2018年に川崎フロンターレからアビスパ福岡に移籍した元日本代表・森本貴幸選手。2004年に当時15歳でJ1最年少得点記録を更新、その後イタリア・セリエAで活躍し、2010年南アフリカ大会の登録メンバーに名を連ねた、実績と経験のあるストライカーだ。そんな森本選手に、ロシア大会の優勝国や注目選手などについて聞いてみた。
アルゼンチンは前回大会の悔しさを晴らすんじゃないですかね
ーーさっそく優勝国を予想していただきましょう!
森本「アルゼンチンで!」
ーーその理由を教えてください。
森本「最初はブラジルだと思ったんですけど、駒野さんの予想と被ったので変えようと(笑)」
ーーでもアルゼンチンも優勝候補ですよね。
森本「そうなんです。本人はどうかわからないですが、メッシにとって今回のW杯が最後になるんじゃないかなと想像がつくので、メッシの気合いというか意気込みが相当あると思いますね。あと、前回大会は決勝で負けているので、その悔しさを今大会で晴らすんじゃないですかね」
行けるならもう一回イタリアかメキシコへ
ーー森本選手と言えば、イタリア・セリエAでのプレー経験があります。今大会イタリアがまさかの予選落ちということになりましたね。
森本「ショックでしたし、やっぱり悲しかったですね」
ーー森本選手から見て、今のイタリアサッカー、特にセリエAはどのように映っていますか?
森本「一時の時代と比べたら、選手の豪華さとか質は落ちているだろうし、僕がいた頃のインテルやミランなどは本当に誰もが知っているような選手が出ていたので、今も実力は高いものがあると思いますが、スーパースターがイタリアを選ばなくなったのかなという気はしますね」
ーーもし海外から声がかかった場合、森本選手はどこでプレーしたいですか?
森本「行けるのならイタリアにもう一回行きたいし、個人的にはメキシコでプレーしたいですね。今シーズンはパチューカに本田(圭佑)くんがいたから、試合のハイライトとかも見てましたし、すごいうらやましかったです」
ーーメキシコってどんなサッカーなのですか?
森本「メキシコ人は身長が高いわけではないのですが、技術が高い印象があります。やはり僕はフォワードなので、中学生の時代からエルナンデスっていうフォワードの選手を見ていて、プレースタイルが好きだったし、よく見て勉強してましたね」
前の日本代表に戻ったような印象を受けた
ーーさて、次に日本代表についてお聞きしたいと思います。先日発表された西野ジャパンのガーナ戦(5月23日取材時点)メンバーについてどのように思いましたか?
森本「前の代表に戻ったような印象を受けましたね」
ーーこの中でキーマンを挙げるならどの選手ですか?
森本「やっぱり本田くんとかですかね。香川真司とかもチームの中心になってくると思うし、二人ともチームにもたらすものは大きいと思うので。本田くんなんかは、この前テレビでやっていたドキュメント番組を観た感じでは、かなり気合いが入っている印象だったし、どのくらいやってくれるんだろうなという気はしますね」
ーー本田選手とは南アフリカ大会でチームメンバーでしたが、当時の代表についてエピソードを教えてください。
森本「そうですね。あのときは、大会直近の親善試合4試合で全部負けて、新聞とかもめちゃくちゃ悪く書かれていたんですね。最後の親善試合コートジボワール戦で負けた後に、選手だけでミーティングをして、一人ひとり思っていることを話しながら、こんなサッカーをやっていこうぜという感じになっていきました。全員、新聞とかに言われていたことを見返してやろうという気持ちになっていたと思います。あと、あの大会は日本戦の会場が南アフリカの高地だったので、南アフリカに行く前にスイスの山の奥の方にいって、まったく同じ標高のところでキャンプができたのもポイントですね。ボールの動きなど、平地とはまったく違う状況を体験できたり、心肺機能も鍛えられたりと、一ヶ月しっかりと準備ができて大会に臨めたのは大きい。そういう意味では、代表スタッフの勝利でもあるんじゃないかと思います」
ーー貴重なお話をありがとうございます。今大会も南アフリカのような快進撃を期待したいですね。
何が何でもJ1に上がってスタジアムを満員に
ーー森本選手は2018年からアビスパ福岡に加入しましたが、もう福岡には慣れましたか?
森本「はい、もう慣れましたし、念願だった屋台にも行くことができました!」
ーーところで、スペイン代表のイニエスタが神戸に加入することが決定しましたね。
「すごいですよね。僕たちはJ2なので今シーズンは対戦することができませんが、ファンとして神戸に試合を観に行ってみたいですね」
ーー最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします!
森本「福岡は野球とかバスケとか、強いスポーツチームがあるので、サッカーはもちろん、いろんなスポーツを楽しめる環境にあるのがとてもいいと思います。でも、もっとレベスタ(レベルファイブスタジアム)に足を運んでいただきたいです。今年はレベスタが入場一万人に満たない試合もあるので、ゲームをしている僕らからすればさみしい気持ちになりますし、僕らがもっと強くなって魅力的なプレーをしないといけないなと感じます。まずは、今年は勝つことにこだわりながら、何が何でもJ1に上がってスタジアムを満員にできるような試合をしていきたいです。みなさんが楽しめるように頑張っていきますので、スタジアムでお待ちしています」
【九州ウォーカー編集部/取材・文=森川和典、撮影=本田純一】
森川和典