んだのだ。「無意識に、客の女性に愛情を与えることで自分自身を満たしているのかもしれない」と蒼乃さんは解き明かす。
「この世界でしか生きられない」互いに残る深い余韻
施術を終えたイーロンは「オレはこの世界でしか生きられない。あんただってそうだろう?」と言い残して店を去る。その言葉に加恋の表情は曇り、彼女自身もまた重い過去を抱えていることを匂わせる。人の心を癒やしてきた加恋の過去が明かされる日は来るのか。今後の展開から目が離せない。
取材協力:蒼乃シュウ(@pinokodoaonoshu)
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