男性向けスキンケア情報サイト「メンズスキンケア大学」を運営する株式会社リッチメディアは先ごろ、日本・アメリカ・中国・韓国・タイ・ドイツ・インドネシア・シンガポール・イギリスの世界9カ国において「仕事と見た目に関する調査」を行った。各国の都市圏に住む20~30代男性ビジネスマンを対象としたこの調査では、ビジネスシーンやスキンケアに関する意識を徹底比較。その結果、グローバルな人材となるためには、ビジネススキルはもちろんのこと、自身の肌を気遣う「肌マネジメント」や「スキンケア」が重要という興味深い結果が得られた。
日本の男性はスキンケア意識が高そうに見えるがその実情は…
「スキンケア意識が高そうな国は?」という問いに対し、38.5%を占め、9カ国中2位の日本。1位は美容大国の韓国で42.1%、3位はアメリカの28.0%という結果となった。また、日本人は29.4%が自国を1位に選んでおり、“意識だけ”は高く、自負していることが見てとれる。
しかし、その実情はまったく異なっており、スキンケアの実施率(スキンケア商品の自身での購入と使用率)は、1位の中国(88.7%)から順に、韓国・タイ(同率86.5%)、ドイツ(85.8%)、アメリカ(83.2%)と続き、日本は51.3%でダントツの最下位となった。また、「肌マネジメント」実施率(59.8%)や同重視率(71.6%)も同様に最下位。完全なイメージ先行で、実はギャップが大きくスキンケア後進国といえる。
スキンケアの目標・理由に各国で特色あり!
次に「スキンケアで目指していること」を問うと、「異性から評価されたい」(49.8%)、「社会人としてふさわしくありたい」(38.2%) 、「仕事ができる男に見られたい」(32.8%) 、「成功しているように見られたい」(29.5%)などが上位に挙げられた。国別で見ると、「異性から~~」は韓国・タイ、「社会人として~~」「成功している~~」はインドネシア、「仕事ができる~~」は中国・インドネシアで多くを占め、異性からの視線やモテ、かっこいいビジネスマン、成し得た者など、見られたい理由はそれぞれお国柄の違いが出たといえそうだ。
出世の武器になる?日本では低認識の“肌マネジメント”、世界ではスタンダードに
仕事と「肌マネジメント」の関係について考え方を聞いたところ、「仕事をする上で肌に気を使うことは当然」(71.3%)、「肌の状態をコントロールできる人は、仕事のマネジメントもできそう」(63.9%)、「きれいな肌は出世の武器になる」(63.4%)など、「肌マネジメント」が仕事やビジネスシーンと密接な関係にあると考えられている。また、国別で見ると、中国はなんと全ての項目で世界平均を上回ったが、一方で日本は反対に、全ての項目で世界平均を下回るという衝撃の結果に。
ちなみに、ビジネスシーンで肌に限らず見た目全般を気遣う「セルフマネジメント」の実施率については、日本以外の8カ国は9割超えで“世界の常識”となっているものの、日本だけが87.3%と9割に満たない結果となった。わが国のビジネスマンは、「スキンケア」「肌マネジメント」「セルフマネジメント」いずれも世界に遅れをとり、肌や見た目に対する意識の低さを露呈した格好だ。
スキンケアに積極的な“美ジネスマン”が国際社会に台頭
われわれ日本男子にとってはなんとも耳の痛い話ではあるが、「同感!」「もっと意識持って当たり前!」などの声が女性たちから聞こえてきそうだ。それを裏付けるかのような、こんなQ&Aがある。
スキンケアに対する考え方を聞く質問で、「男性がスキンケアをすることは…」それぞれ女性・目上の人・同性からの印象がよいかという問いに対して、女性(85.3%) 、目上の人(75.4%) 、同性(72.8%)など、男性のスキンケアに肯定的な意見が7割超えとなったのだ。これは言うなれば、積極的にスキンケアや「肌マネジメント」に取り組む“美ジネスマン”が、世界のスタンダードになりつつある証だろう。
だが、ここでも国別だと日本はこれらの意識が軒並み低く、「スキンケアに手間・時間をかけたくない」(79.7%)と答え、実に約8割が消極的なのである。対して、中国などは非常に積極的で「スキンケアに手間・時間をかけたくない」以外の項目がすべて9割を超えている“美ジネスマン”大国なのだ。
また、「今後、スキンケアをする男性が増えると思うか」の質問には、全体の90.2%が「増えると思う」と回答、中国やタイではほぼ全員が増えるとしている。これからの時代、「肌マネジメント」やスキンケアに積極的な“美ジネスマン”の増加は既定の事実のようだ。
「スキンケアをする男性が増えると思う」と答えた2513人にその理由を聞くと、1位の「当たり前の身だしなみ、習慣・礼儀になってきているから」(64.7%)以下、「男性の美意識が高まっていると思うから」(38.0%)、「写真投稿型のSNSの流行などで、男性もますます見た目が重要に」(37.3%)となっている。国内はもとより世界に目を向けても、インスタなどビジュアルを最重視したSNSブームが続く昨今は、まさに見た目が重要な“ビジュアルコミュニケーション時代”といえよう。
これら調査結果の限りでは、日本にとってあまりいいニュースとはいかないものの、資生堂ジャパン株式会社が男性のスキンケアに特化した新セミナー「肌マネジメント研修 by UNO」を初開催するなど、意識向上の機運が高まっている。株式会社サイバーエージェントの新入社員研修の一環としてこの4月に実施された同セミナーでは、スキンケアの重要性を説くと共に実践を交えながら正しいスキンケアを新社会人たちにレクチャーした。
こうした動きが広がりをみせれば、近い将来、日本の“美ジネスマン”は今よりさらにグローバル社会で認められ、活躍できる可能性が増すのではないだろうか。
大塚直継