子どもの頃から漫画を愛好しユーモアあふれる作品を描く宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さん。彼がX(旧Twitter)で公開する「夜逃げ屋日記」は、DV被害などの依頼者を夜逃げさせた実話ベースの人気漫画だ。今回は同作の49〜50話を紹介し、依頼者の過酷な結婚生活について宮野さんに話を聞いた。
名前を奪われた50年の結婚生活と夜逃げの中断
夜逃げの途中で突然「中断したい」と言い出した朝倉ミツコさん。夜逃げ屋の社長から「旦那と義母から普段なんて呼ばれてる?」と問われると、彼女の脳裏には「お前、さっさと掃除しろよ」「お前はウチの嫁失格じゃ」と罵倒され続けた日々がよみがえった。一番近しい人間に何十年も名前を呼ばれなかったことで、ミツコさんが自分自身を見失っていると社長は確信したのである。
手鏡の中で自分を取り戻し、懐かしき海へ
社長から手鏡を渡されたミツコさんは、鏡の中の自分に向かって「ミツコ、ミツコ」と繰り返し名前を呼び、「私、老けたなぁ」と涙を流した。名前を叫ぶことで自らの存在を確かめた彼女は、その後、引っ越し先へ向かう車中で磯の香りを感じ取ると海へと歩き出し、若い頃を思い出すように「ただいま」とつぶやいたのだった。
残りわずかな時間で見せた笑顔と夜逃げの真実
余命3カ月と宣告されていたミツコさんは、夜逃げから1カ月半後に病状が悪化し、息を引き取った。病床では50年間の過酷な結婚生活には触れず、移転先や幼い頃の思い出を楽しそうに語っていたという。
ミツcoさんの結婚生活について、宮野さんは「『自分の名前と顔が一致しない』というケースから考えると、決してまともな生活ではなかったんだと思います。悲しいのは、社長が言うにはこういったケースが社長にとって初めてではないということで、今も日本のどこかに、ミツコさんと同じような人はいるのかもしれないということですね」と振り返った。
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