「これがあなたの観たかった仮面ライダー」ってすごくない?劇場版『仮面ライダーアマゾンズ』駆除班座談会

東京ウォーカー

5月19日(土)公開の映画『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』は、2016年、2017年の2期にわたって、Amazonプライム・ビデオオリジナル作品として配信された『仮面ライダーアマゾンズ』の完結編となる作品。

製薬会社が秘密裏に研究を行っていた人工生命体・アマゾンが研究所から逃げ出してから2年。人間の姿をして社会に溶け込んでいたアマゾンたちが覚醒し、その食人本能によって人を襲うようになったことから、物語は始まる。アマゾンとして、人との共存を目指す仮面ライダーアマゾンオメガ/水澤悠(藤田富)と、自らの研究で生み出したアマゾンをすべて狩ることに命をかける元研究者の仮面ライダーアマゾンアルファ/鷹山仁(谷口賢志)。それぞれの目的と、さらにアマゾンを利用しようとする人間の思惑が絡み合い、シリーズを通して単純ではない正義と悪、そして「生」をめぐる複雑な展開を見せてきた。

左から、勝也、宮原華音、俊藤光利、田邊和也


今回、話を聞いたのは、逃げ出したアマゾンを狩るために結成された「駆除班」のメンバー。当初はアマゾンを害虫と割り切っていたものの、人間と同じように意思をもつアマゾンを倒すことへの葛藤を次第に抱えていく、視聴者に近い人間側のドラマを担ったキャラクターだ。

警視庁特殊部隊出身で頼り甲斐のある隊長・志藤真役の俊藤光利さん、前職から志藤の部下で寡黙な福田耕太役の田邊和也さん、養護施設育ちで武芸に優れた紅一点の高井望を演じる宮原華音さん、明るくお調子者な元詐欺師の三崎一也を演じる勝也さんに、今作の見どころを中心に語ってもらった。

――ネット配信から、ついにスクリーンでの上映になるわけですが、映画化が決まったときのお気持ちは?

勝也:僕らももちろん思っていましたけど、マコさん(俊藤)が先頭を切って、映画にしたいと言ってくれていて。実現できて本当に感謝しています。

田邊・宮原:うん。

俊藤:やっぱり大勢の人と劇場で観たいと思っていたので、「シーズン2の次は映画でしょ!」と、言い続けていました。これが実現したのは、ファンの皆さんからの反響のおかげでしかないと思っています。でも、俺は三部作って言ってたんですよ。

勝也:その分、仮面ライダー初の4D上映になったということで。

俊藤:それにしても、特報の謳い文句が強烈なんだよ。「これがあなたの観たかった仮面ライダー」ってすごくない?ぜひ、劇場で確かめていただきたいですね。

駆除班を率いる志藤真役の俊藤光利


――今作での駆除班のスタンスは、シリーズ1、2とはまた異なっていると思うのですが、演じてみていかがでしたか?

俊藤:シーズン1の鷹山仁の言葉に“生きるというのは誰かの命を食らうことだ”っていうのがあるんですけど、それがすべてですよね。悠はそれすら知らないまま試験管ベイビーとして生まれ、駆除班はお金のためと割り切ってアマゾンと戦ってきた。

シーズン2では、鷹山仁が人間であったために生まれた子どもによって世界に危機が訪れ、駆除班は駆除班で、割り切れずに愛情を注いでしまったアマゾンが起こした出来事を収束させなくてはいけなかった。

ここまで関わってしまった駆除班が、アマゾン細胞を研究してきた悠の母親の依頼を受けて、悠のもとへ向かうのは必然ではあるんですよね。ただ、やるべきことがある悠や仁と違って、駆除班は結構ぶれているから、そこで物語がふくらむわけで。

田邊:でも、駆除班は今までで一番、自分たちの意思で動いてると思いますね。これまでは誰かのため、何かのためというバックボーンがあったけれど、今回は目的がシンプルなので。

運転と後方支援を担当する福田耕太役の田邊和也


――シーズン1ではアマゾンの脅威を制圧しようとする人間を描き、シーズン2ではアマゾンが逆襲ともいえる行動にでます。そして、今回は人間がアマゾンを家畜化する計画が行われているという話ですが、このテーマについてはどう感じましたか?

田邊:不足している食料を生産することで、利益を得ようとする人間がいる。彼がやっていることはこの社会そのものの縮図だと思うんです。そういうテーマを持ってきたことで、この映画がより面白いものになっているんじゃないかな。

勝也:僕はシーズン1の最後くらいから一貫して、生きるってことは矛盾だらけで、人間はエゴの塊だと思いながら生きてきました。最初はお金のためにアマゾンを駆除して、彼らを「虫」と呼んでいたけれど、たくさんのアマゾンたちを見てきた今は、そう呼びづらいなと。そういう矛盾を抱えて生きていくというか…。

駆除班のムードメーカー的存在の三崎一也を演じた勝也


田邊 アマゾンに感情を持ってしまう福田の気持ちは理解できる。一方で、田邊和也として客観的に見たら、福田は身勝手だとも思います。感情があるから殺せない、感情がないから殺せる、っていう、シリーズを通して描いてきたことが、劇場版ではより浮き彫りになっていると思いました。

宮原:私としてはすごくつらい展開で。映画が一番、撮影前から苦しかったです。

接戦を得意とする紅一点の高井望を演じた宮原華音


俊藤:アマゾン生命体を家畜にするというテーマでいうと、人間って切り身で売っている牛は食べるけど、多分自分で捌いて食べようとはしない。そしてわざと人型の生き物を人間が食べるという、よりリアリティがあるものを選んだんでしょうね。

さっきフク(田邊)が言っていた社会、これが世の中の構図だというのもあっていると思う。それを「仮面ライダー」で描写したかったのかな。だから、今回も重い内容になっていますが、命というものをすごく描きたい作品なんだろうなって、シリーズを通して感じますね。

映画『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』劇中カット


――命から逃げない、という姿勢がしっかりとありますよね。

俊藤:命と向き合え、と。俺たちが今ここに生きてることの裏にあることと、生きること自体を否定されているアマゾン、それぞれの葛藤や正義のぶつかり合いだよね。「アマゾンズ」はそういうことを描いた仮面ライダーなんだと思います。【東京ウォーカー編集部】

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