高収入の男性たちにおごられお金で買ったステータスが自己価値と結びつく「ギャラ飲み」の世界。しかし、華やかに稼げるのは20〜25歳という限られた期間であり、そこから先には現実の葛藤が待ち受ける。『14歳で整形した私 「ブス」の呪いから解けて自分を好きになる日まで』で衝撃的なデビューを果たした漫画家・うみの韻花さん(@umino_otoka)の新書『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』について、制作秘話とともに迫る。
華やかな世界の裏側。「港区女子」という現実
うみのさんがギャラ飲みの存在を知ったのは数年前のことだ。「数年前にネットニュースでギャラ飲み女子の記事を見かけて、そのときに知りました」と語る。一定レベル以上の容姿を持つ女性たちが、港区や六本木に集まる富裕層の男性から呼び出される現象。若く無垢な女性にゴージャスな世界を見せ、金銭感覚が狂っていく様子を楽しむ富裕層の存在から「港区女子」という言葉が広がり始めた。
徹底した取材と「もう1人の私」の投影
本作を描くにあたり、うみのさんは泥臭いリサーチを重ねた。「私は夜職の経験はありますが、『ギャラ飲み』の経験も港区で働いた経験もありませんでした。あとがきにも書いてあるのですが、面接で落ちました(笑)。なので、リアルに『ギャラ飲み』の実態を調査するために、元港区女子の方を探し何度も取材してシステムや実体験を調査しました。港区女子が好むブランド品や服装もリサーチして漫画に取り入れています。『嘘っぽい』『設定が適当』と思われないように細かいところまでリアリティを追求しました。ほかにも、大学へ1人で見学に行き、主人公の擬似体験をしたり、港区界隈で資料集めをしました」と振り返る。
主人公の美春には、うみのさん自身の生々しい体験が反映されている。「もともと私が、田舎出身で、上京して理想と現実のギャップに突き当たったり、お金を稼ぐことで傲慢になり、本来の目標を見失い、若さという勢いで生きてきた時期がありました。それを主人公に投影させているので、ある意味彼女は、『存在したかもしれないもう1人の私』なのです」と意図を明かす。
心が歪む過程を魅せる、緻密な作画表現
主人公が港区女子の世界に染まり、心が歪んでいく過程の描写にも妥協はない。「嫌われるキャラにならないように、第1章や第2章あたりで美春の葛藤や苦悩する描写をしっかり描き、少しでも読者が共感や同情などできるように構成しました。染まっていく第3章以降は、目のハイライトの数を徐々に減らしています。あとは、年齢を重ねたり整形をするたびに顔の比率を微妙に変えたり、身につけるファッションやアクセサリー、ブランド品や小物もこだわって描きました」と細部の仕掛けを語った。
取材協力:うみの韻花(@umino_otoka)
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